【デイリー・コリア・フォーカス】26年4月14日号

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徐台教 2026.04.14
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。

4月14日、火曜日です。今日の気温は日中24度まで上がりました。韓国から「デイリー・コリア・フォーカス」をお送りいたします。

昨日の新しい形式はいかがでしたでしょうか。当面はこの形で続けていきます。

(1)統一地方選と「ミニ総選挙」のカギは?

韓国では6月3日、統一地方選があります。投票日まで残り50日となり、選挙ムードが高まっています。地方選は大統領選、総選挙(国会議員選)とならぶ大きな選挙で、4年に一度おこなわれます。

現状では与党・共に民主党が圧倒的に優位と見られています。14日付「京郷新聞」は選挙結果に影響を及ぼす要素として、(1)国政支持率、(2)保守の結集、(3)経済状況の三つを挙げました。

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(1)まずは国政支持率です。これは地方選であるとはいえ、その時に大統領への評価が投票行動に影響を及ぼすという話です。

各種世論調査によると、李在明大統領への肯定評価は60%台後半となっているため、与党に有利に作用するとの見方です。

地方選の投票意向を聞く設問でも「国政の安定のため与党に力を添える=与党投票」という回答が、「政府を牽制するため野党に力を添える=野党投票」を明らかに上回っています。大体、50対30といった形です。

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(2)保守の結集ですが、これは「非常戒厳=内乱」を行った尹錫悦前大統領と完全に決別できず、尹支持派と反対派で割れた最大野党・国民の力の話です。

長く続く「お家争い」を前に同党の支持率は20%と低迷していますが、投票日が近づくにつれ保守が結集する可能性があり、それが選挙結果に影響を及ぼすということです。

韓国のメディアでは毎日、情勢予想が行われています。

これによると、各道(県に相当)と、ソウル・世宗セジョン・6つの広域市(釜山プサン、仁川インチョン、大邱テグ、光州クァンジュ、大田テジョン、蔚山ウルサン)での首長選挙では、慶尚北道を除きすべて、与党が優位という見方が大勢を占めているようです。

先の記事では、国民の力の人士が現役市長を務めるソウルや釜山、伝統的に保守の強い江原道カンウォンドなどで、同党の底力があると見立てています。

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(3)経済状況というのは、中東における戦争の影響です。今のところは戦争による資源不足にうまく対応していることが李大統領の支持率を押し上げています。

ですが、5月以降に物価が上昇する場合、投票行動に影響が出る可能性もあると記事中の専門家は予想しています。

実際に韓国で道を歩くとあちこちに候補者の垂れ幕がかかっており、ラジオを聞いても選挙の話題がずいぶんと出てきます。

ソウル市長選や釜山市長選、さらに大邱市長選などビッグマッチが目白押しです。

これに加え、6月3日の同日に全国の10数か所の選挙区で国会議員補欠選挙が行われることになります。メディアはこれを「ミニ総選挙」と名付けています。

特に、釜山北区甲という選挙区の補欠選挙では、国民の力を除名になった韓東勲(ハン・ドンフン)同党元代表が無所属で出馬するとされ、大いに注目を集めています。

韓東勲氏。保守陣営では屈指の人気を誇ります。昨年12月、筆者撮影。

韓東勲氏。保守陣営では屈指の人気を誇ります。昨年12月、筆者撮影。

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(2)炭素中立は「今すぐ、強く」

次は気候変動についてのお話です。

韓国で「炭素中立基本法」と呼ばれる法律があります。正式名は『気候危機への対応のための炭素中立・緑色成長基本法』です。2050年までの炭素中立を目標にするものです。

炭素中立(カーボン・ニュートラル)というのは、人間の活動により発生する温室ガスの排出を最大限減らし、残る温室ガスは山林などを通じ吸収または除去することで、実質的な排出量をゼロにする概念です(韓国政府より)。

地球温暖化の水準を、産業化以前より1.5℃以内に抑制するための基準とされてきました。

同法は2022年に成立した法律ですが、2024年に憲法裁判所はこれを「憲法不一致」と決定しました。

その理由は、同法が2030年までの炭素削減目標を定め、2031年から49年までの削減目標の基準を提示していないというものでした。未来の世代に過度の削減負担を与えるという指摘でした(京郷新聞)。

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憲法裁判所の決定に従い、同法を改正する必要がありますが、このための公論化プロセスが行われ、その結果が13日、国会の気候危機特別委員会に提出されました。

このプロセスは、300人の市民代表団と40人の未来世代(10~14歳)の代表団40人が、四度にわたって討論会を行ったものです。提出された資料には、討論会の前後で行ったアンケートの結果が添えられていました。

つまり、討論(熟議)を重ねた後で、どう意識が変わったのかということを示すものです。

韓国メディアで取り上げられたいくつかの指標を見ると、いずれも討論後、気候危機に早急に対応すべきという意見が増えています

例えば削減目標については、市民代表団では「世界の平均削減率よりも高い水準」を求める声が討論会の前後で24.5%から35.8%に上昇しました。「世界平均の水準」を求める声は、同様に50.1%から37.5%に減少しました。

