【デイリー・コリア・フォーカス】26年4月15日号

皆さま、アンニョンハセヨ。
4月15日、水曜日です。今日も快晴だった韓国・金浦から「デイリー・コリア・フォーカス」をお送りいたします。
小学校は群馬の朝鮮学校に通っていたので、4月15日というと、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の故金日成氏の誕生日であることを、条件反射的に思い出します。だからどうだ、ということではないのですが。
15日の夕方になって、14日に起きたことを整理するというのは、リアルタイムでニュースが消費される時代になんとも悠長な話かもしれません。
しかし、このくらいの速度で十分ではないかと思います。なんだかんだで、今日のニュースも混ざっていますし(笑)
(1)国務会議で李大統領が戦争当事国に「平和に向け勇気ある歩みを」と呼びかけ
14日は火曜日。韓国では国務会議(閣議)の日でした。毎回、李在明大統領の冒頭発言が注目されます。現在は国務会議が非常経済点検会議を兼ねています。
この日、李大統領は中東情勢に振れながら、「状況を楽観することはできない」という見解を示しました。エネルギー、原料の供給網における問題と油価の高騰が続くということです。
これを「常数」、つまり当たり前のことと捉え「非常対応体制を固めていこう」と、会議に参加する高官たちに語りました。
また、今回あきらかになった韓国の経済・産業構造の脆弱な部分を改善する努力にも拍車をかけようと呼びかけました。
その例として、代案となる供給網の開拓、中長期的な産業構造の改革、脱プラスティック経済の実現などを「国家の最優先核心戦略プロジェクト」と位置づけています。

国務会議で発言する李在明大統領。青瓦台提供。
また、何度かお伝えした、SNSを通じイスラエル政府の暴虐を諌めた延長線上で、最近とみに取り上げる「人権」についての言及もありました。この部分は3行なので引用してみます。
「戦争の当事国たちも普遍的人権保護の原則、そして歴史の教訓を基盤に、世界が切実に望む平和に向け、勇気ある歩みを進めてくれるようお願いします」
珍しい、国際社会への呼びかけでした。
なお、今日15日に趙顯(チョ・ヒョン)外交部長官が明かしたところによると、駐イスラエル韓国大使のはたらきにより、韓国とイスラエルの一連の外交的な「葛藤」は一段落したようです。
昨日のニュースレターでもお伝えしたように、韓国はイランに対し船舶リストを提供するなど接近を強めています。
14日には国際赤十字委員会を通じ、イランに対し50万ドルの人道支援を行うことを決めました。レバノンに対してもUNICEFを通じ200万ドルの人道支援を決めています。
韓国政府は一方で、英国とフランスが主導し30~40か国が参加する国際会議(15日晩に行われます)にも参加します。かなり手広い外交を行っていることが分かります。
なお15日、大統領の特使として各国を回っていた姜勲植(カン・フンシク)大統領秘書室長が帰国し、会見を開きました。
年末までに原油2億7千万バレル、ナフサ210万トンを確保したとしました。
いずれもホルムズ海峡を経由しないルートからのものです。原油は韓国の消費量が月8000万バレルなので、約三か月分、ナフサは一か月分に値します。
(2)遅々として進まぬ消防官の待遇改善
冒頭発言では他に、先日、全羅南道で殉職した2人の消防官とその遺族に哀悼の意を表しました。
全国に約6万6千人いる韓国の消防官は、その激務にかかわらず低い待遇を受けていると過去に何度も問題が提起されてきました。
2020年になり、地方職公務員から国家公務員に転換されることで多少改善されたものの、依然としてその費用の9割は地方自治体の負担で、国費は1割に過ぎません。
これにより地方ごとに待遇の差がある点が問題視されています。国家公務員ならば、国が全面的に責任を持ち、その待遇を改善すべきという視点です(3月13日中央日報)。
(3)3年後に入居、世宗市に大統領執務室
冒頭発言はここまでです。この日の国務会議では「ついに!」と思わず声が出てしまう案件が取り上げられました。
大統領の執務室を世宗(セジョン)市に作るという話です。李大統領は「任期内に世宗の執務室を利用できるよう迅速に工事せよ」と発言しています。
世宗市というのは韓国のちょうど真ん中あたりに位置する特別自治市です。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に「新行政首都」と位置づけられ開発が始まりましたが、関連法は「違憲」とされ、行政首都ではありません。2012年に正式に発足しました。
この日、青瓦台(大統領室)が明かしたところによると、大統領執務室の土地は35万㎡で、事業費は98億ウォン(約105億円)、工事期間は14か月ということです。15日に公募が始まりました。
青瓦台は「2029年8月まで李大統領が世宗市で執務を開始できるようにする」と明かしています。韓国の首都圏一極集中に風穴を開ける大きな転換になってほしいものです。

