【デイリー・コリア・フォーカス】26年2月24日号

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徐台教 2026.02.24
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。

日本は三連休明けですね。私が住む金浦は今朝、マイナス1度となかなかの冷え込みでした。

今日はニュースレターの発送がこんな時間になってしまいました。午後まで半休という形で休んでいたからです。

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今回、大阪に出張した際に、数人の方からニュースレターに関する意見をいただきました。ざっくり言うと、今の形よりも「深堀り記事」の方を読みたいというものでした。

実は私もそう考えています。

しかし何度か説明したように、このニュースレターはあくまで「入り口」です。

今は一人でやっているのでなんとなくワンパターンになりつつありますが、それぞれにテーマを持った人々によるチームで運営し、様々な関心を持つ人を集める役割を果たせるようにします。

その上で、重要ないくつかのテーマについての、きちんとした記事を書くというメディアの形を目指しています。いつも同じことを書いているようですが、もう少しの辛抱です。

ということで、今日の目次は以下の通りです。

1. ブラジルのルーラ大統領が訪韓、両国関係の「格上げ」に合意
2. 「ニュー李在明?」与党・共に民主党支持者が分化
3. 今日の時事韓国語「공감대」

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1. ブラジルのルーラ大統領が訪韓、両国関係の「格上げ」に合意

23日、ブラジルのルーラ大統領と李在明大統領がソウル青瓦台(大統領府)で首脳会談を行いました。ルーラ大統領は22日に国賓として訪韓していました。

首脳会談後に発表された共同言論発表文では、両国の関係を「戦略的同伴者(パートナー)関係」に格上げすることが発表されました。

格上げと言いますが、どういうことなのでしょうか。韓国メディアによると、明文化されていないものの、韓国政府は他国との外交関係を4段階に設定しています。

同伴者(パートナー)関係→包括的同伴者関係→戦略的同伴者関係→包括的戦略的同伴者関係、という順です。後者になるほど、関係が深まっていきます。

この時、包括的というのは文字通り様々な分野を指すもので、戦略的というのは「政治や安全保障、軍事までの深い関与(ハンギョレによる)」を指すとされます。

なお、同盟というのは条約に拘束されるため、これらの関係とは次元の異なる関係として位置づけられます。

韓国・ブラジルの首脳会談。青瓦台提供。

韓国・ブラジルの首脳会談。青瓦台提供。

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ちなみに、韓国とブラジルの修交は1959年にさかのぼります。ラテンアメリカ国家の中では初めての修交でした。

今回の共同言論発表文によると、韓国とブラジルの交易額はこの5年間、毎年100億ドルを超え、「宇宙やバイオ・製薬、文化産業のような未来の有望分野」へと両国の協力が拡張しているとのことです。

首脳会談ではまた、「韓国-ブラジル4か年行動計画」が採択されました。

これは、「政治、経済、実質的な協力、民間協力といった包括的な分野で両国関係を引っ張るロードマップ」とのことです。

他に、中断していた韓国と南米南部共同市場(メルコスール)間の貿易協定に関する議論を再開していくことも明かしました。

また今回、両国間では10の投資についてのMOU(覚書)が交わされました。中小企業、保健、農業といった分野です。

共同言論発表文ではさらに、朝鮮半島の平和についても触れています。韓国政府は南北間の対話協力を再開する努力をしていることをルーラ大統領に説明したとあります。

また、映画を中心とした文化交流、そして両国の留学生の交流を増やすことにも合意したそうです。

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このような首脳会談とは別に、両首脳の間には「共感」が存在したようです。それは2人とも「少年工」出身であるということです。

特に、李在明大統領は自身のキャリアをルーラ大統領に重ねるなどその思いが格別なようで、18歳年上の同氏を「兄弟」と呼び、AIを使った映像をXを通じ公開するほどでした。

グローバルサウスの存在感が増す時代に、韓国政府も外交の多元化を着々と進めているといったところです。

李在明大統領がXで公開した映像の一部。左がルーラ氏、右が李在明。李大統領のX をキャプチャ。

李在明大統領がXで公開した映像の一部。左がルーラ氏、右が李在明。李大統領のX をキャプチャ。

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2. 「ニュー李在明?」与党・共に民主党支持者間で進む分化

