【デイリー・コリア・フォーカス】26年5月8日号

皆さま、アンニョンハセヨ。
5月8日、金曜日です。春らしい爽やかな気候の(風はずいぶん強いですが)ソウルの街角から、「デイリー・コリア・フォーカス」をお送りいたします。
今日はバタバタの日程の中、ようやく時間を作り書いています。

韓国国会。ソウル汝矣島(ヨイド)にあります。正門を入ってすぐのところにある碑(写真下部)には「民主主義最後の堡塁 大韓民国国会」とあります。24年12月3日の非常戒厳を切り抜けた後の25年に設置されました。今年5月、筆者撮影。
昨日に続き、今日午後2時からの国会本会議の場で、ふたたび改憲案の採決が行われる予定でした。
しかし最大野党・国民の力がフィリバスタ(議事妨害。韓国では無制限討論制度と呼ばれます)を予告したため、禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長が、改憲案の上程自体を取りやめました。
これにより、来たる6月3日の地方選挙で国民投票が行われる可能性はなくなりました。改憲手続きも振り出しに戻りました。ちなみに、国民の力は本会議場に入場すらしませんでした。
「意思決定権は国民の力が持っている。可だろうが否だろうが、投票すればよいでないか。(中略)無制限討論制度の悪用だ」
禹元植議長は本会議の冒頭から、このように国民の力を強く批判しました。
禹議長は「とても残念だ。とても惜しい」と述べ、「39年ぶりの改憲を霧散させた国民の力に、強力な遺憾を表明せざるを得ない」とまくしたてました。
その間、いかに丁寧に改憲に向けた手続きを進め、さらに国民の力の参加をうながしてきたのかを逐一説明しながら、この過程を「拙速な改憲」と断じる同党に対し、怒りを爆発させました。
改憲案には大統領が非常戒厳を宣布する際、国会の承認を得るようにする条項(内容)が新設されていました。
禹議長はこれを念頭に置きながら「こうやってもし、20~30年後にこのような不法な内乱がふたたび起きる場合、本当に国民の力は歴史の罪人になると明確に言いたい」と述べました。
それでも今回のプロセスを通じ「段階的な改憲についての共感が得られた」と指摘し、今後も国会が改憲に向けた動きを続けてくれるよう求めました。
またこの日、議長が上程するはずだった他の法案についても国民の力はフィリバスタを申請していました。与野党が合意したにもかかわらず、それを妨害する同党に対しても、「民生を人質にするものだ」と激しく批判しました。
この過程で禹議長は「腹立たしいし、涙が出そうだ」と述べ、実際に涙を流しました。閉会を宣言しながら、議事棒を3回叩く際には、渾身の力を込めていました。
なおこの日の国会には、ソウル市内の中学生も見学に来ていました。彼らの目にはどう映ったでしょうか。

渾身の力で議事棒を振り下ろす禹元植国会議長。国会放送をキャプチャ。
同じ頃、国会から約30分離れた光化門(クァンファムン)。
朝鮮時代の宮殿、徳寿宮(トクスグン)の斜め向かいにあるプレスセンタービルに、国民の力の張東赫(チャン・ドンヒョク)代表の姿がありました。ソウル外信記者クラブ主催の懇談会のためです。
「あなたがいる場所はここではないのでは」という疑問が頭から離れないまま、私もこの会に参加しました。冒頭発言に続き、張代表が記者たちの質問に答える同会は、約一時間半の間おこなわれました。
この日改めて明らかになったように、張代表の立場というのは、陣営論を一歩も出ないものです。
韓米日の強固な連係、北朝鮮への断固とした立場、統一への信念、そして進歩派に対し絶対に妥協しない態度などです。

国民の力の張東赫代表。5月8日、筆者撮影。
そういったやり取りを聞く中で、張代表がなぜ、同じ党の人士たちから「選挙運動に来るな」と総スカンにあいながらも「ブレない理由」が、ようやく理解できました。
台湾の敏腕記者が投じた「非常戒厳に対する立場がコロコロ変わる」という趣旨の質問に答える中で、張代表は「法曹人(判事出身)」と「政治家」、そして、50年来のクリスチャンという立場があることを明かしながら、これらが矛盾しない形で自身の中に共存している様を説明しました。
特に「神」について度々言及する姿は印象的でした。
神の手の中にある、というようなニュアンスも含め、張代表の人格を構成する上で、信仰が一つの軸になっている雰囲気がうかがえました。信仰の強さが、批判に動じない力を生んでいるのではないかというのが私の個人的な見立てです。
聞くところによると、国民の力の張代表派は米国のMAGA勢力につながろうとしているのですが、既にそれを行ってきた韓国内の極右との間で「MAGAの取り合い」が起きているようです。
ひどい話ですが、いずれにせよ6月3日の選挙を通じ、韓国の有権者の現在地が明らかになることでしょう。
前置きが随分長くなってしまいました。
これから本論というところで…今日は時間切れです。申し訳ありません。
朝鮮民主主義人民共和国の新憲法については、月曜日にお送りします。他にも興味深いテーマのストックが山ほどあるので、順次お届けします。

朝鮮民主主義人民共和国の新憲法。みっちり読み込んであります。
最後に、今日の時事韓国語は「어버이날」です。
「オボイナル」と読みます。
オボイというのはオモニ(母)とアボジ(父)を合わせた言葉です。日本語ではさしずめ「母父の日」となりましょうか。今日、5月8日がまさにそうです。
母の日、父の日が別々にある日本とは異なり、韓国ではひとまとめとなります。
政府サイトでは制定の理由を以下のように説明しています。
「母と父の恩に感謝し、大人と老人を恭敬する伝統的な美徳を称え、産業化・都市化・核家族化と退潮していく大人の奉養と敬老思想を拡散する契機とするため」
1956年に5月8日と制定されたもので、当時は「母の日」だったようです。
なお、この日は、女性独立運動家・趙信聖(チョ・シンソン、1873~1953)の葬儀の日を取って選ばれたものです。関連記事によると、22歳で夫を亡くした趙信聖氏は、生涯を教育事業に捧げたとのことです。
その後1973年3月になって、父を含めるようになり、上記のように広く大人を敬う日となったようです。
ちなみにうちの娘(今年中学1年生)は昨年、AIで作ったという感謝の手紙をくれました。
今日はここまでです。
それではまた来週お届けします。
韓国は朝晩の寒暖差が大きく、周囲では体調を崩す人が少なくないようです。日本は(主語が大きいですね)いかがでしょうか。皆さまもどうかご自愛ください。
アンニョンヒケセヨ。(徐台教)
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