【デイリー・コリア・フォーカス】26年10月23日号[カルチャー]:イ・スマンの新人グループがMelon1位、韓国で中国ドラマが存在感 など

皆さま、アンニョンハセヨ。Misaです。ソウルは秋晴れの、旅行にぴったりの季節。街なかでも日本からの旅行者を多く見かけるようになりました。
今週の目次は、以下の通りです。
(1)イ・スマンが3年ぶりに韓国で送り出した新人グループ、デビュー曲が1位
(2)『新感染』のヨン・サンホ監督、低予算の新作映画『失楽園』が公開
(3)韓国で存在感を増す中国ドラマ、『早春晴朗』が話題
(4)倍率36倍も…自治体や企業が仕掛ける「出会いの場」が韓国の若者に人気
(5)カルチャー韓国語:자만추(チャマンチュ)
(1)イ・スマンが3年ぶりに韓国で送り出した新人グループ、デビュー曲が配信29時間でMelon1位
BoAや東方神起、少女時代を世に送り出したSMエンターテインメントの創業者、イ・スマン。そのイ・スマンが3年ぶりに韓国で手がけた9人組ガールズグループ、A2O LITE(エーツーオー・ライト)が、デビュー早々に記録を作りました。
10月13日夕方に配信されたデビュー曲「NEON」(니온)が、配信から29時間後の14日23時、韓国の大手音楽配信サービスMelonのチャート「TOP100」で1位に。芸能メディアのマイデイリーによると、2021年に今の集計方式になってから、新人グループのデビュー曲としては最も早い1位です。
その後も15〜20日の6日連続で1位を守り、20日にはSBS系の音楽番組『THE SHOW』で、デビューからわずか1週間で初の1位も獲得しました。
A2O LITEデビュー曲「NEON」公式MV。
イ・スマンは2023年、SMの経営権をめぐる争いの中で保有株をBTSの所属事務所HYBE(ハイブ)に売却。その契約には、3年間は韓国で音楽をプロデュースしないという競業禁止の条項が入っていました。
その期間が今年2月末に明け、満を持しての復帰です。メンバーは13〜17歳で、韓国・中国・タイ・日本の出身。日本からはヒメキと、日本とアメリカにルーツを持つオアが参加しています。
韓国のネットでは「全盛期のSMを見ているよう」「イ・スマンの勘は衰えていない。怖い」という声が相次ぎました。74歳にして、振付師に「もっと難しくしてほしい」と注文を出したというエピソードも伝わっています。
メンバーの中で特に注目を集めたのが2人。曲の冒頭で踊る長い茶髪のメインダンサー、中国出身のアイチン(13歳)は、力強い踊りで「デビュー当時のBoAのよう」と話題に。センターに立つオア(13歳)も話題です。
一方で「過去の成功の型をなぞっているだけ」という指摘もあり、機械のように正確にそろえた振り付けは、好みが分かれるところです。それでも、SMの音楽で育った日本のファンには懐かしくも新鮮に映るはず。この勢いがどこまで続くか、今後の活躍に注目です。
(2)『新感染』のヨン・サンホ監督、純製作費5億ウォン台の新作『失楽園』が公開
『新感染 ファイナル・エクスプレス』を手がけたヨン・サンホ監督の新作映画『失楽園』(실낙원)が10月21日、韓国で公開されました。渡辺淳一の小説とは別の作品です。
舞台はAIが普及した近未来。失踪した息子の代わりに、AIで作った仮想の息子と暮らす母(キム・ヒョンジュ)のもとに、9年ぶりに本物の息子(ペ・ヒョンソン)が帰ってきます。母性と「人間らしさ」を問うスリラーです。
話題は中身だけではありません。宣伝費などを除いた純製作費は5億ウォン台(約6,000万円)、撮影日数はわずか14日。俳優とスタッフは最低限のギャラで参加し、興行に応じて追加の報酬を受け取る仕組みです。
配給のCJ ENMによると、118か国に先行販売され、海外販売だけで純製作費を上回ったといいます。
映画振興委員会の集計では、公開初日の21日は平日ながら約2万人を動員し、映画『ちいかわ』に次ぐ全体2位、韓国映画では1位のスタートです。

映画『失楽園』公式ポスター。右は主演のキム・ヒョンジュ。ヨン・サンホ監督作品の常連(NAVER映画より)
監督は以前にも、低予算の映画『顔 -かお-』(얼굴)を製作費約2億ウォン(約2,400万円)で撮り、韓国で108万人を動員しました。日本でも8月に公開されたばかりです。「低予算で新しい大衆性を見つけたい」と語る監督の路線が、再び実を結ぶのか。週末の成績に注目です。
(3)韓国で存在感を増す中国ドラマ。『早春晴朗』には「『冬のソナタ』を思い出す」の見方も
かつて韓国では一部の愛好家向けと見られていた中国ドラマが、いま配信サービスで存在感を増しています。韓国の通信社ニュース1によると、韓国の動画配信サービスTVING(ティービン)では、9月下旬、人気ドラマ上位20本のうち6本が中国作品になりました。
代表例が、8月下旬からNetflixで配信中のドラマ『早春晴朗』(조춘청랑)。地方出身の新入社員が一流の広告会社に入り、厳しく冷たいけれど実はさりげなく気遣ってくれる、いわゆる「ツンデレ」の上司と恋に落ちる全24話のラブロマンスです。
韓国を含む54か国でNetflixのTOP10入り。主演の井柏然(ジン・ボーラン)は、韓国の女性ファンの間で一躍注目の的になりました。

