【デイリー・コリア・フォーカス】26年4月27日号

皆さま、アンニョンハセヨ。
4月27日、月曜日です。今日も「デイリー・コリア・フォーカス」をお送りいたします。
昨日日曜日の昼間、北朝鮮出身のヒョン(兄貴)と久しぶりに会いました。20年来の付き合いがある、韓国で最も好きな人物の一人です。
「今日は酒を飲まずご飯だけにしよう」と、事前に電話で話していたのですが、タコの炒め物を前にこの約束はすぐに破られ、結局昼間から夜遅くまでずっと飲んだり食べたりしていました。
家族ぐるみのつき合いもある方で、私が昨日彼に会いにいくことは家族も知っていました。なので、夜おそく帰宅した際にはみな呆れた顔をしていました。このヒョンは韓国で大変な努力をし、今は順調に会社を経営しています。会うたびに色々なことを学んでいます。

このタコのせいで...
今日4月27日は、2018年に文在寅・金正恩両首脳による「板門店宣言」が発表された日です。
この宣言により、朝鮮半島情勢は大きく動き出しました。6月にはシンガポールで史上初の米朝首脳会談が行われ、9月には文在寅大統領が平壌を訪れました。非核化と米朝国交正常化という長いプロセスがようやく始まるかと思われました。
しかし翌年2月のベトナム・ハノイでの米朝首脳会談が決裂。北朝鮮は独自路線を突き進みます。その「努力」は、昨年9月、天安門に金正恩氏が習近平、プーチン両氏と並び立ったように、着実に「成果」を残しています。
話は前後しますが、南北関係が好転していた18年にも、このヒョンと何度か痛飲することがありました。
「結局は対話しかない」という言葉に続いた、「でも俺が向こうに行けるようになる順番は最後だろうな」という暗い声は、今も強く印象に残っています。脱北民が置かれた難しい立場をひと言で表した形です。
とまあ、こういう話をしている内に昼から夕方になり、夜になっていたのです。そんな訳で今日は体調がすぐれないので、コラムを一つ紹介してニュースレターに代えようと思います。

こんな時代もありました...。写真は合同取材団。
1. [コラム紹介] 保守の再建は必要ない(京郷新聞)
この刺激的なタイトルのコラムは、今日の紙面に掲載されていました。リベラル系日刊紙「京郷新聞」のカン・ビョンハン政治部長によるものです。
先週金曜日のニュースレターで紹介したように、最大野党・国民の力の支持率は10%台にまで低迷しています。その中心にいるのが張東赫(チャン・ドンヒョク)代表です。
彼が尹錫悦前大統領を正面きって批判しないため、つまり「絶尹」を行わないため、同党は今なお「内乱を支持する党」と見なされ、保守再生の担い手になれないというのが、一般的な見方です。
コラムの冒頭ではこの状況がどこから来ているのかを問いかけます。
尹錫悦氏に内乱首謀罪で無期懲役判決が出た直後の、今年2月4週目に行われた世論調査を引用し、国民の力の支持層のうち68%が「非常戒厳は内乱でない」と答えていたとします。
その上でカン氏は「張東赫代表は一線を退くべきだが、彼の辞任がすなわち国民の力の変化と保守の刷新を意味しない」と説いています。
つまり、今の同党は尹錫悦氏の非常戒厳を支持する層が多数を占めているため、保守の担い手になれないという主張です。
カン氏は「自称保守に残っている意味のあるエネルギーは不正選挙、嫌中、尹アゲインしかない」と続けます。
尹アゲインというのは、尹錫悦が無罪となりふたたび大統領に返り咲く、トランプが助けに来てくれるといった荒唐無稽な主張です。

国民の力の張東赫代表。同党提供。
コラムはさらに、「右クリック(右傾化)」した李在明政府により、一部の保守支持層が李在明政府支持者となったことで、保守の革新を行う政治的な空間が存在しない点を指摘します。
実際に「ニュー李在明」と呼ばれる、李在明支持層の特徴の一つに「実用主義」を掲げる李大統領に共鳴する人々の存在があります。この人々の中に、従来の保守支持層が含まれているのです。
カン氏が保守再生の動きが出ない理由に、保守にはもはや打ち出せるものが無い点をも挙げています。「韓国保守の両軸は成長と韓米日重視の外交」としながら、「これは現政府が追求する方向である」と評価します。
コラムにはこんな一文も出てきます。
「現政府の経済の基調は、人工知能と半導体を前面に押し出した成長率の上昇と株式市場の浮揚に見える。このために果敢な政策を推進していることから、嶺南(ヨンナム)圏では『李在明は第二の朴正煕(パク・チョンヒ)のようだ』という評価がある」
嶺南というのは、韓国の南東部を指すものです。開発独裁を敷き「漢江の奇跡」を牽引した朴正煕元大統領の基盤で、保守の票田・牙城です。「第二の朴正煕」とは、李在明氏の政治路線の裾野の広さを表す表現でしょう。
カン氏はここまで書いた上で、「6月3日の地方選挙が終わった後、より強くなるであろう政府・与党に対する牽制は誰が行うのか」という「根本的な質問」を投げかけます。
「韓国社会の発展と、現政府の成功のためにも、均衡のとれた牽制が必要だというのは万古不変の審理だ。保守が再建する動力も、必要もないとしたら、誰がこの役割を担うのか」
そしてその答えを「進歩政党が蘇らなければならない」と導き出します。
保守の価値を李在明政府が実現している中で、牽制は左側から出てくるべきと説くのです。具体的な課題として「人工知能(AI)産業の規制、分配、平等と人権問題」を挙げています。
コラムは「自称保守は今回の地方選挙で退出させられなければならない」という一文で締められています。今回の選挙が自ら革新できない保守に引導を渡す機会にならなければならないという主張です。
コラムの紹介はここまでです。
実はこういう話は、10年前からありました。朴槿惠大統領の弾劾を「保守の終わり」とする見方が当時、流行していたからです。
これからは中道の民主党と、左派政党がしのぎを削る時代になるという見立てについて、当時私も記事にしたことがあります。
壊滅すると見られた保守勢力は、尹錫悦と検察グループを引き入れることで「延命」には成功しました。しかしその尹錫悦氏も憲政破壊行為に他ならない非常戒厳を宣布し、弾劾されました。
つまり「今回の尹錫悦弾劾により、保守の延命策が尽きた」ということです。このため、もはや保守再生の道はないというコラムの主張に私も同意します。
一方で、進歩政党が勢力を伸ばす未来は容易に想像できません。
あるとしたら、韓国の競争社会と拝金主義にAIが拍車をかけたときの反作用により、左派がふたたび勢力を持つといった形でしょうか。難しい課題です。
いずれにせよ、時宜に適ったコラムでした。
2. 今日の時事韓国語「인공지능」
「インゴンチヌン」と読みます。漢字では「人工知能」です。
話し言葉では「AI」という言葉が一般的ですが、文書では今も人工知能と書かれています。
今日はここまでです。
それではまた明日、お届けいたします。
皆さまも飲みすぎにはご注意を。
アンニョンヒケセヨ。(徐台教)
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