【デイリー・コリア・フォーカス】26年6月19日号

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徐台教 2026.06.19
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。

今日は6月19日です。日中は暑かったのですが、夕方から週末にかけては全国的に雨のようです。娘を習い事に送る際にとんでもない夕立に遭遇し、びしょ濡れになりカフェに駆け込んだのですが、数分後にはさっぱりとした空に変わっていました。まるで人生のようですね。

それでも韓国はまだ梅雨入りではないそうです。韓国メディアが伝える気象庁の見解によると、北太平洋高気圧がまだ陣取っていないためとのこと。例年よりやや遅い6月末頃の梅雨入りになるそうです。

1. 「EUと共感、トランプ大統領と深い対話」李在明大統領が欧州歴訪の成果を報告

昨日18日に、8泊10日におよぶ就任後初の欧州歴訪から戻って来た李在明大統領。今日午後、青瓦台(大統領府)でクラブ記者に向け会見を開き、その成果を報告しました。

本来は飛行機で行う予定でしたが、記者の疲労を考慮し今日行ったとする会見で(ここは笑うところだったらしいです)、李大統領は三つのパートに分けて説明しました。なお、会見では冒頭に発表文の朗読があり、質疑応答がそれに続きました。

(1)歴訪の位置づけ

まずは今回の歴訪について、李大統領は「国際社会で韓国の位相をより高め、国際社会の懸案の解決に対する責任感を確認する貴重な機会だった」と位置づけました。

位相というのは、韓国外交の頻出用語です。「存在感の大きさ」と言い換えることができるでしょう。

また、特にEU(欧州連合)との関係を強調しました。

「平和と繁栄、連帯と協力という共同の価値を中心に、中東情勢、韓半島の平和、経済安保、気候変動にいたるまで、国際社会の主要な懸案に対する共感帯を形成した」と述べています。

この部分を真っ先に持ってきた背景には、米国のトランプ大統領が不安定な外交路線を続ける中、欧州との連携を強めることで、韓国外交の安定感を高めた点をアピールする狙いがあるのでしょう。

共感帯という言葉も聞きなれないものですが、共感と同じ意味です。

19日午後、会見する李在明大統領。青瓦台提供。

19日午後、会見する李在明大統領。青瓦台提供。

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李大統領は続いて、G7首脳会談について言及しました。

昨年6月のカナダに続く、二年連続の招待だったとしながら、「韓国の国際的な位相と役割に対する国際社会の信頼と期待を確認した」と語りました。

議論された具体的な内容としては、▲新たなパートナーシップの構築と国際連帯の再建、▲グローバルな不均衡の解消と供給網(サプライチェーン)の安定、▲安全で迅速かつ効率的な人工知能(AI)導入の保障方法、などを挙げました。

これらの内容に対し積極的な発言をしたとし、「韓国の国益にあった国際協力秩序を主動的に推進していく」と明かしています。

なお、「国際社会からの期待」といった脈絡は、新型コロナ以降、韓国の大統領が言及することがとみに増えました。

当時、診断キットを大量生産し国際的に配布するなど、新型コロナ対策で目立った成果を上げ、さらに同じ時期に韓国が正式に先進国入りしました。

また、Kカルチャーが世界を席巻したこともあり、韓国の「位相」が大いに高まったことで、国際社会に寄与する立場への自覚が生まれました。

尹錫悦政権では自由主義陣営の「価値外交」を掲げ、これを実現しようとしました。李在明政権もこの路線をある程度受け継いでいますが、より「人類」を意識したより広い領域へとシフトしようとする動きが見えます。

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(2)実用外交の中身

次は韓国の国益にとって、どんな成果があったのかを並べていきました。

ベルギーとの交流強化、EUとは「デジタル通商協定」の締結や超国家犯罪への対応強化を成し遂げ、韓国産の鉄鋼輸入についての配慮を求めたとしました。

イタリアとは双方の関係を「特別戦略的パートナーシップ」関係へと格上げしました。この過程で中小企業や尖端科学技術、社会連帯経済、開発経済、文化の5分野でMOUを締結したとしました。

