【デイリー・コリア・フォーカス】26年10月16日号 [カルチャー]:釜山映画祭に日本人俳優も多数参加、ドラマ『100日の嘘』好発進 など

本ニュースレターは、サポートメンバーおよび一般登録会員すべての方にお送りしております。
徐台教 2026.10.16
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。Misaです。

先週の初回には、たくさんの反応をありがとうございました。私が住むソウルはすっかり秋です。

さっそくですが、今週の目次は以下の通りです。

(1)釜山国際映画祭が閉幕…配信ドラマが相次ぎお披露目、日本人俳優も多数参加
(2)ドラマ『100日の嘘』が好発進…tvN20周年の大作は、日本統治期の京城が舞台
(3)日本の物語×韓国の制作力で世界へ、『メリーベリーラブ』と『ドクターX』
(4)Netflix韓国バラエティの新しい流れは「苦労」と「嘘のなさ」
(5)カルチャー韓国語:진정성(チンジョンソン)

***

(1)釜山国際映画祭が閉幕…配信ドラマが相次ぎお披露目、日本人俳優も多数参加

第31回釜山国際映画祭(BIFF)が10月6日から15日まで開かれました。同映画祭は今年3月、カンヌ・ベルリン・ベネチアと並ぶ「Aリスト映画祭」に選ばれており、節目の開催となりました。観客は11年ぶりに20万人を超えました。

近年のBIFFには、二つの特徴があります。一つは、映画だけでなく配信ドラマのお披露目の場になっていること。今年もNetflixのドラマ『プルンギル -青の道-』(푸른길)やDisney+のドラマ『再婚承認を要求します』(재혼 황후)が、配信に先がけて釜山で世界初公開されました。

Netflixオリジナル『プルンギル -青の道-』(푸른길)ではソン・ソックと永山瑛太の共演が注目されている(公式ポスター:Netflix公式より)

Netflixオリジナル『プルンギル -青の道-』(푸른길)ではソン・ソックと永山瑛太の共演が注目されている(公式ポスター:Netflix公式より)

もう一つが日本勢の多さです。まず、韓国作品に日本の俳優が出演するケースが増えました。笠松将が韓国語で演じた映画『剃刀』(면도)はコンペ部門に選ばれ、『プルンギル -青の道-』では永山瑛太がソン・ソックとともに主演しています。

さらに日本作品そのものの出品も多く、是枝裕和監督の映画『ルックバック』、長澤まさみ主演の日台合作映画『このごにおよんで愛など』などが上映され、横浜流星、道枝駿佑、沢尻エリカら多くの日本人俳優が釜山入りしました。

日刊紙・アジアトゥデイは、日本の俳優が集まる背景を「Aリスト入りで映画祭の格が上がった」「韓国進出の足がかり」「活動が難しくなった中国に代わり、韓国を海外展開の拠点にする日本の俳優や歌手が増えた」と分析しています。

(第31回釜山国際映画祭のレッドカーペットに登場した日本の俳優たち。iMBC芸能のYouTubeチャンネルより)

***

(2)ドラマ『100日の嘘』が好発進…tvN20周年の大作は、日本統治期の京城が舞台

舞台は日本統治下の1932年の京城(ソウル)。京城一のスリが独立運動の団体と取引し、100日間、朝鮮総督府に通訳生として潜り込む。総督府の通訳官との恋が絡む諜報ロマンス『100日の嘘』(100일의 거짓말)が、10月10日に始まりました。

tvN開局20周年の特別企画で、演出は『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のユ・インシク監督、主演はキム・ユジョンとGOT7のジニョンです。

1話の放送後、韓国では「映画のような演出と没入感」と好意的な評が並びました。視聴率は1話5.3%、2話7.6%で、ケーブル・総合編成チャンネルの同時間帯1位。Netflixでも世界5位まで浮上しました(FlixPatrol調べ)。

※視聴率はいずれもニールセンコリア調べ、全国基準(以下同様)

『100日の嘘』公式ポスター(tvN公式より)

