【デイリー・コリア・フォーカス】26年3月4日号

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徐台教 2026.03.04
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。

今日も韓国から徐台教が「デイリー・コリア・フォーカス」3月4日号をお送りいたします。

韓国にはYTNと聯合ニュースTVというチャンネルがあります。いずれもケーブルテレビですが、24時間ニュースを流す、ニュース専門チャンネルです。

チャンネルをここに合わせると、ほぼ100%、イランの状況を扱っています。ニュースでは同時に、韓国への経済的影響を「主要経済国の中で最も大きい」と分析しています。

ガザやウクライナでもひどい状況が続いていますが、イランは「地続き感」がこの二つの地域とは異なる点で、韓国社会に戦争の脅威を感じさせるようです。

…と、それらしく書いてみましたが、韓国で戦争を感じる直接のきっかけはおそらく、「株価」でしょう。

今日の目次は以下の通りです。

1. イラン情勢により、韓国の株価が「史上最大」の暴落
2. 「在韓米軍の移動も」米・イのイラン攻撃と朝鮮半島の関わり
3. 今日の時事韓国語「동학개미」

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1. イラン情勢により、韓国の株価が「史上最大」の暴落

4日付けの各紙朝刊一面は、いずれも株価の暴落が飾りました。

昨日お伝えしたように、韓国は2日が「3·1節(3·1独立運動記念日)」の代休でした。このため3日は、28日午後に米国・イスラエルがイラン攻撃を行って以降、はじめての取引日となりました。

このため、日本や台湾と比べても一日の下げ幅が大きかったと、私が購読する『京郷新聞』では分析していました。

どれだけ落ちたのでしょうか。

KOSPI(韓国総合株価指数)は5791.91と、前の取引日の2月27日から7.42%急落しました。また、新興株式市場のKOSDAQ指数も1137.70と、前日から4.62%下落しました。

この下げ幅は、2024年8月5日のマイナス8.77%に次ぐ大きなものでした。

4日付け朝鮮日報の一面。「中東拡戦の恐怖…KOSPIが爆撃を受けた」とあります。

4日付け朝鮮日報の一面。「中東拡戦の恐怖…KOSPIが爆撃を受けた」とあります。

同東亜日報の一面。「ブラックチューズーデー、中東の砲火にKOSPIがやられた」とあります。

同東亜日報の一面。「ブラックチューズーデー、中東の砲火にKOSPIがやられた」とあります。

こちらは中央日報です。「イラン、同時多発エネルギー襲撃、KOSPI7%暴落」とあります。

こちらは中央日報です。「イラン、同時多発エネルギー襲撃、KOSPI7%暴落」とあります。

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下落理由について、韓国各紙は「イラン発」としています。具体的には、中東情勢の悪化に伴う原油価格の高騰がインフレを招くという点です。

また、前述したような、韓国が他国と比べ下げ幅が多かった理由については、攻撃後の初取引日である点に加え「韓国の株価指数がその間あがり過ぎていたため」という分析もありました。韓国債の金利も同じく上昇しています。

また「安全資産」とされる金とドルの価値が上昇したことで、ウォン安にもなりました。1ドル=1466ウォンとなっています。

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この下落の流れは今日4日に、さらに激しくなりました。

15時30分の取引終了の時点で、KOSPIは5093.54と、さらに12.06%下落しました。下落率が8%を超えた午前11時16分には、取引を中断する「サーキットブレイカー」も発動されました。2001年の「9.11テロ」翌日の12.02%を超える、史上最大の下げ幅でした。

4日の株価暴落を伝えるニュース。「KOSPI最悪の日…9.11テロの暴落をも超える、史上最大の下げ幅」とあります。通信社『ニューシス』の記事をキャプチャ。

4日の株価暴落を伝えるニュース。「KOSPI最悪の日…9.11テロの暴落をも超える、史上最大の下げ幅」とあります。通信社『ニューシス』の記事をキャプチャ。

ウォン相場も、3日午後から4日午前にかけて夜間取引では1ドル=1505.8ウォンとなり、2009年3月以降、17年ぶりに1ドルが1500ウォンを超えました。4日日中の終値では1476.2ウォンでした。

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ニュースレターを通じ何度もお伝えしてきたように、韓国の株価指数は昨年来、サムスン電子やSKハイニックス、現代自動車などいくつかの主力銘柄を中心に、急激に上昇してきました。

しかし4日、サムスン電子はマイナス11.02%、SKハイニックスはマイナス8.73%、現代自動車はマイナス15.29%と軒並み値を下げています。

その間、上昇を続ける市場に参入しようと借金をして株を購入した人々がいました。証券会社の融資残高は4日の『聯合ニュース』によると、32兆8千億ウォン(約3兆5000億円)にのぼります。

今が底値で「買い」のチャンスなのか、それともさらに下がるのか。株式を保有している人々は気が気でないでしょう。

昨日と同じ行きつけのカフェに来ていますが、今日は株の話をしている人がいません。下がりすぎると話題にならないのかもしれません…。

購読する『京郷新聞』の4日付け一面。「イラン発の‘流れ弾’がKOSPIを直撃」とあります。いずれの新聞も戦争の表現を株価に当てはめています。韓国メディアの特徴です。

購読する『京郷新聞』の4日付け一面。「イラン発の‘流れ弾’がKOSPIを直撃」とあります。いずれの新聞も戦争の表現を株価に当てはめています。韓国メディアの特徴です。

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2. 「在韓米軍の移動も」米・イのイラン攻撃と朝鮮半島の関わり