世宗市の位置。赤いところです。googleより。
(4)尹錫悦・金建希夫妻が法廷で9か月ぶりの「再会」
14日、ソウル中央地裁で、尹錫悦氏と政治ブローカー・ミョンテギュン氏を被告とする公判が行われました。
ミョン氏が2021年6月から22年3月まで58回にわたって世論調査を行い、それを無償で尹錫悦氏側に提供した疑いです。二人は政治資金法違反に問われています。
なお、この世論調査が提供される間に尹錫悦氏は国民の力の大統領候補となり、22年3月の大統領選で李在明氏を破り当選しました。
この日の公判に尹錫悦氏の夫人・金建希(キム・ゴニ)氏が証人として呼ばれ、尹錫悦と9か月ぶりの対面となりました。二人は普段、別の拘置所に収監されています。
公判は映像がないため、各紙の傍聴記を参考する他にないのですが、尹錫悦氏は金建希氏に微笑を投げ掛けるなど強い関心を示したものの、金建希氏は尹錫悦氏の方に目もくれなかったとされます。
(5)世界有数?韓国のAI事情
13日(現地時間)、スタンフォード大学の人間中心AI(人工知能)研究所(HAI:Human-Centered Artificial Intelligence)が『The 2026 AI Index Report』を発刊しました。
各国のAI指標とも呼ぶべきものです。レポートを読めていないので、韓国メディアの記事を参考に、韓国の状況を整理してみます。
まず、2024年を基準に、人口10万人あたりのAI特許件数が14.31件で、世界1位でした。2位以下はルクセンブルク、中国、米国、日本の順でした。報告書では韓国を「高い革新の密度」と称しています。
全体のAIの特許件数は中国が74.24%で1位、米国が12.06%で2位でした。一方、韓国の特許は引用される度合いが米国など他国に比べて低いといった問題点も明らかになっています。
生成AIの利用率は2025年下半期で30.7%と、世界18位の高さだそうです。最も高い国はUAEで64%、二番目はシンガポールで60.9%でした。
政策面では韓国の積極性が目立ったそうです。
2016年から25年にかけて、韓国が制定したAIに関連する法案は17件で、主要20か国(G20)の中では米国の25件に次ぐ多さだったとのこと。フランスや日本は10件、イタリア9件という形でした(ここまで14日付け聯合ニュース)。
また、「注目に値するAI(Notable AI)」の保有数で、韓国は世界3位でした。米国が50個で1位、2位の中国は30個、韓国は5個でした。
この部分を記事にした15日付け「京郷新聞」によると、「注目するAI」というのは、「ベンチマーク(性能評価)の点数が高かったり、論文に多く引用されるなど影響力の高いモデル」ということです。
韓国政府はAIに力を入れていますが、その様子が浮かび上がるような指標でした。
(6)今日の時事韓国語「다이소」
「ダイソー」です。そうです、日本にあるダイソーそのものです。
韓国にもダイソーはあちこちにあります。高級な地域にも大きなビル型の店舗があり、人気を博しています。
ちなみに、日本のダイソーと名前は同じですが、全く別の会社です。韓国の会社が1997年に別の名前で始めたもので、途中、日本でダイソーを運営する大創産業と取引をする過程で「ダイソー」の名前を使うことになりました。
14日、韓国でダイソーを運営するアソンダイソー社によると、2025年の売り上げは4兆5363億ウォン(約4900億円)でした。前年に比べ14.3%の伸びです。店舗数は1600に及びます。
今日は時間的にここまでです。
韓国社会の今を表す非常に重要な雇用報告書が出ているのですが、これは明日お伝えします。
今日もお読みいただきありがとうございました。
それではまた明日。
アンニョンヒケセヨ。(徐台教)
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