【デイリー・コリア・フォーカス】26年4月16日号

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徐台教 2026.04.16
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。

4月16日、木曜日です。ソウルのカフェから「デイリー・コリア・フォーカス」をお送りいたします。

今日は記者会見に出席し、これからまた別の約束があり時間が足りないため、短めの内容となります。

(1)セウォル号沈没事故から12年、沈没原因に「決着」

4月16日というのは、韓国社会にとって大きな痛みを思い起こす日です。今から12年前の今日の午前10時頃、韓国南西部の海上で旅客船「セウォル」号が沈没したからです。

船内に取り残され亡くなった方は299人、今なお見つからない5人の失踪者を合わせ304人が犠牲になった大事故です。犠牲者の中には、修学旅行で済州島(チェジュド)を目指す檀園高校2年生の生徒248人と、教師10人が含まれていました。

当時、逆さまになった船体が徐々に沈みゆく姿を、テレビを通じ、たくさんの人々が見守りました。一時は「全員救助」の誤報が流れましたが、なぜ救助できないのかも分からないまま、船体は見えなくなりました。

仁川港を出発し済州島に向かうセウォル号のルート。途切れたところが沈没地点です。中央海洋安全審判院の裁決書より引用。

仁川港を出発し済州島に向かうセウォル号のルート。途切れたところが沈没地点です。中央海洋安全審判院の裁決書より引用。

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沈没の原因は「内因説」、つまり船体と運航を原因とするもので決着が付いています。

事故海域を管轄する海の裁判所・木浦地方海洋安全審判院が24年11月26日に(一審に相当)、中央海洋安全審判院が今年4月6日に最終的に結論を下しました。

船社と船員による疎かな安全管理により基準に及ばない復元力を持ったセウォル号は、過度な量の貨物をしっかり固定しないまま危険な状態で載せ航海していました。

さらに変針の過程で過度の変針と、操舵機を補助する機械の故障のため急激な旋回が起き、貨物が一方に寄ると同時に外板の開口部から海水が流入し、復元性を失ったものです。

何かの物体と衝突したといった「外因説」は完全に退けられた形です。

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事故の原因については解明されましたが、失われた命が戻ってくる訳ではありません。今日も新聞では大きく、遺族たちの声、12年経った事故をどう見つめ直すかについて特集が組まれていました。

16日の午後3時から檀園高校がある京畿道(キョンギド)安山(アンサン)市で犠牲者を追慕する「記憶式」が行われました。

ここにはなんと、李在明大統領が参席しました。現役大統領としては初めてのことです。大統領がやるべきことをやっています。大統領になる前の昨年の記憶式にも姿を見せていました。

記憶式の様子はまた明日、お伝えします。

購読する京郷新聞(16日付)の一面には、今も保存されている檀園高校の教室の写真が。私も2年前の4月に訪れました。

購読する京郷新聞(16日付)の一面には、今も保存されている檀園高校の教室の写真が。私も2年前の4月に訪れました。

特集ページ。無事に帰還することを願う黄色いリボンは、今もセウォル号の象徴です。

特集ページ。無事に帰還することを願う黄色いリボンは、今もセウォル号の象徴です。

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(2)女性の進出、青年男性を取り巻く経済環境の変化

――25歳から34歳までの男性青年層の経済活動参加率が、大幅に落ちている。

こんな記事を昨日、新聞で見かけました。そうなんだ、と思いながら読み進める内に、これが非常に重要な話であることが分かりました。

大元のレポートは韓国銀行が一昨日の4月14日、『男性青年層の経済活動参加率の下落趨勢の評価』で発表したものです。

まず、男性青年層の経済活動参加率は2000年の89.9%から、2025年には82.3%へと下落しました。こうした下落の傾向は、米国を含む主要先進国で共通して表れる現象としますが、韓国のOECD(経済協力開発機構)平均と比べ下落幅が大きい傾向があります。

主要国の男性青年層の経済活動参加率の変化をあらわすグラフ。赤が韓国。濃い青がOECD(経済協力開発機構)平均、薄い青が米国です。報告書より引用。

主要国の男性青年層の経済活動参加率の変化をあらわすグラフ。赤が韓国。濃い青がOECD(経済協力開発機構)平均、薄い青が米国です。報告書より引用。

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その理由について、同レポートでは、①青年層の中での競争構造の変化、②産業構造の変化、③高齢化およびAI拡散による労働市場進入経路の萎縮、という三つの側面から分析しています。それぞれ見ていきます。

レポートの表紙です。

レポートの表紙です。

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①青年層の中での競争構造の変化→高学歴女性の経済活動への参加が増え、競争が深まった