『早春晴朗』作品ページ(Netflix公式サイトより)
理由の一つが「長さ」です。経済紙イーデイリーによると、韓国ドラマは制作費の高騰で本数が減り、かつて16話が標準だった話数も、今は8〜12話が中心。
一方の中国ドラマは20〜50話の長編が多く、長い物語にどっぷり浸りたい視聴者の受け皿になっています。「中国ドラマを一度も見たことがない人はいても、一度しか見ない人はいない」という視聴者の声も紹介されていました。
中央日報のコラムは、このヒットを日本での『冬のソナタ』に重ねています。
「同作が日本で受けたのは新しさではなく、変わらない純愛を古風に描いた『懐かしさ』だった。今の韓国ドラマは捜査やホラーなどのジャンルものに向かい、王道の恋愛ドラマから離れつつある。その空白を中国ドラマが突いた」という旨の見立てです。
私も見ましたが、止まらなくなって全話を一気見。「韓ドラっぽい中国ドラマ」で入りやすい一方、愛の言葉は控えめで、直球の韓国ドラマとは違う感性が新鮮でした。
恋愛だけでなく、地方から北京に出てきた新入社員がキャリアを築く成長物語でもあり、24話ならではの没入感も。長編を求める韓国ドラマ好きに刺さるのも、うなずけます。
日本でもNetflixで見られるので、ぜひのぞいてみてください。
『早春晴朗』台湾版予告編(Netflix台湾公式チャンネルより)
(4)倍率36倍も…自治体や企業が仕掛ける「出会いの場」が韓国の若者に人気
今夜、ソウル東部・中浪(チュンナン)区の上鳳(サンボン)グルメ横丁で、飲食店の屋外席を舞台にした、ちょっと変わったデートが開かれます。主催はソウル市。抽選で選ばれた25〜45歳の未婚の男女各50人が、屋外席で食事をし、2対2で横丁を歩きます。
市の出会いイベント「ソウルティン」は2024年に始まり、8月までの5回で倍率は最高36倍に。当日のマッチングで126組のカップルが成立し、12月には最初の結婚も控えています。
こうした出会いの場づくりは、ソウルだけではありません。ソウル近郊の城南(ソンナム)市の「ソロモンの選択」は、9月の募集で平均倍率が過去最高に。今年3月までの24回では、参加者のおよそ半数が当日カップルになりました。
企業も参入し、展示を見てから作品を話題に1対1で話す企画や、遊園地や地下鉄を舞台にしたデートなどを、自社の施設やサービスを知ってもらう機会にしています。

ソウル市「ソウルティン」の公式ポスター。左は9月の漢江(ハンガン)の水上バス編、右は今夜の屋外席編 (ソウル市公式サイトより)
出生率の低下に悩む自治体にとっては少子化対策、若者にとっては「出会いがない」という悩みの解消となります。
昔ながらの知人の紹介で会う「ソゲティン」は、カフェで向かい合って質問を重ねるので気疲れするのでしょう。一方で、日常で自然に知り合う機会も多くはありません。
未婚かどうかや仕事の有無が書類で確認され、一緒に何かを体験しながら知り合える場が、若い世代に選ばれているのでしょう。今夜の上鳳から、何組のカップルが生まれるでしょうか。
(5)カルチャー韓国語:자만추(チャマンチュ)
「자연스러운 만남 추구(自然な出会いの追求)」を縮めた言葉です。知人の紹介で会う「소개팅(ソゲティン)」ではなく、学校や職場、サークルなどで自然に知り合い、時間をかけて親しくなってから付き合いたい、という恋愛観を指します。
「나는 자만추라서 소개팅은 안 해(私は自然な出会い派だから、紹介デートはしない)」のように使います。反対は「인만추(インマンチュ、人為的な出会いの追求)」で、紹介やマッチングアプリで出会うことです。
4本目の記事にあった屋外席デートや企業の企画は、主催者が用意した「인만추」の場を、できるだけ「자만추」らしく感じさせる工夫とも言えそうです。
ちなみに冗談では、「자장면에 만두 추가(ジャージャー麺に餃子追加)」の略とも。人気バラエティ『ランニングマン』で国民的MCのユ・ジェソクがこう答えて広まりました。
今日は以上です。最後に、二週間前のニュースレターで紹介した映画2本の、その後についてお知らせします。
映画『ちいかわ』は21日までに観客190万人を突破し、今も首位を走っています。『暗殺者(たち)』も同じく21日時点で累計約330万人と、損益分岐点に届こうとしています。
来週は、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の日本版リメイク『南田南弁護士は天才肌』が韓国でどう受け止められているかを、お届けする予定です。
韓国ドラマや韓国の今については、X(misam34)でも日々つぶやいています。
それでは皆さま、また来週の金曜日に。アンニョンヒケセヨ。(Misa)
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