【デイリー・コリア・フォーカス】26年3月12日号

皆さま、アンニョンハセヨ。
今日も韓国から徐台教が、「デイリー・コリア・フォーカス」3月12日号をお送りいたします。
昨日は仕事と関連し、大きな進展がありました。
1月はじめにこの‘毎日ニュースレター’の企画を始める際に、これはあくまでコリア・フォーカスの「入り口」であると位置づけていました。
「本丸」はあくまで、言論を通じ朝鮮半島と日本の理解を深め、さらにそれぞれの社会を良い方向に変えることを目指す点にありました。
これをどう実現するのか、ひとつひとつ考えを整理し、準備を進めてきましたが、ようやくその第一歩を踏み出せるようになりました。
分かるような分からないような説明ですが、そう遠くない内に、きちんとした形で改めて共有いたします。
また、これは明日、SNSなどを通じしっかりした宣伝文句と共に告知しようと思っているのですが、拙著『分断八〇年 韓国民主主義と南北統一の限界』(集英社クリエイティブ)の三刷が決まりました。
まだ「2万部」という目標は遠いですが、それでも一歩一歩前進しています。ひとえに応援していただいた皆さんのおかげです。ありがとうございます。
3月末で発売から半年となりますが、朝鮮半島問題を読み解くテキストとして依然として有用です。今後ともよろしくお願いいたします。

集英社クリエイティブさんのバナーを拝借。ありがとうございます。
前置きが長くなってしまいました。
今日の目次は以下の通りです。
1. 韓国メディアは「東日本大震災から15年」をどう報じたか
2. 就任300日、李在明氏のリーダーシップは「問題解決型」
3. 今日の時事韓国語「혐중」
1. 韓国メディアは「東日本大震災から15年」をどう報じたか
3月11日に発生から15年を迎えた東日本大震災。韓国メディアがこれをどう報じたのかを整理します。
まず、11日晩の地上波3社のメインニュースでは取り上げられていませんでした。これは少し残念でしたが、イラン攻撃による様々な混乱を伝えることが優先されたと見るべきでしょう。
余談ですが、日本のNHKにあたるKBSは、東京のガソリン価格をチェックしていました。
韓国よりも上昇幅が明らかに低いとし、今日(12日)からは販売価格が大幅に上がる見通しを伝えていました。さらに民間と政府がそれぞれ15日、ひと月分の備蓄分を放出するという内容も。
印象に残ったのは、東京のガソリンスタンドでコメントを求められた男性が「日本は一応、高市総理が一生懸命やってくれているので、今は皆が平穏に暮らしているようだ」と語っていた場面です。KBSはなぜ、これをニュースに入れたのか理解できない部分でした。何かの皮肉だったのかもしれませんが…。
本論に戻ります。テレビとは異なり、新聞や通信社で東日本大震災の話題は割としっかり扱われていました。
共通の話題としては、死亡・行方不明者が2万2230人にのぼる点、そして、福島県では7つの市町村にまたがる約309平方キロが「帰還困難区域」に指定されている点などです。
また、今なお約2万6000人が避難生活を送っている点にも触れていました。高市首相がこの日明かしたような、防災庁の設置や復興財源の確保などの話題もありました。
さらに、目標とされる2051年までの福島原発の廃炉完了も難しいと伝えています。
最大の通信社『聯合ニュース』では「廃炉目標は現状とは乖離している」という日経の社説を引用し、リベラル紙『ハンギョレ』では讀売新聞を引用しながら「廃炉と汚染された土をどう処理してよいのか展望がない」という内容を伝えていました。
このように、日本メディアを引用する報道が多かったです。リベラル紙の『京郷新聞』は一つの記事に、NHK、毎日新聞、日経、朝日といった記事の内容を引用する荒業を見せていました。
他方、目立った特徴としては「福島原発事故から15年」という見出しがあります。これは「汚染水(韓国メディアは一貫してこう表現)」放出を伴うことで、韓国にとってはより「身近な」視点と言えます。

