【デイリー・コリア・フォーカス】26年6月29日号

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徐台教 2026.06.29
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。

今日は6月29日月曜日。新たな一週間の始まりです。今日はソウルは33度まで上がりました。それでもまだ湿気が低く、まあ暑い!という感じではありません。

それよりも梅雨入りが遅れていることが問題です。

このままですと7月に梅雨入りすることになりますが、公営放送KBSによると、7月の梅雨は過去53年にわたる観測期間のうち、1982年と2021年の2回だけあったということです。

7月の梅雨は豪雨を伴うことが多いという記事と、期間が短くなるという記事がありよく分かりませんが(まあこの二つは両立しますよね)、何事もなく通り過ぎて欲しいものです。

今日は4件もカフェを回る一日であったため、配信が遅くなってしまいました。一番大きかった出来事をお伝えします。

(1)「K-半導体強国を実現」李在明政府が韓国最大の投資プロジェクトを発表

今日29日午後、青瓦台(大統領府)で歴史的なプロジェクトの発表会が行われました。正式名は「大韓民国大跳躍3大メガプロジェクト国民報告会」というものです。

「大・大・大」と続く、ずいぶん気合いの入った名前です。内容は、▲半導体、▲AI(人口知能)ロボットなどのフィジカルAI、▲AIデータセンターという、三つの分野における大規模な投資計画を明かすものでした。

報告会は生中継された。奥には「回復を超え大跳躍へ 超格差の大韓民国」とあります。青瓦台提供。

報告会は生中継された。奥には「回復を超え大跳躍へ 超格差の大韓民国」とあります。青瓦台提供。

・政府と民間の力を総結集

この計画の目標について、李在明大統領はこう説明します。

「半導体、人口知能(AI)などの尖端技術分野での圧倒的な競争力を確保し、これを通じ成し遂げた成長の果実が、全国すべての国民にすべからく広がり、国民がそれを体感できるようにします」

そして、この日の報告会がその報告会の始まりになるとしました。

李大統領はさらに、世界は「人工知能の大公開時代、人工知能の新大陸を先に占有しようと、米国と中国をはじめとする主要国が死活をかけた競争を繰り広げています」という世界観を披露しました。

そして「ただ速度戦だけが生きる道です。どんな国よりも速いスピードで人工知能の核心要素を確保しなければなりません。半導体とフィジカルAI、AIデータセンターが、大跳躍のための三角の軸です。これらを一つにまとめ、速度感をもって韓国型の人工知能の生態系を構築することに、政府と民間の力量を総結集しなければなりません」と続けました。

悲壮とも受け止められる表現が続きます。

報告会には実際に、半導体メモリの世界1位、2位企業であるサムスン電子とSKハイニックスをはじめ、ロボット企業・ボストンダイミクスを買収したHD(現代)ロボテックス、LG電子、ヒュリオサAIといった有名韓国企業の会長が揃って出席しました。

左から李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子会長、李大統領、崔泰源(チェ・テウォン)SKハイニックス会長。青瓦台提供。

左から李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子会長、李大統領、崔泰源(チェ・テウォン)SKハイニックス会長。青瓦台提供。

・半導体

順に見ていきましょう。まずは半導体です。

現在の半導体メモリ生産における世界的な優位を元に、「国家の力量を総動員」し、「グローバルな半導体戦争の形勢を主導する」ことを目的とするものです。

具体的には二つの計画に分かれます。まずは現在、龍仁(ヨンイン)で建設が進む一般産業団地と国家産業団地の完工時期を、それぞれ12年、7年短縮し、2030年にはそのうちの工場ひとつを稼働させるというものです。

もう一方で、韓国の南西地方、いわゆる湖南(ホナム)と呼ばれる地域に、800兆ウォン(約84兆円)規模の半導体生産工場を作り、首都圏に次ぐ第二の生産拠点をとしました。

また、韓国中部の忠清(チュンチョン)圏には81兆ウォン(約8兆4000億円)を投資し、半導体パッケージングの拠点と、新規HBM(メモリの一種)工場の建設などを進めるとしました。

さらに、南東部の大邱・慶尚北道圏では、半導体の素材・部品・装備の拠点にするともしています。このように、地方での均衡発展に主眼が置かれている点も特徴です。

李大統領もこの日の冒頭発言で「既存の龍仁と平澤(ピョンテク)を中心という地域は既に限界を迎えている」と、背景に触れています。

この部門ではさらに、総力戦が強調されています。「大企業と中堅・中小企業、大学、中央ー地方政府など、国家の全構成員が団結する総力支援体系を構築する」と、プロジェクトの担当部署である産業通商部では明かしています。

・AI(人口知能)ロボットなどのフィジカルAI

フィジカル(肉体的)AIというのは、その名の通り、現実で動くロボットのことを指します。この日、冒頭で流れた映像では、工場や危険な作業現場、船舶、家での洗い物などを行うロボットが紹介されていました。