『100日の嘘』公式ポスター(tvN公式より)

日本でもNetflixで同時配信されていて、SNSで真っ先に話題になったのは日本語のセリフでした。総督府ナンバー2のサトウ・シンイチを演じるチン・ソンギュには「日本語がうますぎる」という声が相次ぎました。

主演の2人を含めて俳優たちの日本語は軒並み自然で、この時代の人物を演じることへの覚悟と熱い思いが伝わってきます。思いがけず、それが日本の視聴者をこの作品に引き寄せてもいます。

日本統治期を描いた韓国作品は、残念ながら日本では題材だけで敬遠されがちです。また、この時代を正面から描いた作品には、日本で公開されていないものもあります。

『100日の嘘』はまだ2話ですが、ロマンスを軸にしながら、1919年に日本軍が村人を教会に集めて殺害し、約30戸の民家もろとも焼いた堤岩里(チェアムリ)事件など、実際の出来事をモチーフにした描写も登場します。

もちろんドラマには脚色があります。それでも、韓国で広く語り継がれている一方、日本では触れる機会の少ない歴史への入口にはなるはず。日本の統治下で日々を送った人々の暮らしや、独立を願った人々の思い。私たち日本人がそれを知るきっかけとなることを期待しています。

***

(3)日本の物語×韓国の制作力で世界へ、『メリーベリーラブ』と『ドクターX』

日本の物語を韓国の制作陣が手がけた2本が、そろって世界で好発進しました。

1本目は日本テレビのドラマ『メリーベリーラブ』。日本の島でイチゴを育てる女性(今田美桜)と韓国の空間プランナー(チ・チャンウク)のロマンスで、韓国のエンタメ大手CJ ENMと日本テレビの初の共同制作です。

企画・演出・脚本は韓国側。日本では「韓国ドラマのよう」と賛否が分かれる一方、世界では10月7日の配信開始から2日でDisney+のTVショー部門2位、73の国と地域でTOP10入り(FlixPatrol調べ)。Disney+の発表では、配信開始後5日間の視聴数が、今年Disney+に登場した日本発の実写作品で世界1位という快挙です。

2本目は、テレビ朝日の人気シリーズを韓国でリメイクしたSBSのドラマ『ドクターX:白いマフィアの時代』(닥터X: 하얀 마피아의 시대)。視聴率は1話11.4%、2話14.9%で、初回視聴率は、週2回放送の連続ドラマとしては今年最高です。Netflixでも公開後3日間の集計で、公式の週間ランキング非英語TVショー部門の世界1位になりました。

左:『メリーベリーラブ』(Disney+公式より)、右:『ドクターX:白いマフィアの時代』(SBS公式より)

左:『メリーベリーラブ』(Disney+公式より)、右:『ドクターX:白いマフィアの時代』(SBS公式より)

設定は原作とほぼ同じですが、主人公の描き方が大きく違います。ミニスカートにハイヒールの大門未知子に対し、キム・ジウォン演じるケ・スジョンはショートボブに白衣の、さばさばした「手術室の狂犬」。

誇張とコメディで見せた日本版に対し、韓国版はノワール・スリラー色を強め、病院を巨大な権力組織として描いています。放送後には、手術の判断などが現実の医療と違うという指摘も出て、医療考証をめぐる議論も起きています。

日本のドラマを韓国の制作陣が手がける。もしくは、日本のヒット作を韓国ドラマとして作り直し、世界の視聴者に届ける。そんな流れが加速する中で、日本の放送局や制作会社も、これまでとは違う一手を求められていくのではないでしょうか。

***

(4)Netflix韓国バラエティの新しい流れは「苦労」と「嘘のなさ」

日本では俳優のバラエティ出演といえば番宣のゲストが中心ですが、韓国では主役級のスターが数日から数週間、国内外で本気で何かに挑む番組が定番です。

ここ数年は特に、海外で韓国料理店を開く『ユン食堂』『ソジンの家』のような「お店を運営する」ものが流行。俳優にとっては、素の姿で既存のファンを喜ばせ、新しいファンも作る貴重な機会です。