「福島原発事故から15年」という見出しがずらりと並ぶ。NAVERニュース画面をキャプチャ。
なお今晩(12日)には、地上波SBSの看板番組の一つ『尾に尾を引く話(꼬꼬무ココム)』で東日本大震災を取り上げるそうです。
タレントと専門家が一堂に会し、ある出来事を様々な角度から振り返る番組で人気を博しています。厳しい震災当時の避難民の様子に出演者たちが涙したという記事が今日、出ていました。
他方、左派政党『正義党』が11日に声明を出しています。こちらは地震ではなく、原発事故の観点を重視するものです。
まず、被災者の方々への哀悼と慰労の言葉に始まり、廃炉が難しいことを取り上げながら、「原発はいつでも爆発する可能性がある」と言及しています。
そして「(原発事故から)15年が経った今、私たちはAI産業の発展と経済成長という美しい夢に良い、戻ってはならない道を戻っている。李在明政府が既存の原発の寿命を延長するのでは飽き足らず、新たな原発を建設するとしている」とし、この双方に反対すると表明しました。
今年1月26日、韓国政府は高い世論の支持(原発必要80%、新規原発推進60%)と電力需要を根拠に、原発2基新設を決めています。
まとめますと、普段、地震の少ない韓国に住む人々にとって、大震災は今なお遠い話かもしれません。
しかし「汚染水の放流」や原発事故への関心は高く、さらに今は年間900万人を超える人々が日本を訪れる時代です。これらの点が、新聞メディアの記事が比較的多かった背景にあるのでしょう。
2. もうすぐ就任300日、李在明氏のリーダーシップは「問題解決型」
李在明大統領は3月30日に就任から300日となるそうです。よくもカウントしているのだなと驚きましたが、これに合わせ(?)11日、『京郷新聞』が同氏のリーダーシップの特徴を6人の専門家に聞く記事を掲載しました。
専門家が共通して挙げた李氏のリーダーシップの特徴としては、「成果中心型」、「問題解決型」、「行政家型」があったそうです。
例えば、不動産投機を抑制する問題といった難題に対し、「解決するための具体的なロードマップを持って解決していっている」という評価でした。
仕事ができる背景に、城南(ソンナム)市長としての経験を挙げる専門家もいました。
「行政をよく知っているため、仕事をどう企画し、進め、完成させる方法を知る、仕事のノウハウがある大統領」というものです。
「大統領になった時に、アジェンダ(国政の議題)をどう導くべきか構想があった」ため、これと仕事ノウハウが合わさり、成果につながっているという認識でした。また、ディテールに強い点を長所と見る専門家は、「似たタイプの大統領はいない」と評しています。
また、XなどのSNSを通じ、「国民」とのコミュニケーションを迅速に取る部分への評価する声もありました。「21世紀のYouTube時代に合った大統領のリーダーシップを見せている」というものです。
別の専門家は権威主義ではない、直接のコミュニケーションがあるとし、「前任の(歴代)政府は特定の理念や政治的な名分という『宮廷の論理』を押し出してきたとしたら、李大統領は生活の現場でコミュニケーションを取っている」と分析していました。

11日の京郷新聞では、なかなか大きく取り上げられていました。
べた褒めのようですが、専門家たちはこうした姿の「コインの裏側」に留意することもアドバイスしています。
ソウル大政治外交学科の教授は「大統領個人のリーダーシップは記録的に達者だ」としながらも、個人技に依存しない政府としてのシステムの重要性を指摘しました。
また、別の専門家は「国政の大事も小事も直接チェックする『万機親覧』がリスクに成り得る」としています。「万機親覧」というのは、王が全てを直接つかさどるという意味です。メディア的には「そんなの無理だよね」というニュアンスを含む文章で使われます。
この専門家もやはり、システムを構築すべきと助言し、目先の問題だけでなく、「改革を引っ張るいくつかのアジェンダに集中し、李在明時代における生活の変化を体感できるような『大きな絵(構想)』を描くことが重要だ」と強調しました。
現在の世論調査を総合すると、李在明大統領の政治を肯定的に評価する層は約60~65%といったところです。高い支持を得ていることは間違いないでしょう。
一方で、大統領が前面に出すぎているという印象を、少なくない人が受けているはずです。
ただ、非常戒厳という暴挙に出た尹錫悦前大統領の弾劾・罷免を経て当選した大統領ということもあり、李大統領の理知的な様子は、「話の通じる人物が大統領になった」という安心感を市民に与える効果はあるでしょう。
任期はまだ4年以上残っています。多くの専門家が指摘するように、良い人材と良いシステムを整えた上で、安定した政権運営を期待したいところです。
3. 今日の時事韓国語「혐중」
「ヒョムジュン」と読みます。漢字では「嫌中」です。
日本における「嫌韓」と同じ使い方の言葉で、中国人嫌悪という意味です。韓国では一般的に嫌悪という言葉が「ヘイト」の意味で使われます。
それよりもやや弱い、中国・中国人への反感は「反中」と表現されます。
「嫌中」に関する最近の信頼できる世論調査には、昨年11月初頭に『韓国リサーチ』と週刊誌『時事IN』が共同で行ったものがあります。
この結果を整理した記事の中で、韓国の嫌中集団は全体の7%と診断しています。以下の四つの条件全てにあてはまる場合、嫌中集団となります。
(1)過度の反中情緒は韓国の国益に損を与える可能性がある:同意しない
(2)中国人を対象とする嫌悪発言(ヘイトスピーチ)を行うことは、表現の自由に該当する:同意する
(3)中国人の犯罪者は別の外国人犯罪者よりも厳しく処罰する必要がある:同意する
(4)国内にいる中国人は追放しなければならない:同意する
一つでも当てはまったらまずそうですが、全て当てはまってようやく嫌中となるようです。
7%という数を多いと見るか、少ないと見るか。皆さんはどちらでしょうか。
なお、11日に発表されたやはり『韓国リサーチ』の世論調査(調査時期は26年1月9~12日)によると、現在の韓国と中国の関係についての回答は、「良い」17%、「良くも悪くもない」52%、「悪い」26%だったそうです。
尹錫悦政権時の2023年1月に行われた同様の調査では、「良い」2%、「良くも悪くもない」20%、「悪い」78%だったことを考えると、韓中関係に関する認識はだいぶ良くなったといえるでしょう。
今日はここまでです。
やるべきことが山積していますが、「一人メディア」からの脱却の過程を思えば、その苦労も楽しいはずです。新しい姿をお見せできるようにします。
それではまた明日^^
いつもありがとうございます。(徐台教)
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