この分野については、今後5年間にAIロボットを専門とする1万人の人材を養成するとしました。また、中国などに対抗するため、ロボットの量産体制を迅速に構築するとしました。

具体的な場所としては、韓国西部の干拓地域のセマングム、大邱・慶尚北道地域を上げています。生産されたロボットはまず、教育・国防・災害対応などの目的で政府が買い上げ、勢いをつけると明かしています。

この分野においては、2030年までのフィジカルAIで「グローバル一強への跳躍」を目標に掲げています。また、国内独自かつ世界最高水準のAIモデルを開発するとぶち上げました。

・AIデータセンター

AIデータセンターとは、AIが学習や計算処理を行うためのもので、AIの生態系には欠かせません。この日の計画では、SK、GS、ネイバーといった大企業と共にデータセンターを作り、特にこの3社は550兆ウォン(約58兆円)を投資すると明かしています。

この過程を通じ、AIデータセンターを輸出産業にできるよう、競争力を強めるとしています。

***

報告会の途中で、李大統領は李在鎔会長、崔泰源会長と共に壇上に並び「新しい歴史が始まった。私たちは今、想像もできない新しい未来を迎えている」と自画自賛しました。

さらに、投資を決めた両会長を「国民的な英雄」と持ち上げ、90度の「フォルダ挨拶」をしました。なお、秘書室長が明かしたところによると、当初は「クンチョル」という伝統的なお辞儀をしたい意向を李大統領が持っていたそうですが、受け取る側の負担を考えやめたとのことでした。

壇上中央が李在明大統領。お辞儀を受けているのが崔泰源会長。国営KTVよりキャプチャ。

壇上中央が李在明大統領。お辞儀を受けているのが崔泰源会長。国営KTVよりキャプチャ。

***

・野党は反発も

以上、ざっと見てきました。

この投資プロジェクトについて、李大統領は「今日のこの青写真が、大韓民国の未来を決めるだろう」とその覚悟を明かしています。

また、青瓦台(大統領府)の中に、このプロジェクトを直轄する担当官を配置し、大統領みずから進めて行くとしました。

韓国政府と財閥企業が一蓮托生となって進めるプロジェクトですが、与党・共に民主党は支持する反面、最大野党・国民の力はさっそく反発しています。

その理論は、政府が無理やり企業に投資をさせているというものです。

「官治外圧経済」と名付ける一方、現段階で唯一具体的に決まっている湖南地域での半導体工場建設については、8月の与党の党大会に向けた「政略」であると評価しています。国政調査が必要だという声まで飛び出しています。

このような反応は予想されたものとはいえ、今後も露骨に政府の足を引っ張ろうとするでしょう。二大政党制の下では、両党は協力せずに相手の失敗を願い、なければ作り出す政治を行わざるを得ません。少なくとも韓国ではそうです。

以前のニュースレターでも触れたように、AI普及において、韓国は実際に他国よりも優位にあります。

これを生かし、国家経済の新たな礎とする。さらにその過程で、これまで開発から疎外されてきた南西部(湖南)地域を優遇するというのは不自然なことではありません。

まだ大風呂敷の段階を出ない部分もありますが、このプロジェクトは総額200兆円を超えるとされています。韓国歴代の投資の中で、ダントツに大きいものになるでしょう。その成功を願わずにいられません。

***

(2)今日の時事韓国語「무능」

「ムヌン」と読みます。漢字では「無能」です。そうです。サッカーの話題です。ご存知のように、韓国は決勝トーナメントに進めませんでした。

そしてその批判が、サッカー協会と洪明甫(ホン・ミョンボ)監督に集中しています。特に決勝トーナメント進出をかけた試合で見せた、無気力なチームの姿がファンの怒りを読んでいるようです。

韓国メディアも煽りに煽っています。29日付けの東亜日報一面は「無能サッカーにレッドカード」でした。

29日付け東亜日報の一面。画質が悪いですが、写真が洪明甫監督です。

29日付け東亜日報の一面。画質が悪いですが、写真が洪明甫監督です。

同じ日の韓国日報も一面で「サッカー協会・洪明甫の無能が作り出した大惨事」と伝えています。

29日付けの韓国日報一面。

29日付けの韓国日報一面。

サッカー韓国代表については、李大統領も28日、Xに厳しい書き込みをしました。

特に「結局、人事が万事であることが今いちど証明されました。能力よりも彼我をより重視し、無能な人を指揮官に選抜するならば、結果は火を見るより明らかだ」と表現しました。

李大統領の文章全体の主旨は、サッカー協会の改革に向かっていると読み取れるものの、これでは洪明甫監督が無能であるかのように読めるため、さすがにやり過ぎではないかという指摘がコメント欄などに相次いでいます。

「一国の大統領なのだから、選手と監督を労るべきだ」、「支持率が下がったので、市民の不満にかこつけて、人気取りに走っているのか」と手厳しい正論が寄せられています。 実に不用意な大統領の書き込みでした。

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今日はここまでです。それではまた明日、お目にかかります。

いつもありがとうございます。アンニョンヒケセヨ。(徐台教)

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