米国とは、造船分野をはじめとする協力で意見を同じくし、韓日米協力の重要性についても共感したとしました。「米国の軍艦10隻を早く作れるか」というトランプ大統領の質問に対し「当然可能で、最善を尽くす」と答えたそうです。

他にもカナダ、ドイツとは防衛産業分野での協力を模索し、ケニアとは「信頼できるパートナー」として関係を深めていくことにしたと説明しています。

なお、韓国企業は現在、6兆円を超える規模のカナダの潜水艦12隻建造プロジェクトの受注を、ドイツ企業と争っています。これについて李大統領は「とても期待しているが楽観できない」旨を明かしています。

16日(現地時間)、フランスでカナダのマーク・カーニー首相と会談する李大統領。青瓦台提供。

16日(現地時間)、フランスでカナダのマーク・カーニー首相と会談する李大統領。青瓦台提供。

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(3)朝鮮半島の平和について

この分野を特別に他の外交成果と分けて言及したのが、韓国的でした。繰り返すまでもないですが、韓国は「南北分断・対立」という他の国にはない事情を抱えています。

ここではまず、教皇庁で行った「平和と連帯のための特別ミサ」に触れました。ミサでは李大統領が韓半島の平和に対する意志を明かし、それをどう実現するのかという構想を明かしています。

特に印象的だったのは、2000年の史上初の南北首脳会談で出された「6.15南北共同宣言」がもたらした和解と協力の精神、そして平和に向かう火種が今なお生きているという部分でした。「意志」は何よりも大切です。

また、来年ソウルでカトリックの世界青年大会が開催され教皇レオ14世が訪韓します。

これに際し南北が対峙するDMZ(非武装地帯)の訪問を求め、「できるだけ北韓の訪問も推進してくるよう要請した」と明かしました。

教皇レオ14世はこれに対し「積極的に考慮し推進してみる」と答えたそうです。

15日(現地時間)、バチカンの教皇庁で教皇レオ14世と面談する李大統領。© Vatican Media

15日(現地時間)、バチカンの教皇庁で教皇レオ14世と面談する李大統領。© Vatican Media

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トランプ大統領との逸話も紹介しました。

晩餐会をはじめ何度か会う過程で「とても深みのある対話を交わした」とし、その中身には「韓半島の問題や米韓関係」が含まれていたとしています。

晩餐会では90分の間、隣席にトランプ大統領がいました。李大統領は「首脳会談よりも良かった」と真面目な顔で語りました。

李大統領は「韓半島の緊張緩和と持続可能な平和定着のために、役割を果たしてくれるようお願いした」と述べています。トランプ大統領は「韓半島の問題に深い関心を持っている点を繰り返し確認してくれた」そうです。

会見で李大統領が明かしたところによると、朝鮮の非核化について、李大統領は「中東に行ったのと同じやり方でアプローチしてはならない」と強調したそうです。確かにイランに対するように行うと大変なことになります。

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朝鮮の核問題についてトランプ大統領は「今や北韓の核問題について関心を持つ時期が来た」と言及したとのことでした。

一方で、トランプ大統領には「問題を解決する方法が見つからないという悩みも見受けられた」とし、李大統領は「一度には解決できない、段階的に目的を分けてアプローチすべき」という韓国の立場を長い時間にわたって伝えたそうです。

具体的には核物質生産の凍結から始まる現実的なプロセスです。トランプ大統領は「十分に考えてみる」と答えたとしました。

また、李大統領は「実際に韓国ができることは何もない」と率直に語り、朝鮮半島問題における核心的な役割は米国にあることを改めて認めました。「現実性のある提案をもって北韓と米国が交渉を開始する必要がある」と、現実性を強調しています。

