【デイリー・コリア・フォーカス】26年10月15日号[韓国政治社会]:ハングルの日100年、存在感増す韓東勲、世宗市に公務員1万人移転など

皆さま、アンニョンハセヨ。今日は10月15日、木曜日です。
韓国政治・社会を扱う今号は、いつものように報道ディレクターの朴眞煥さんの担当です。今日の内容は以下の通りです。
(1)与党からの‘攻撃’により、際立つ韓東勲の存在感
(2)外交部や統一部も世宗市へ…予想より早い移転に「困惑」も
(3)ハングルの日100年、「新しい春」の到来か
(4)10万人がホームレスの危機…若者の今
(5)今日の時事韓国語「비서실장」
なお昨日(水曜日)は、定例のYoutubeライブ配信を行いまいた。ウクライナ、朝鮮、米国と、それぞれとの関係性に悩む韓国政府の立場について説明しました。
以下のYoutubeリンクよりご視聴いただけます。よろしくお願いいたします。
(1)与党からの‘攻撃’により、際立つ韓東勲の存在感
無所属の韓東勲(ハン・ドンフン、53)議員が注目を集めています。検事出身の韓氏は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の側近で、法相や「国民の力」代表を務めました。
しかし、24年12月の非常戒厳の際にはこれに率先して反対し、その後も尹大統領の弾劾に賛成したことから、国民の力から「裏切り者」と批判を浴び、党を除名されました。
その後、浪人生活を経て、今年6月の補欠選挙では釜山(プサン)北区の選挙区から議員に当選。劣勢の中の逆転劇で、「尹錫悦の子分」というイメージを払拭することに成功しました。
無所属ながら盛んなメディア露出を続けています。
最近では、法務長官に指名された与党・共に民主党の金承源(キム・スンウォン)議員について、新薬承認をめぐる口利き疑惑の音声録音を公開し、辞任に追い込みました。ただ、この資料は非公開が原則である検察の捜査資料ではないかとの指摘もありました。

韓東勲議員。同氏のfacebookより引用。
同氏はさらに、故盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の金品受領疑惑も再び持ち出しました。進歩派の間には、「検察による政治的な捜査が盧氏を自殺に追い込んだ」という見方が根強く、それが、いまの検察改革を押し進める原動力の一つにもなっています。
韓氏の発言の特徴は、その激しさにあります。メディアや支持者受けするような強い言葉を選んで使います。もっとも、もう少し言葉を選んでほしいと感じることがあります。
一方、与党側は韓氏への批判を強めています。朝鮮日報によると、共に民主党が9月以降に出した約500件の党の公式論評のうち、110件が韓氏への批判でした。
与党はまた、韓氏の娘の学業実績などをめぐる疑惑について、再捜査を求めています。疑惑が出た当時、法務部長官であった韓氏が捜査に介入したのではないかとの見方を強めています。
韓氏本人は疑惑を否定、警察も過去に立件をに送った経緯があります。ただ、疑惑が完全に晴れていないことも事実でしょう。今後、再捜査の可能性も出てきています。
京郷新聞は、こうした韓氏への「集中砲火」に対して民主党内からも「かえって彼の存在感を大きくしているだけだ」という懸念の声が出ていると伝えています。(朴眞煥)
(2)外交部や統一部も世宗市へ…予想より早い移転に「困惑」も
以前もお伝えした韓国の行政機関の世宗(セジョン)市への移転について、韓国政府は13日、追加の具体策を発表しました。韓国メディアがそろって、その内容を報じました。
移転案によると、法務部や金融委員会など、首都圏に残る44機関、公務員約1万人が対象です。来年には27機関が民間の借り上げ庁舎へ移り、外交部(外務省)、統一部、国防部など残る17機関は、庁舎を新築して2031年までに移転する計画です。
ただし、法務部など5つの行政機関は法律で移転対象から除外されているため、実現には法改正が必要です。すでに43機関が世宗市へ移転しており、今回の追加の移転で行政機能をさらに集め、首都圏への一極集中を和らげる狙いがあると政府は説明しています。