米国とイスラエルによるイラン攻撃は、経済面とは別に、朝鮮半島情勢にも暗い影を落としています。各紙のコラムを参考に、どんな論調があるのか見てみます。

まず、最も旺盛な言及を見せたのは保守紙『朝鮮日報』でした。

4日付けの記事で、エレン・キム韓米経済研究所(KEI)学術部長が米国で開催されたセミナーで語った「イランのような『斬首作戦』を北朝鮮に適用することは難しい」という発言を紹介しました。

その理由とついてエレン・キム氏は、▲北朝鮮が核兵器を保有している点、▲中国とロシアが北朝鮮を支援している点、▲韓国と日本が北朝鮮の核および軍事的脅威を直接的に受ける場所にある、という三つを提示します。

なお、同氏の発言は『東亜日報』など、他にもいくつかの新聞が引用しています。

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他にも、金正恩氏の姿勢を「余裕を見せている」と評する3日付けの記事もありました。

父・金正日氏が、2001年の米国によるアフガニスタン攻撃の際には約25日、2003年の米国によるイラク攻撃の際には50日のあいだ姿を現さなかったことを例に、3月1日にセメント工場の視察に表れた金正恩氏に注目する論調でした。「北朝鮮はイランとは異なるという自信」という、韓国の国会議員の声も引用しています。

3日付け朝鮮日報の記事。「イラン空襲の翌日、金正恩は‘タバコ’の余裕…核保有の自信感か」とあります。同紙をキャプチャ。

3日付け朝鮮日報の記事。「イラン空襲の翌日、金正恩は‘タバコ’の余裕…核保有の自信感か」とあります。同紙をキャプチャ。

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また、やはり3日付けの記事では、米国によるイラン空襲が長引く場合、在韓米軍の軍事資産や兵力が中東へと移動する可能性があるとしました。

具体的にはパトリオットミサイルや、THAAD(終末高高度防衛ミサイル)、さらには無人機や監視のための装備などが対象になるとのこと。

昨年6月に米軍がイラン各施設に攻撃を加えた際には、在韓米軍が保有する8つのパトリオット砲台のうち、3つが500人の運用人員と共に、中東に配置されたという例も挙げています。

こうした予想に対し、青瓦台(大統領府)の関係者は「在韓米軍の戦力運用に対しては、韓米間で常に協議を行っている」と、朝鮮日報に答えています。

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やはり保守紙の『東亜日報』は、4日付けの社説で、中東での戦争が長期化する見通しであるとしました。その上で韓国は、「安全保障とエネルギー供給網が揺らぐ『複合危機』の激流に飲まれる可能性に備えるべき」と訴えています。

また、米国のトランプ大統領が3月末から4月中旬の間に訪中する際に期待された、米朝首脳会談についても「不確実性が大きくなった」と評しました。

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もう一つの保守紙『中央日報』では、やはりイランと北朝鮮を比較する視点を示しています。

2日付けの記事では、米国の著名シンクタンク「CSIS(戦略国際問題研究所)」のジョン・ハムレー所長へのインタビューがありました。

同所長は「イランと北朝鮮の核心的な違いは核兵器保有の有無」とし、「もし米国がイランと同じ方式で北朝鮮を攻撃する場合、北朝鮮は韓国に向けて核ミサイルを発射する可能性がある」としました。「米国と韓国はこの状況を避けるべき」と付け加えています。

また、3日付けの記事では「イランも米国も批判できない」韓国政府の姿勢について(昨日のニュースレターをご参照ください)分析しています。

「予防打撃の性質がある先制打撃」を行った(と主張する)米国を支持する場合、北朝鮮に対し米国が同様の行動を行うことを阻止できなくなるという論理です。

一方、米国への批判については、「米韓の間に散在する安全保障や経済面での懸案を考慮する場合、友邦の軍事作戦を正面から否定するのは不可能」という‘消息通’の声を紹介しています。

こうした理由から李在明政府の姿勢を評価します。記事中では、ある学者の「自発的な沈黙を維持することは賢明な戦略である」という声が紹介されています。韓国ならではの記事でしょう。

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一方のリベラル紙ではあまり言及がありませんでした。

『ハンギョレ』が先に紹介したような、在韓米軍が保有する軍事資産の一部が中東に動く可能性があるという記事を、3日付けで掲載していた程度でした。イラン情勢と朝鮮半島(北朝鮮)を結びつける視点は、保守陣営の方に強いようです。

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3. 今日の時事韓国語「동학개미」

「トンハッケミ」と読みます。韓国の株式市場に投資する個人投資家を指します。

「トンハッ」は漢字で「東学」であり、これは19世紀末に外勢(日本)と戦った東学農民運動から来ています。

一方「ケミ」はアリ(蟻)のことで、小額を動かす個人投資家を意味します。

これは2020年にできた新造語です。当時、新型コロナの拡散を前に、売りに回る外国人投資家に対抗し、韓国市場に投資する投資家という位置づけから、こう呼ばれるようになりました。

なお、米国など海外市場に投資する個人投資家は「西学(ソハク)ケミ」と呼ばれます。李在明政府は、「西学」から「東学」への乗り換えを優遇する政策を作っています。

いずれにせよ「동학개미」は、株式ニュースに頻出する単語です。

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今日はここまでです。17時半を過ぎてしまいました。

ニュースレターを送る時間をもう少し早めなければなりませんね。

それではアンニョンヒケセヨ。

いつもありがとうございます。(徐台教)

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