なおこの日、李大統領は改めて「現在、北韓とは非常通信電話を含め、あらゆる疎通手段は断絶している」と述べ、軍事境界線で工事を続ける朝鮮人民軍との間に「小さな衝突がある」と明かしています。

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李大統領はこの日、政権発足から2年目にさしかかった現在を「韓国の大転換と大跳躍を本格的に導き出すとても重要な時期」と位置づけました。

国内的には与党指導部とのズレが目立ちますが、国際社会に出ることで改めてくだらない政争の危険性に気付いたのでしょう。「仇を相手するように闘ってはならない」と与党指導部を諌める発言もありました。

2. 今日の時事韓国語「폴더 인사」

「ポルダーインサ」と読みます。日本語にすると「フォルダ式お辞儀」となりましょうか。

ややこしいですが、「90度のお辞儀、最敬礼」となります。開閉するフォルダのイメージからついた名前です。

6月15日のニュースレターでお伝えしたように、李在明大統領と与党・共に民主党の鄭清来(チョン・チョンレ)代表は現在、同党の次期党代表をめぐる争いを繰り広げています。

確執が表面化する中、出国時には見送りリストから外された鄭代表が、李大統領の帰国時にどのような態度を取るのかが注目されていました。

政治評論家たちは「フォルダ式お辞儀をするだろう」と予想していましたが、これがズバリ的中しました。下の写真は青瓦台(大統領府)が公式に配布したものですが、90度でお辞儀する姿は下記リンクから見ることができます。手前の人物が鄭代表です。

青瓦台が配布した写真。握手しているのが与党の鄭清来代表です。

青瓦台が配布した写真。握手しているのが与党の鄭清来代表です。

なお、この「フォルダ式お辞儀」の元祖は、先の選挙で釜山市・北区甲選挙区の補欠選挙で当選した韓東勲(ハン・ドンフン)議員です。

尹錫悦大統領との確執が表面化した際、これをもって事態の沈静化を図りました。しかし最終的に二人の関係は決裂したことから、鄭清来ー李在明の関係の先行きを暗く見る評論家も多いようです。

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今日はここまでです。

朝鮮半島問題の現状について、「韓国にできることは何もない」とした李大統領の発言は重いものがあります。だからこそ、「コリア・フォーカス」のようなメディアが「公論の場」を作って行くことが重要になります。

そのクラウドファンディングですが、19日午後11時の時点で、132人の方からご支援をいただいております。目標額の14%を満たしている状態です。クラウドファンディングというのは、はじめの一週間を過ぎると関心がガクッと落ちると聞いています。

そのため、今が大切な時期です。下記のような呼びかけ文を各種SNSに書きましたので、ニュースレター読者の皆さまもぜひ、ご支援と拡散をお願いいたします。

クリックで説明ページに飛びます。

クリックで説明ページに飛びます。

<19日にSNSに書いた呼びかけ文>

16日から始めた「コリア・フォーカス」リニューアルのためのクラウドファンディング。現在まで120人の方々からご支援をいただき、目標金額の13%まで到達しました。

メディア氷河期のこの時代に、メディアを拡張するというのは無謀に映るかもしれません。

それでも拙著『分断八〇年』が数千冊売れたことを考える場合、小規模ながらも意味のあるメディアの運営は十分に可能だと思います。

そうとはいえ、その第一歩を踏み出し、軌道に乗せるまでは多くの困難が予想されます。

これまで例え一度でも「徐台教の記事はよかった」、「徐台教の視点は意味がある」と思われた方におきましては、どうか一度ページを覗き、内容をご確認ください。

支援をいただけると嬉しいですし、そうでない場合にも知人や友人の方々に広めていただけると幸いです。

「あの時のクラウドファンディングが朝鮮半島と日本の関係を変えた」と言われるよう、この先も本気で仕事に取り組んでいきます。何卒よろしくお願いいたします。

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それではまた来週月曜日にお届けします。皆さま、良い週末をお過ごしください。

アンニョンヒケセヨ。(徐台教)

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