【デイリー・コリア・フォーカス】26年6月12日号
皆さま、アンニョンハセヨ。
6月12日、金曜日です。今日は成田空港の出国ターミナルからお送りします。日本での日程をようやく終え、飛行機を待っています。
今日まで出張による短縮版ということで、一つだけ短いニュースをお伝えして、内容に代えさせていただきます。
ニュースレターの読者の皆さんはご記憶かと思いますが、尹錫悦前大統領(当時)による非常戒厳の2か月前の24年10月に、朝鮮民主主義人民共和国の朝鮮中央通信は、韓国から飛来したドローンが、平壌の中心部にビラを散布した後に墜落したと、写真付きで報じました。

平壌で発見された無人機(ドローン)。韓国の国防科学研究所は、これが韓国のものであると事実上認めています。昨年10月、朝鮮中央通信より。
当初は朝鮮に批判的な民間団体の仕業と思われていましたが、24年12月3日の尹大統領による非常戒厳後、尹政権が行ったことであることが分かりました。
そして特別検察官による捜査を経て、25年11月に起訴されていました。容疑は「一般利敵罪」および「職権濫用権利行使妨害」でした。
そして今日午前、ソウル中央地裁による一審判決がありました。
尹錫悦前大統領と金龍顕(キム・ヨンヒョン)国防部長官(当時)にそれぞれ懲役30年、呂寅兄(ヨ・イニョン)国軍防諜司令官(同)には懲役15年が宣告されました。
また、実務を担ったドローン作戦司令官(同)のキム・ヨンデには懲役3年と執行猶予5年が宣告されています。
裁判後に、ソウル中央地裁から配布された説明資料では、尹錫悦・金龍顕・呂寅兄の3人が朝鮮に向けドローンを飛ばした背景をこう解説しています。
「被告人尹錫悦・金龍顕・呂寅兄は、非常戒厳を宣布するためには、『戦時・事変またはこれに準じる国家非常事態として、軍事上の必要または公共の安寧秩序の維持のため、わが軍の兵力投入が必要な状況』または、少なくともそれに準じる状況の発生が先行される必要があると考えた」
つまり、大統領の特段の権限である「非常戒厳の宣布」を可能にする要件を満たすため、北朝鮮を刺激したということです。これにより「北朝鮮の軍事的な挑発を誘い、南北間に軍事的な緊張を造成しようとした」と、裁判所は結論づけています。
もっとあけすけに言うと、ドローンを飛ばすことによって南北の緊張を戦争状態にまで高めようとしたということです。
また、「大韓民国が保有する軍事力を、国家の安全保障、国土防衛とは無関係な、私的な目的に使ったもので、それ自体が不必要な軍事的な消耗を招き、有事の際にすぐに投入されるべき韓国の軍事力の活用可能性を妨害した」と言及しました。
一般利敵罪が成立する理由としては、この一連のドローン作戦により「韓国の戦力などが北韓に露出され、今後の作戦遂行が困難になり、北韓の備えを強化させる結果を招いた」とし、この作戦が「韓国の軍事的な利益を害した」と見ています。
他方、職権濫用権利行使妨害が成立する理由としては、この事件の実行および指示が非常戒厳の要件を満たす状況を作るためのもので、これが「憲法で定めた国軍の使命(国家の安全保障と国土防衛の神聖な義務の遂行)に反し、国軍を動員したもの」にあたるためです。
軍人達はこうした命令に服従する義務がないため、尹錫悦・金龍顕は軍人に対する職務上の命令権などを濫用したと判断されました。
また、金龍顕・呂寅兄の二人には、この作戦を隠ぺいするために消失したドローンを訓練中の消失と偽ったことに伴う罪状が追加されています。
なお、尹錫悦前大統領側は、あくまで「政治的な起訴」とし控訴の意を明かしました。
ドローンを飛ばしたのはあくまで、24年春以降に北朝鮮が韓国へと送った「汚物風船」への対応であり、「正当な軍事作戦」であったという主張です。
その実態がずっとヴェールに包まれていた事件ですが、裁判所が「非常戒厳の要件を作り出すため」と認めたことで、一旦の区切りとなりました。
本事件は、軍事機密を多く含むため告訴状が公開されておらず、判決の説明資料も十分な内容を含んでいません。そうとはいえ、裁判所が尹錫悦・金龍顕両氏の「思惑」を認めたことは重要です。
以上です。
もうすぐ飛行機に乗らなければならないため、今日はここまでとさせていただきます。
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それでは来週はまた、韓国からお届けします。
皆さま、アンニョンヒケセヨ。(徐台教)
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