一方、同様の設問において、未来世代の代表団は前者が12.5%から50%に増え、後者については35%も減ったと14日の「ハンギョレ」は伝えています。

これは、気候危機について学び議論を重ねるほどに、炭素削減の重要性を認識するということです。同様の傾向は、削減の時期を問う質問への回答でも見受けられました。

「初期により多く削減する方式」を選択した回答者が市民代表団では51.2%から77.9%へ増加し、未来世代の代表団でも同様に57.5%から75%へと増加しました。

こうした結果を元に、議員20名で構成される国会の気候危機特別委員会は立法に向けた準備を進めていくとされます。活動期間は5月29日までです。

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(3)ホルムズ海峡内の船舶リストをイランに提出

次は、昨日に続き、中東情勢に伴う韓国内の資源調達状況です。韓国外交部のチョン・ビョンハ特使は今もイラン国内にとどまっています。

14日の「聯合ニュース」によると、チョン特使はホルムズ海峡内で動けない韓国の船舶26隻のリストをイラン側に渡したそうです。この動きは注目すべきものです。

以前、ニュースレターでもお伝えしたように、駐韓イラン大使が会見で「敵対国以外の船舶は通行できる」と明かした際に、船舶のリストを要求したことがありました。

韓国政府は「あくまでも全ての船舶の航行を」という立場から、これに応じなかったのですが、立場を変えたことになるからです。

資源の状況はどうでしょうか。産業通商部が明かしたように、5月までは8割の原油が確保できているとしますが、6月以降はそう簡単ではないようです。

14日付けの「京郷新聞」では、「6月中旬まではある程度確保したが、乾いたタオルを絞る状況」という精油業界従事者の声が出ていました。

今は政府のスワップ制度(一種の備蓄油放出)や調達先の多様化で対応していますが、7月以降はどうなるか分からないと明かしていました。

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(4)「北朝鮮捕虜を韓国に」国家人権委が意見表明

次は、ウクライナで捕虜となっている北朝鮮兵士2人についてです。ロシアとの捕虜交換対象からは外れ、一時的に強制送還の可能性はない状態ですが、韓国政府が受け入れに微温的な態度を取っているため、宙ぶらりんの状態です。

これに対し、国家人権委員会は13日に全員委員会を開き、韓国外交部に対し意見表明を行うことを決定しました。

複数の韓国メディアによると14日、同委員会は「ウクライナに抑留された北韓軍捕虜の生命・身体および精神の健康の保護と向上のために外交部長官に意見を表明する」と、改めて明かしました。

その内容は「北韓軍捕虜の意思に反し強制送還されないようにし、当時者の自由意思を尊重し、韓国などに安全かつ迅速な入国が可能になるよう、必要なあらゆる外交的な努力を積極的に推進せよ」というものです。

今回の「意見表明」は「勧告」よりも低いもので、強制力はありません。

また、国家情報院と国防部も意見表明の対象から外したとのことです。やはり韓国メディアが伝えるところによると、「軍事的な措置を含むものと解釈されるおそれを避けるため」という理由からでした。

何度もお伝えしたように、李大統領が首を縦に振らない限り、この案件は解決しません。

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(5)ポーランド首相が訪韓し首脳会談おこなわれる

13日、首脳会談を行ったポーランドのドナルド・トゥスク首相(左)と李在明大統領。青瓦台提供。

13日、首脳会談を行ったポーランドのドナルド・トゥスク首相(左)と李在明大統領。青瓦台提供。

次は外交です。

13日、青瓦台でポーランドのドナルド・トゥスク首相と李大統領の首脳会談が行われました。ポーランドの首相の訪韓は27年ぶりとのことです。

会談を通じ、両国の関係は「包括的戦略同伴者(パートナーシップ)関係」へと格上げされました。4段階ある関係のうち、最も高いものです。

会談ではエネルギー、インフラ、科学技術など様々な分野での協力が協議されたと青瓦台は明かしていますが、興味深いものとして「防衛産業」がありました。

ポーランドは2022年、韓国から442億ドルの兵器を購入する契約を結んでいます。トゥスク首相は韓国からの技術移転と人材の養成などが、ポーランド自身の防衛産業の力量を高めていると評価しています。

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(6)今日の時事韓国語「구명보트」

最後です。今日の時事韓国語は「구명보트」です。

「クミョンボトゥ」と読みます。日本語では「救命ボート」です。

今月11日(現地時間)、月をぐるりと回った米国の「アルテミス2号」が帰還しました。

その際に、乗組員の一人が「地球が宇宙に浮かんでいる救命ボートのように見えた」と述べています。宇宙飛行士が宇宙から地球を眺める際に一種の「悟り」を得ることは定番ですが、それを差し引いてもなお、感銘深い文句でした。

なお、この話を家族にしたところ、「助け合うべきボートの上で争いを起こす人がいる」という反応がありました。

私はすかさず「そうだね。救命ボートに穴を開ける人たちがいるね。これでは구멍보트だね」と返事しました。

구명보트から棒を一本取ったら구멍보트(クモンボトゥ)になります。구멍(クモン)は「穴」のことです。つまり、穴のあいたボートということになります。

なかなかうまい言葉遊びだと思ったのですが、家族の反応はとても冷めたものでした。

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今日はここまでです。

最後は訳が分かりませんでしたが、本当の最後に、共同通信の良い記事を一つ紹介して終わります。すっかり静かになってしまったような「元徴用工問題」。その見方が分かる記事です。

それではまた明日。

アンニョンヒケセヨ。ありがとうございます。(徐台教)

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