91年~95年生まれ(30歳~34歳)の男性高学歴者集団の経済活動参加率は、調査の基準とした61年~70年生まれ集団(55歳~64歳)が同年代だったときの経済活動参加率に比べ、15.7%P下落した反面、同年代の女性は同じ基準で10.1%P上昇しています。

ここで、高学歴者というのは4年制大学の卒業者を指します。

これにより、高学歴の人材における性別構成が変化しているというのです。最近では専門職、事務職で男女の割合が似た水準になっています

高学歴の事務職における、男性青年層と女性青年層の比率は2025年の統計で113.8%。女性の方が多いのです。この比率は2004年と比べ48.1%上昇しました。

つまり、同じ雇用をめぐる労働力の供給が拡大し、男性青年層の労働市場への進入条件が、過去よりも熾烈になったということです。

具体的には4年制大学以上の学歴を持つ男性経済活動人口と、同様の女性経済活動人口の比率を見ると、2000年は51.5%でしたが、2025年には95.5%とほぼ倍増しています。

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②産業構造の変化

2025年の初大卒、つまり専門大学(専門学校)卒業以下の男性の労働供給確率は、2000年に比べ2.6%下がっているそうです。

これは製造業・建設業を中心に、中度・低度の熟練を要する雇用が減っているなど、初大卒以下の男性に対する労働の需要が全般的に減少しているということです。

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③高齢化およびAI拡散による労働市場進入経路の萎縮

2004年から25年にかけて、高齢層の雇用率は12.3%P高くなり、その上昇分の大部分が高学歴の雇用に集中していたそうです。

また、過去4年間に15歳から29歳までの雇用が25.5万個も減りました、減った青年層の雇用の大部分(98.3%、25.1万個)が、AIに強く露出される業種に集中しているそうです。

AIの拡散がエントリーレベル(社会進出を始める層)の雇用に否定的な影響を及ぼしていると評価できるとのことでした。

男性の経済活動参加率の年代別の変化をあらわすグラフ。赤が25歳ー34歳、濃い青が35−44歳、薄い青が45−54歳、点線が25−34歳女性です。報告書より引用。

男性の経済活動参加率の年代別の変化をあらわすグラフ。赤が25歳ー34歳、濃い青が35−44歳、薄い青が45−54歳、点線が25−34歳女性です。報告書より引用。

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▲結論

こんな動きをどう見るべきなのでしょうか。レポートの結論部分では、「労働供給の多様化の過程」と判断しています。人的資源の効率的な再分配を促進し、企業と勤労者の間のマッチングを円滑かつ効率化し、生産性を向上させる原動力になると評価します。

一方、OECD(経済協力開発機構)平均を大きく下回る水準にまで「速く」下落する点には憂慮を示しています。性別・世代間の競争の激化が、全体の労働供給にゼロ・サム(取り合い)として帰結する可能性があるというのです。

このため、青年層がより円滑に労働市場に進入できるよう、技術教育の強化といった、制度的・政策的な努力が必要であると提言しています。

また、定年延長といった負担が青年層に転嫁される構造があるとしながら、正規職・大企業における既存の雇用保護水準を合理的に調整し、非正規雇用の正規職への転換をうながす方法も作るべきとしました。

このレポートについては以上です。若者男性の反フェミニズム性向の一因に、若者女性に対する「はく奪感」があるとされますが、それを裏付けるようなデータでした。

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(3)今日の時事韓国語「국힘당」

「クッキムダン」と読みます。最大野党・国民の力の略称です。

「국민의힘(クンミネヒム、国民の力)」の最初と最後の文字を取り、政党の「党」をつけた形です。無理やり漢字にすると「国力党」とでもなりましょうか。

昨日15日の午後3時半ころ、李在明大統領が自身のXに、国民の力の謝罪を求める文章を書き込みました。

尹錫悦氏が勝利した22年3月の大統領選挙を控えた21年10月、尹錫悦氏を擁する同党が「李在明は組織暴力団とつながっている」と疑惑を提起し、これを党として広めたことを指すものです。

李大統領の書き込み。Xをキャプチャ。

李大統領の書き込み。Xをキャプチャ。

この疑惑を提起した人物に対し、韓国の大法院(最高裁)が今年3月12日に「虚偽事実公表の疑い」で有罪を確定しました。

その後、李大統領と共に民主党はこれをまるで事実のように報じたメディアに謝罪を求め、メ実際に誤報を認め謝罪したメディア(SBS)もありました。

そしてこの日、国民の力への謝罪要求となった訳です。

当時の大統領選における得票数の差は0.73%であったため、この「デマ」と市長時代の開発疑惑(これはデマと決まった訳ではありませんが)がなければ、選挙の結果は変わっていたという主張です。李大統領は実際にそう書いています。

当時、いかに悔しい敗北であったのかが分かるというものです。

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今日はここまでです。

それではまた明日。アンニョンヒケセヨ。(徐台教)

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