【デイリー・コリア・フォーカス】26年2月4日号

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徐台教 2026.02.04
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。

今日も韓国から徐台教が「デイリー・コリア・フォーカス」2月4日号をお送りいたします。

やってしまいました。風邪です。

昨日の午後は、日本から来た同業者と大型ショッピングモールのカフェで歓談していたのですが、その後のどが痛くなり、今では咳も。人混みでやられたようです。

2月はやるべきことが多く、ここでつまずく訳にはいきません。

まだ初期っぽいので、力ずくでなんとか抑えてみます。

ということで、今日の目次です。

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1. 6月に国民投票?改憲議論に熱
2. 韓米関税交渉、第二ラウンドに不透明感
3. 極右ユーチューバーが帰国、その危うさ
4. タングステン鉱山で採掘再開、32年ぶり
5. 今日の時事韓国語「치매 머니」

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1. 6月に国民投票?改憲議論に熱

本ニュースレターを通じ、日本と韓国が、あるところは似て、あるところは大きく異なるということがお分かりになると思います。

特に異なる部分が、憲法改正です。

日本は戦後いちども改正されていませんが、韓国は1948年7月17日に「制憲憲法」と呼ばれる憲法を作って以来、9度にわたって改憲を行っています。

筆者作成。

筆者作成。

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上記の表にあるように、現行の憲法は民主化後に作られた1987年のものです。 その後、歴代政権で改憲案が提出されてきましたが、様々な理由から改憲には至りませんでした。

しかし制定から約40年が経つ中で、ふたたび今、改憲の機運が高まっています。

改憲意見の背景には、新しい政治・社会的変化を憲法に反映させるべきという認識があります。

時代に合った人権認識や、気候や環境といった観点、大統領権力の分散や、福祉の拡大などを憲法に込める時が来たというものです。

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政治家たちの発言も相次いでいます。

禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長は2日、臨時国会の開会式で「国民投票法」の改正を急ぎ、陰暦の正月(2月17日)までに終わらせようと訴えました。

同法については2014年、「韓国内に居住申告をしていない在外国民が国民投票に参加できないことは、投票権の侵害にあたる」と憲法裁判所が「憲法不合致」の決定を下しています。

このため、同法は2016年から効力を喪失しています。禹元植議長は、これをただちに正すべきと主張しているのです。

なお、韓国の憲法改正の手続きは、国会で議員200人以上(定数300)が賛成した後に、国民投票を行うものとなっています。

200人というのは、超党的な協力なくしては不可能な数字です。

2018年5月、当時の文在寅大統領が憲法改正案を発議した際も、最大野党であった自由韓国党(現・国民の力)の票決ボイコットによりお流れとなっています。

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3日には、共に民主党の韓秉道(ハン・ビョンド)院内代表(国対委員長に相当)が国会で行った交渉団体代表演説の中で、「5.18光州民主化運動」を憲法前文に収録しようと主張しました。同運動が「韓国の憲政秩序と民主主義の根幹である」との理由からです。

24年12月の尹錫悦による非常戒厳をいち早く止めたのも、同運動により勇気付けられた点が大きかったことを考えると、妥当な提案です。

韓代表はその上で、今年6月3日に行われる統一地方選で、この改憲の是非を問う国民投票を行うことを提案しました。

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また今日4日には、国民の力の張東赫(チャン・ドンヒョク)代表が同様の演説の中で、「李在明政府の任期内に青瓦台(大統領府)と国会を世宗(セジョン)市に完全に移せるよう、憲法改正と特別法制定、庁舎の建設など諸般の事柄を共に検討し、一緒に推進しようと」と訴えました。

政府や与党と対立を深める国民の力ですが、こちらも憲法改正を口にしました。

張東赫代表はまた、李在明大統領と「領袖会談」を提案しました。大統領が与党代表(総裁)を兼ねていた時代の名残でこう呼ばれるもので、いわば大統領と最大野党代表による、1対1の会談です。

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李在明政権は123項目におよぶ国政目標の1番目に「‘真の大韓民国’のための憲法改正」を入れています。

その内容は、(1)「5.18光州民主化運動」を憲法前文に収録、(2)大統領4年重任制および決選投票制導入、(3)監査院の国会移管、大統領の拒否権制限、権戒厳宣布時に国会の党政権強化など大統領の権限分散、(4)基本権の強化および拡大、(5)地方自治と均衡発展のための論議機構の新設、(6)行政首都の明文化、などが含まれています。

前述のように、憲法改正には国会で議員200人以上が賛成する必要があります。

現在、与党・共に民主党に近い進歩陣営の議員数を合わせても180議席程度で、国民の力への説得が必要となります。

しかし現在、国会の憲法改正特別委員会すらも組織されていない状況です。先の国民投票法の改正も含め、超えるべきハードルは高いでしょう。果たして可能でしょうか。

なお、いくつかの世論調査を見ると、約6割の有権者が改憲を支持しています。

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2. 韓米関税交渉第二ラウンドは「難航」か

1月28日の「デイリー・コリア・フォーカス」でお伝えしたように、26日(現地時間)トランプ大統領が突如、SNSを通じ韓国への関税を15%から25%へと引き上げることを発表しました。

韓国政府が約束した米国への投資を、未だ行っていないという理由からでした。

クリックで該当記事に飛びます。

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韓国政府はすぐに金正官(キム・ジョングァン)産業通商部長官を派遣し交渉にあたりましたが、現在まで目に見える成果はありません。