世宗市には歴代大統領の記録を集めた大統領記録館もあります。25年5月、徐台教撮影。
聯合ニュースは「来年上半期とは」という見出しで、予想より早い移転に戸惑い、住まい、子どもの教育環境に対する不安を抱く公務員の声を伝えています。
一方、ハンギョレ新聞は「今後の課題」について報じています。
世宗市は公共交通が不便で、医療体制にも課題が残ると指摘。移転完了は李在明大統領の任期が終わる2030年より後になるため、政策を継続できるかが問われると報じています。
さらに、大統領府や最高裁などの移転へ議論が進めば、首都移転を違憲とした2004年の憲法裁判所の判断をめぐり、再び論争が起きる可能性もあると伝えています。(朴眞煥)
(3)ハングルの日100年、「新しい春」の到来か
3連休が明けた今週ですが、お隣の韓国では10月9日から3連休でした。
この10月9日は、ハングルの制定を祝う韓国ならではの祝日「ハングルの日(한글날)」です。
記念日が始まってから、今年でちょうど100年の節目を迎えました。1991年に一度祝日から外されたものの、言葉の大切さを訴える市民運動や世論の後押しを受け、2013年に祝日として復活した経緯があります。
この節目に合わせ、韓国のMBCニュースは、ハングルを守り広めてきた100年の歩みを特集しました。1926年に初めて記念日を祝った際、雑誌『新民』に掲載されたのは、次のような一節だったといいます。
「新しい春が訪れれば、私たちの文字は世界の人々の喝采を浴びるだろう」
当時は日本の植民地支配下で、自分たちの言葉や文字への弾圧が厳しさを増すなかでも、朝鮮語研究会(後の朝鮮語学会)をはじめとする人々は辞書を編纂し、ハングルを守り抜いたとMBCは伝えています。
(↑MBCの該当ニュースはこちらのリンクからご覧いただけます(韓国語))
特集ではさらに、世界中のファンがK-POPの歌詞を韓国語で口ずさむ様子や、米エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが「チメク(チキンとビール)に勝るものはありません」と語る姿なども紹介されました。
音楽やドラマ、食を通じて、韓国語の学習者は増え続けています。
聯合ニュースによると、韓国語能力試験(TOPIK)を受ける外国人も年々増え続け、昨年は9月時点で約55万人に達しました。(朴眞煥)
(4)10万人がホームレスの危機…若者の今
「建物の階段で体を丸めて、3日間を過ごしました。今夜寝る場所がないというのは、お金も、頼れる大人も、食べるものも、本当に何ひとつないということです。この状況に耐え続けることが、私にとってのホームレス生活でした」
京郷新聞が7日に紹介した、住まいを失った若者の言葉です。
若者の居住支援を行う「ダダダ社会的協同組合」が、過去1年にホームレス状態を経験した19〜34歳の156人を対象に行った調査を元に、韓国メディアがその実態を報じています。
この調査では「ホームレスまたはその予備軍と言える青年が、青年全体の約1%である、10万人に達する」と推定しています。

ダダダ社会的協同組合による、調査結果の発表会。今月7日にソウルで行われた。同組合HPより引用。
オーマイニュースは、やはり同調査を引用し、過去1年に路上生活の経験がある人が16.7%である点を伝えています。
一方で、ホームレス状態にある青年の内、うつ症状のリスクがある人は84.6%にのぼっています。これは青年全体の平均の10倍に達する数値です。76.3%は自殺や自傷を考えるなど、孤立しています。しかし、緊急福祉制度を利用できた人はわずか12%にとどまりました。
京郷新聞はさらに、家庭内暴力から逃れた若者に対する、家族の下へと戻ることを前提とする支援体制の問題点を指摘しています。
調査によると、ホームレス状態になったきっかけでは、家族の解体が25%、家庭暴力が19.5%に達します。幼い頃から実父や親族の暴力を受けていたイ・ジェウンさん(仮名)は、シェルターに避難しては、家族のもとへ送り返されることを繰り返していました。
イさんは「家に戻るくらいなら、死んだ方がだった」と語っています。各紙ともに、政府の福祉システムの拡充を求めています。(朴眞煥)
●朴眞煥の今日のひとこと
普段の生活で韓国語を話す機会はめっきり減ってしまいました。記事を読んだりニュースを聞いたりはしても、実際に声を出して会話をする機会はほとんどありません。
今ではすっかり、日本語を話しているときのほうが落ち着くほどです。会社で韓国人の同僚と廊下でばったり会っても、気づけばお互い当たり前のように日本語で立ち話をしていて、思わず笑ってしまうこともあります。
でも、よくよく考えてみると、単に「日本語に慣れたから」というだけでもない気がするのです。街中など公の場で韓国語というより「外国語」を口にすることに、どこか身構えてしまっている自分がいます。
その根っこには、外国人や異質なものに向けられる日本社会のまなざしを、無意識のうちに気にしてしまっている部分があるのかもしれません。
先日、日本に来ている韓国人の同僚と小さな居酒屋に行きました。隣の人と肩が触れ合うような狭い店です。隣のお客さんが帰り際に、韓国語で話しかけてくれました。いま、韓国語を一生懸命勉強しているそうです。
最近は「ドラマにハマって」とか「韓国旅行が大好きで」と話してくれる人に本当によく出会います。こういう温かい触れ合いがあると、少しホッとします。ハングルの日を迎えて、ふとそんなことを考えました。
(5)今日の時事韓国語「비서실장」
「ピソシルチャン」と読みます。漢字では「秘書室長」です。14日、李大統領は2代目の秘書室長として、林光鉉(イム・グァンヒョン、57)氏を任命しました。現職の国税庁長からの転身です。
税務調査畑ひと筋の人物であることから、国政の全体を見ながら大統領に直言をも厭わない秘書室長の重責を担うに値するのか、評価は揺れています。
李大統領の元弁護人の姉の夫であることから、「忠実なイエスマン」でしかないのではという辛口評価も韓国メディアに散見されます。
この人事は、30%台中盤と支持率低迷にあえぐ李大統領にとって、どんな結果をもたらすでしょうか。(徐台教)
今日は以上です。
午前には中国と朝鮮を結ぶ、新鴨緑江大橋の開通式がありました。私が中国によく行っていた当時、工事が進んでいた橋です。物流量の増加にとどまらない変化が起こるでしょう。変曲点になるでしょうか。
それではまた明日お届けします。ありがとうございます。アンニョンヒケセヨ。(徐台教)
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