今年Netflixでヒットした韓国バラエティも、その系譜です。ユ・ジェソクがイ・グァンス、ビョン・ウソクらとキャンプ場を営む『ユ・ジェソクの集まれ!破天荒ハウス』(유재석 캠프)は5月の公開後、世界の非英語TVショーで5位に。

『キアンの破天荒ゲストハウス』(대환장 기안장)シーズン2は、9月22日の公開から3週目までNetflix韓国で1位を維持しました。主人のキアン84は漫画家ですが、常識外れの発想と本音しか言わない性格が人気で、今はバラエティの顔。

シーズン2は雪深い高原・大関嶺(テグァルリョン)で、冷蔵庫やラーメンの箱が寝床という奇抜な宿を、2PMのイ・ジュノ、LE SSERAFIMの日本人メンバー・カズハらと切り盛りします。

左:『ユ・ジェソクの集まれ!破天荒ハウス』、右:『キアンの破天荒ゲストハウス』シーズン2(いずれもNetflix公式より)

左:『ユ・ジェソクの集まれ!破天荒ハウス』、右:『キアンの破天荒ゲストハウス』シーズン2(いずれもNetflix公式より)

オンラインメディア・ヘラルドミューズは、こうした番組の鍵を「苦労」と「嘘のなさ」(진정성)だと分析しています。

字幕や効果音で感情を誘導するより、出演者が実際に苦労する状況で素の反応を撮る。人気PDのナ・ヨンソクも、「日の出に感動して泣く」ような定型より、「疲れた、もう見たくない」という素直な反応こそ本物だと話しています。

『キアンの破天荒ゲストハウス』が受けているのも、現実と番組の境目がないからだと思います。どちらも日本のNetflixで見られます。

***

(5)カルチャー韓国語:진정성(チンジョンソン)

新コーナーです。カルチャーにまつわる韓国語を毎週紹介していきます。

今回は「진정성(チンジョンソン)」、漢字にすると「真正性」です。4本目の記事出てきた言葉で、韓国のドラマや映画のレビューには必ずと言っていいほど登場します。韓国の国語辞典の説明は「真であり正しい性質」の一行だけですが、実際はもっと広く使われます。

「진정성 있는 연기」なら「役に入り込んだ、嘘のない演技」。

「진정성 있는 사과」なら「心からの謝罪」。

日本語の「誠実」が人柄、「本気」が熱量を指すのに対し、진정성は嘘や作為がなく本心が伝わるか、言っていることと中身や行動が一致しているかを見る言葉として使われます。

芸能人や企業の謝罪文が「진정성이 없다(心がこもっていない)」と叩かれるときの定番の物差しでもあります。

***

今日は以上です。10月はドラマが豊作で、うれしい限りです。今回紹介したように、普段は韓国ドラマを見ない方でも入りやすい作品がたくさんあります。気になった作品があれば、ぜひご覧になってみてください。

韓国ドラマや韓国の今については、X(@misam34)でも日々つぶやいています。

それでは皆さま、また来週の金曜日に。アンニョンヒケセヨ。(Misa)

無料で「「コリア・フォーカス」(徐台教責任編集)」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら

提携媒体・コラボ実績

誰でも
【デイリー・コリア・フォーカス】26年10月15日号[韓国政治社会]:...
誰でも
【デイリー・コリア・フォーカス】26年10月13日号[韓国AI事情・経...
誰でも
【デイリー・コリア・フォーカス】26年10月12日号 [朝鮮半島問題]...
誰でも
【デイリー・コリア・フォーカス】26年10月9日号 [カルチャー]:映...
読者限定
【デイリー・コリア・フォーカス】26年10月8日号[韓国政治社会]:映...
誰でも
【デイリー・コリア・フォーカス】26年10月7日号[朝鮮半島問題]:軍...
誰でも
【デイリー・コリア・フォーカス】26年10月6日号[韓国AI事情・経済...
誰でも
【デイリー・コリア・フォーカス】26年10月5日号[番外編]:日本出張...