【デイリー・コリア・フォーカス】26年2月3日号
皆さま、アンニョンハセヨ。
今日も韓国から徐台教が「デイリー・コリア・フォーカス」2月3日号をお送りいたします。
日付けを書きながらふと思ったのですが、今日は節分ですね。
日本にいた時にはなんだかんだと、毎年豆をまいていた記憶がありますが、ここ20年以上やっていません。
韓国にあの豆は売っているのでしょうか。ポリポリとかじりたいものです。
さて、今日の目次は以下の通りです。
1. 李大統領、不動産政策への‘覚悟’を連発
2. パン価格高騰の裏に「巨額談合」が?
3. 最高裁、韓国政府に対し死亡のカンボジア移民労働者への損賠賠償を命じる
4. 今日の時事韓国語「이민」
1. 李大統領、不動産政策への‘覚悟’を連発
昨日の一本目の記事「李大統領、「亡国的な不動産投機」に宣戦布告」については、いくつかのコメントやメッセージが届くなどなかなかの反響がありました。
言わずもがなですが、韓国でも大きなニュースとして扱われています。
ちょうど先週末に李在明大統領が矢継ぎ早にSNSで発言したこともあり、2日月曜夜の各局メインニュースは、かなりこの話に力を割いていました。
文字通り、韓国における最大のイシューになったと言えます。
尹錫悦前大統領や金建希夫人の裁判も大きいですが、あくまで「過去」を扱うものです。
一方の不動産の話は、不動産投機の制御→株式市場へのマネームーブ実現→生産性上昇という「未来」そして「生存」の話であるので、インパクトは強いといえるでしょう。
李大統領は今日3日も朝から不動産関連の話題を2件、Xに投稿しました。
その一つにはこうありました。
少し長いのですが、全訳してみます。
不動産投機を通じて不労所得を得ようという、数十万人の多住宅者の涙をかわいそうに思う方に聞きます。
彼らのために上昇した住居費用のために結婚と出産を諦める、数百万人の青年たちの血の涙は見えないのですか?
お金は悪魔だといいますが、もしや悪魔に最小限の良心すら奪われたのではありませんよね?
大韓民国は、偉大な大韓国民たちの国です。常識的で繁栄する国のために、亡国的な不動産投機は‘どんな手を使ってでも’必ず捕まえます。
以前(過去の政権)は失敗したので、今回も失敗するだろうと期待し、扇動する方たちにお知らせします。
まず、以前は不動産が唯一の投資手段でしたが、今は代わりとなる投資手段が生まれました。客観的な状況が過去とは完全に異なります。
次に、国民が変わりました。国民意識調査によると、過去には投資手段としては不動産が圧倒的でしたが、今や2位へと下がりました。
最後に、国民が選出した権力が変わりました。
公約履行率平均95%。
私は当選が切実だった候補時代にした約束すらも、必ず守ろうと努力しました。
今や韓国における最終的な権限を持つ大統領として、根拠のないことを言う理由がありません。
こけおどしと考える方たち、多住宅者の涙を残念に思い不動産投機を用語使用とする方たちは、澄んだ気持ちをもって冷静に、変化した現実を直視してください。
目の前の有利・不利を考えないならば、使える政策手段はいくらでもあります。
あの厳重な内乱すら克服し、新たに出発する偉大な大韓民国が、この明白な不条理である不動産投機のひとつも無くすことができないのですか?
脅迫やこけおどしではなく、皆のために必要で有用なことなので勧告しているのです。今が脱出する最後の機会です。
李在明はやります!
大韓民国はやります!
いかがでしょうか。
すごい気合いですよね。
該当ツイート。
一方で、李在明政権の大きな賭けとも言える、こんな不動産投機抑制政策の成功を疑問視する声は、後を絶ちません。
中でも1日、リベラル系日刊紙『京郷新聞』に掲載された社会部長によるコラムは、韓国社会の多数の声を知ることのできる内容として印象的でした。
「国内各戸の資産のうち70~80%が不動産である」点を指摘しながら、「価格上昇を抑制する政策をとる政府を支持する可能性が低い」とする声がそれです。
「国民の約6割が住居を所有している」という部分もありました。
たしかに、李在明政権の主な支持層が中高年のホワイトカラー中産層(具体的には40代~60代前半)であることを考える場合、支持層の利益に合わない可能性があります。
ここで思い浮かぶのが25年6月の大統領選です。
李在明氏は「中道保守」を公言し勝利を収めました。これは共に民主党が中高年のホワイトカラー、すなわち「社会的に安定した生活を送る」層に支えられた党であることを、逆説的に示しています。
なお、この世代と韓国の進歩派の関係性について深堀りした記事はこちら。背景が分かりやすくまとまっています。私が昨年の大統領選の直前に書いたものです。
先のコラムでは、それでも今は60%の高い支持率と、政権発足初期、さらに少子化への対応策であるという点を挙げながら、「李在明大統領が引き下がるかどうか」を見守るとしています。
記者ならではの上から目線がやや感じられますが(笑)、いずれにせよ、6月3日の統一地方選が、李大統領の不動産投機抑制政策への「審判」となります。
韓国各紙によると、1月27日に投資者預託金が史上初めて100兆ウォン(10兆7000億円)を超えたとのこと。
昨年末から約12兆ウォン(1兆3000億円)の増加で、「マネームーブ」が本格化しているという評価です。
この件は追い続けていきます。
2. パン価格高騰の裏に「巨額談合」?