最近、SNS(特にFacebook)を眺めていると、与党・共に民主党の支持者同士が論争する様子を目にすることが増えました。

特に「ニュー李在明」の存在をめぐり、衝突が顕在化しています。

これについて24日、リベラル系日刊紙『京郷新聞』が一面で特集しました。興味深いので紹介します。

24日付け京郷新聞の一面。筆者撮影。

24日付け京郷新聞の一面。筆者撮影。

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まず、「ニュー李在明」について、同紙は「李在明大統領を強く支持する支持層」と位置づけます。

文在寅元大統領の在任時、文氏を強く支持した「文派」と似ているものの、「ニュー李在明」は与党・共に民主党のすべてを支持する訳ではない点が、新たな特徴としています。

党の主流である鄭清来(チョン・チョンレ)代表派、そして少数派の文在寅前大統領に近い一団とは別に、李在明系の議員を押す構図ができているというのです。

「ニュー李在明」は、鄭清来代表が進めた第二野党・祖国革新党との合体に強く反対し、これを貫徹し、鄭清来氏に合体を撤回させたことで注目を浴びました。

この時は、「鄭清来は自分のための政治をしている」、「李在明の政治の邪魔になる」という理由が大きく作用しました。

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その詳細な特徴について、同紙では共に民主党の様々な議員にインタビューを行い、全体像を浮かび上がらせています。箇条書きにすると以下のようになります。

・党の路線や政策とは無関係に、李大統領のする事ならばなんでも正しいとする人々

・大統領への支持と党への支持が過去よりも分離した。鄭清来代表への批判として現れている

・李在明が好きな人々。民主党のつながりはそう多くない

・理念だけを掲げ、無能だった運動圏(民主化運動勢力)と距離を置きたがる人々。李在明の実用主義路線の下に集まる人々

・民主党の正統な軌跡から外れた非主流の大統領の登場、文在寅政府に対する失望、福祉や統一よりもKOSPI(韓国総合株価指数)や人工知能(AI)に関心を持つ、時代の変化

なるほどな、と思うところの多い分析です。

ネット上で流通する「ニュー李在明」の募集するバナー。共に民主党への党員加入を勧めるものです。「今、李在明のいない共に民主党はメチャクチャ(役立たず)です」というスローガンが目に付きます。同党の時期代表選への影響力を発揮しようとする呼びかけもあります。ネットより引用。

ネット上で流通する「ニュー李在明」の募集するバナー。共に民主党への党員加入を勧めるものです。「今、李在明のいない共に民主党はメチャクチャ(役立たず)です」というスローガンが目に付きます。同党の時期代表選への影響力を発揮しようとする呼びかけもあります。ネットより引用。

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同紙ではさらなる「ニュー李在明」の特徴として、最近になって共に民主党に入ってきた人々が多い点があるとしながら、「ただひたすら、中道・実用を掲げる李在明の価値に同意する人々」とします。

この中には「実用という名の下で、保守から離脱した一部の層と、元々中道(保守でも進歩でもない中間層)であった人々」がいるとする声も取り上げられています。

「株式市場と経済成長に敏感な人々で、伝統的な民主党の支持層とは異なる」という、身も蓋もない(?)指摘もありました。

こうした動きの背景には、共に民主党の支持層が広がっている点があるのでしょう。

特に支持層の中心である民主化世代(50年代後半~70年代生まれ)よりも若い支持層が、民主化以外の支持理由を持って共に民主党に集まりつつあることが分かります。

一方で、党内に異論があるのは当然であり、「ニュー李在明」と分類することは結局、党内政治に利用されることになると、自制を求める議員の声を同紙は引用しています。

さらにもう一歩進んで、こうした現象が結局、「将来の大統領候補の下に政治の離合集散が行われる韓国政治の特色」であると見なす声も紹介されています。

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最大野党・国民の力が、尹錫悦氏の非常戒厳を正面から批判できないまま迷走を続ける中、300議席のうち162議席を占める巨大与党である共に民主党は、今や韓国政治そのものとなったような印象すら受けます。

その多様化は歓迎されるべきで、興味深い動きであることは間違いないです。

しかし党内の派閥争いに転落する場合、党としての安定感が失われ、李在明政権もまた、大きな逆風にさらされることとなるでしょう。

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3. 今日の時事韓国語「공감대」

「コンガムデ」と読みます。漢字では「共感帯」です。日本語ではなかなか説明しづらい概念ですが、「社会的な共感帯が存在する」といった形で使われます。

要は、「ある思いの共有」ということです。ニュースの頻出用語(それだけ便利な言葉ということです)なので、覚えておいてよいかもしれません。

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今日はここまでです。すっかり暗くなってしまいました。

それではまた明日。

いつもありがとうございます。(徐台教)

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