【デイリー・コリア・フォーカス】26年5月13日号

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徐台教 2026.05.13
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皆さま、アンニョンハセヨ。

5月13日、水曜日です。日中は取材と会議が続き、とても遅い時間になってしまいましたが、今日も「デイリー・コリア・フォーカス」をお送りいたします。

目次は以下の通りです。

1. 韓国のナフサ事情は?「9割確保」も苦心続く
2. 今日の時事韓国語「말폭탄」

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1. 韓国のナフサ事情は?「9割確保」も苦心続く

昨日、日本のお茶の間に衝撃を与えた、カルビー社が一部の商品パッケージを白黒にするというニュース。晩の韓国ニュースや日刊紙で紹介されていました。

「石油原料節約パッケージ」のニュースを伝える、地上波MBCの12日晩のニュース。同ニュースをキャプチャ。

「石油原料節約パッケージ」のニュースを伝える、地上波MBCの12日晩のニュース。同ニュースをキャプチャ。

原因はナフサ不足から来るインク不足ということですが、ここでがぜん気になるのが韓国のナフサ事情です。私もあまり関心を持っていなかったので、いちどザッと調べてみました。

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まずは政府の発表です。

産業通商部のムン・シンハク次官は今月7日の会見で、「3月初頭のホルムズ海峡の封鎖以降、大統領が主宰する汎政府危機対応体制を稼働させ、先月(4月)、原油・ガス・ナフサなどの需給危機を克服し、7月まで安定的な需給基盤をつくった」と述べています。

これを伝えた聯合ニュースによると、5月から7月にかけては月平均約7000万バレルを確保しているそうです。輸入元は、サウジアラビア、米国、UAEなどです。

韓国は毎月8000万バレルの原油が必要とされているため、80%以上は足りている計算です。

また、ナフサは5月基準、平時の90%以上の物量を確保しているそうです。

政府は4月に成立した26兆2000億ウォン(約2兆7500億円)の補正予算の中で、6744億ウォン(約700億円)をナフサやLPGといった基礎原料の輸入支援にあてています。具体的には輸入単価の差額の50%を支援するかたちです。

さらに、4月から6月にかけて、米国、アフリカ、欧州など、原油の輸入元を多元化する過程で発生する運送費の差額を全額支援しています。これを8月まで延長する計画があることを、やはり産業通商部が今月になって明かしています。

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なお、以前のニュースレターでお伝えしたように、民官合同の特使団を通じ、年末までサウジアラビア・オマーンなどから最大で210万トンのナフサを導入することが決まっています。

直近の5月11日には、ナフサ6万トンを積載し、休戦の間をぬってホルムズ海峡を通過した貨物船が、韓国南西部・全羅南道の麗水(ヨス)市に到着しています。

政府による資金面のサポートは顕著です。

この貨物船がナフサを供給したのは、麗水市にある石油化学会社・麗川(ヨチョン)NCCです。

5月7日の聯合ニュースによると、同社に対し、韓国産業銀行(企業にお金を貸す国策銀行)など主な債券銀行が3億ドル(約470億円)の輸入信用状を発行することを検討しているそうです。同社が払えない場合にも、銀行が代金を支払うというものです。

同様の手続きには通常6週間かかるところ、産業銀行は今回、これを2週間に短縮しました。企業を側面から支援する形です。早ければ18日に決定するとのことです。

また、韓国貿易保険公社も5000万ドル(約78億円)規模の輸入保険を、同社に提供する計画があると明かしています。

韓国最大のエチレン生産社である同社はイラン戦争勃発直後に、フォース・モジュール(供給不可抗力)宣言を出し、稼働率が約半分の55%にまで落ち込んでいました。エチレンの原料はナフサです。政府の支援により稼働率は現在、65%まで回復しています。

『麗川(ヨチョン)NCC』のホームページ。

『麗川(ヨチョン)NCC』のホームページ。

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経済紙「毎日経済」の12日付けの記事によると、政府の補助金により、ナフサを米国、アルジェリア、オマーンなどから輸入することで、他の大きな石油化学会社の稼働率も、軒並み上昇しています。

オンラインメディア「ザ・ファクト」の12日付け記事によると、今年3月と4月のあいだ、中東産のナフサの割合は、59.5%から30%に減ったそうです。また、危機状況の下で、赤字にあえぐ各社の再編も進む見通しとのことです。

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一方で、苦しい産業現場の声を伝えるメディアもあります。

保守系のオンラインメディア「デイリーアン」は12日付けの記事の中で、食品業界の危機を報じました。これによると6月の「限界区間」を経て、7月が「マジノ線」、つまり耐えられる限界とのこと。

政府の価格抑制政策のため、原材料・副材料の値上げ分を値段に反映できず、包装材の生産の限界も押し寄せ、「製品の出荷自体ができなくなるシャットダウンが予想される」としています。ナフサは足りているが、その値段は80%上昇しているというのです。

また、韓国内の石油化学工場では、ナフサを加工して作るポリプロピレンとポリエチレンという包装材の生産量を、平時の3分の1に絞っている状況としています。

これを受け、今月9日、韓国食品産業協会をはじめとする13の業界団体が政府に対し、「一部の包装材の原料の在庫が、二週分しかない」という緊急建議書を提出したそうです。

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いちれんのしわ寄せは結局、物価となって現れます。

5月6日付けの「韓国日報」によると、韓国の4月の消費者物価は前年同月比2.6%上昇しました。

2.6%という数値は2024年7月以降、21か月ぶりの高水準です。具体的には軽油30.8%、ガソリン21.1%、灯油18.7%と石油類が上昇し、ナフサに関する原料を使うクリーニング代も8.9%上昇したそうです。

韓国の財政経済部では、政府の価格抑制策がなかった場合、3.8%まで物価は上昇していたとの見解を明かしています。また、5月はさらに物価が上昇する見通しと、同紙は伝えています。

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見てきたように、韓国では原油やナフサの供給は足りているものの、そのコストが上がることで、物価へのしわ寄せが徐々に現れる流れの中にあるようです。

私の家(金浦市)の近所のスーパーでは一時、ゴミ袋も在庫切れでした。これは今は復活していますが、肝心の終戦がいつ訪れるか分からない中、耐える時間ばかりが長引いていく状況に変わりはないようです。

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2. 今日の時事韓国語「말폭탄」

「マルポクタン」と読みます。「マル」は言葉、「ポクタン」は爆弾です。

「言葉の爆弾」という意味のように、相手に対し激しく浴びせかける爆弾のような威力も持った言葉を指します。

現在ですと、イランと米国が互いにぶつけ合い、韓国内では選挙をたたかう候補たちが「マルポクタン」の応酬を繰り返しているといった具合です。

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今日はここまでです。

あまりにスケジュールがタイトで、駆け足&こたつ記事になってしまいましたが、ご容赦ください。それではまた明日。

アンニョンヒケセヨ。(徐台教)

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