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そんな中、3日(現地時間)午後、「核心鉱物長官会議」出席のため訪米している趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官と、米国のマルコ・ルビオ国務長官との間で会談が行われました。

韓国外交部によると、この席で両者は関税協議について、「状況を安定的に管理しながら安保分野での合意事項の忠実な履行を通じ、肯定的な気流とモメンタム(勢い)を拡散させるよう努力することにした」そうです。

なお、米国務省の会見では、関税協議については触れられていません。まだ交渉は続くということですね。

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ちなみに、安保分野での合意事項というのは、昨年の11月14日に韓米間で合意された「関税・安全保障に関するファクトシート」の内容にあるものです。

原子力規制の緩和、原潜建造と、李在明政権が成果と誇るものです。また、造船分野での協力といった米側にとって切実な分野もあります。

会談ではまた、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)問題についても扱われたそうです。

韓国側の報道資料には「韓米が対話のメッセージを持続的に発信する」とある一方、米国側の発表には「北朝鮮の完全な非核化への関与を再確認した」とあります。

韓国のチョ・ヒョン外交部長官(左)と、マルコ・ルビオ国務長官。外交部提供。

韓国のチョ・ヒョン外交部長官(左)と、マルコ・ルビオ国務長官。外交部提供。

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3. 極右ユーチューバーが帰国、その危うさ

韓国にチョン・ハンギルという人物がいます。55歳で、韓国の人気予備校(塾)で韓国史を教えてきた人物です。

カリスマ講師として知られていた同氏でしたが、尹錫悦氏による24年12月の非常戒厳以降、突如、尹錫悦氏を強く擁護しはじめました。

その後はユーチューバーに転身、不正選挙や憲法裁判所の非難といった民主主義を否定する言説をばらまき、人気を(?)博します。

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李在明政権発足後の昨年8月からは、米国(日本にも行っていましたね)に滞在していましたが、昨日3日、韓国に帰国しました。

警察の捜査を受けるためで、チョン氏は実際、李在明氏への名誉毀損や内乱の扇動など、8つの嫌疑を受けています。

『朝鮮日報』によると、警察は4日、チョン氏に対し、被疑者として今月12日に出頭するよう命じたそうです。

チョン・ハンギル氏。MBCニュースをキャプチャ。

チョン・ハンギル氏。MBCニュースをキャプチャ。

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チョン氏が入国した仁川空港には多くの支持者が集まり、「尹アゲイン」の声を上げていました。

「尹アゲイン」とは、尹錫悦氏が無罪となってふたたび大統領に返り咲くことを意味する(荒唐無稽な)スローガンで、尹錫悦支持者の合言葉となっています。

チョン氏はさらに、国民の力の張東赫代表に対し、「私たちが強力に支持したおかげで、党代表に当選したのではないですか。尹錫悦大統領と縁を切る瞬間、私を含む多くの党員たちが張東赫代表を捨てるでしょう」と述べています。

韓国現代史の一翼を担った、伝統ある保守政党ももはや形無しです。

このように、政党が一度でも極右(民主主義を否定する集団)を取り込むと、際限なく足を引っ張られることになります。日本も例外ではないでしょう。

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4. タングステン鉱山で採掘再開、32年ぶり

これは興味深いニュースなので、ご紹介します。

韓国東部、江原道(カンウォンド)に寧越(ヨンウォル)郡という地域があります。

一月に惜しくも世を去った名優・安聖基(アン・ソンギ)さんが出演した映画『ラジオスター』の舞台にもなった、風光明媚な所です。

この寧越郡で32年間ホコリをかぶっていたタングステン鉱山が今、再び動き始める準備しているというのです。

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3日晩、地上波『SBS』が報じたところによると、鉱山の名前は上東(サンドン)鉱山。

ここから産出されるタングステンは過去、韓国が産業化される前には、総輸出額の6割を占めるほどだったといいます。

その後、価格競争で中国にかなわず94年に閉山となりましたが、世界市場を掌握している中国が輸出規制に転換したことで、ふたたび脚光を浴びているそうです。

報道によると、タングステンは頑丈なだけでなく、融点があらゆる金属の中で最も高いため、半導体や兵器を作る際に使われるとのこと。

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なんと上東鉱山には、現在稼働している西側諸国の主要鉱山を全て合わせたものよりも多い、約5000万トンのタングステンが眠っているそうです。

この一件は他紙でも多数報じられていますが、その価値は約6兆円にのぼるとされます。

しかしこの鉱山は98年に所有権が海外に移り、今はカナダの会社が運営しているそう。初期の採掘分はすべて米国に輸出される予定です。

とはいえ、地域の住民は経済活性化の呼び水となることを期待していると、『SBS』は伝えています。

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5. 今日の時事韓国語「치매 머니」

「チメ モニー」と読みます。「チメ」は痴呆、「モニー」はマネーです。日本語では「認知症のお金」となります。

その意味は、認知症になった方の財産です。これを詐欺などで狙う人物が後を絶たず被害が続出しているため、警告の脈絡で使われています。

語感はひどいですが、メディアだけでなく「低出産高齢社会委員会」という政府機関も使っている、れっきとした(?)社会的用語です。

昨年末の基準で約172兆ウォン(約18兆5000億円)、2050年には488兆ウォン(約48兆円)に達するそうです。

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今日は以上です。

書いているうちに風邪がひどくなってきたので病院に行ってきます。

今日は大事なシンポジウムがあったのですが、欠席です。

それではまた明日。

アンニョンヒケセヨ。(徐台教)

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