「韓国のパンは高い」というのはもはや、「韓国のキムチは美味しい」と同じくらい当たり前の事実として受け止められています。
なんのこっちゃですが、パンが本当に高いのです。
例えば、日本では100円台で買える塩パンが、韓国では300円台出さなければ買えません。
このため、日本を訪れる韓国人観光客はまず、日本のパン屋さんに感動することになるのですが、この韓国パンの高値の背景の一つに、とんでもない秘密が隠されていました。
2日、地上波『MBC』が報じたところによると、小麦粉と砂糖を扱う大手製粉・製糖会社が談合し、価格を操作したというのです。
その規模はなんと、小麦粉で約6兆ウォン(約6400億円)規模、砂糖で約3兆2000億ウォン(約3400億円)規模にのぼるとのこと。検察の捜査により明らかになりました。
『聯合ニュース』によると、小麦粉に関しては2020年1月から25年10月まで、価格の変動幅と変動時期を合議。この期間、小麦粉の価格は最大で42.4%上昇し、その後も談合前よりも22.7%高い水準を維持していたそうです。
砂糖に関しても同様です。21年2月から25年4月までシェア9割を持つ大手三社が談合し、価格の変動幅と変動時期を合議してと検察は発表しました。
なお、談合には各社の代表理事クラスが参加していたということで、組織ぐるみだったことがよく分かります。
家にちょうどクロワッサンがありました。これも400円くらいするはずです。義母が買ってきてくれたものです。
記事の最後では、韓国は談合に対する刑罰が軽い点に触れています。
米国では個人が談合に参加した場合、10年以下の懲役または100万ドル以下の罰金ですが、韓国は3年以下の懲役または2億ウォン以下の罰金であるとのことです。
ひどい話です。どうせパンの値段は下がらないでしょう…。
3. 最高裁、韓国政府に対し死亡のカンボジア移民労働者への損賠賠償を命じる
少し前のお話ですが、大事なことなのでお伝えします。
2020年12月20日、韓国で一人の外国人労働者が亡くなりました。
名前はソク・ヘンさん。2016年にビザを得て韓国入りし、農業に従事してきた女性移民労働者でした。
ソク・ヘンさんはこの日、零下17度まで気温が落ち込む中、電気が来ないビニールハウスの中で眠ったまま、目を覚ましませんでした。
このビニールハウスは雇用主がソク・ヘンさんにあてがった寄宿舎でした。
解剖の結果、死因は肝硬変の合併法による食道静脈瘤破裂でした。仕事をする中で病気になり、病気を適切な時期に治療することができず、劣悪な環境の中で命を落としたのです。
その後、ソク・ヘンさんは22年5月に労災認定を受けます。勤労福祉公団が同氏の死を、業務上の災害として認めたのでした。
そして同年9月、同氏の遺族は韓国政府を相手に損害賠償を求める裁判を起こしました。韓国政府が移住労働者を管理する責任を疎かにしたというものです。
一審で遺族は証拠不十分により敗訴しますが、二審では政府の賠償責任を認めます。
韓国紙『京郷新聞』によると、この時に裁判所は「雇用労働部が該当する事業場に対する指導と点検を行い、健康診断を実施したことが全く無く、こうした計画を樹立したこともなかった」と指摘しました。
そして「故意または過失で、外国人雇用法と産業安全保健法を違反した」と結論付けたのでした。
さらに、「政府が事業場に対する指導と点検をする中で、寄宿舎(ビニールハウス)が勤労基準法が定める要件を備えているのかを調査したならば、事前に劣悪な寄宿舎の環境を改善することができただろうし、一般健康診断を実施したならば、ソク・ヘンさんは肝硬変の症状が急速に悪化する前に治療を受けられたはず」としたのでした。
大法院の判決を伝えるハンギョレ記事。昨年の「世界移住労働者の日」でカンボジアからの移住労働者がソク・ヘンさんの写真を涙と共に掲げています。ハンギョレをキャプチャ。
政府はこれを不服とし上告していました。
しかし韓国の大法院(最高裁)は1月29日、政府に賠償責任があるとし、原告勝訴となる判決を下しました。
この痛ましい出来事の裏には、ソク・ヘンさんも適用対象となっていた、韓国の外国人雇用許可制に潜む最もひどい条項があります。
それは移住労働者の意志で、自由に職場を移れないということです。
ソク・ヘンさんの事件について書かれた、昨年8月の『ハンギョレ』コラムによると、韓国で働き始めた職場を離れる際には、雇用主と政府の許可が必要です。
一方で外国人雇用法では、休業・廃業や勤労条件の違反(給料の遅配など)、不当な処遇といった「休業雇用主の有責」においては、政府の許可のみで職場を離れることができるとしています。
しかしこの場合にも、証拠の提出や雇用主の意見聴取といった手続きがあるいいます。
それにどれほどの時間がかかるかも分からない上に、手続きの間には雇用主と分離もされないという問題があるのです。
そしてこの構造が結局は労働者に「もっとガマンしよう」という選択をもたらし、雇用主の権力をより強めるというのです。
特に、ソク・ヘンさんが働いていたような、農業・漁業という非専門就業ビザ(E-9)で就職できる職種では勤労基準法の一部が例外的に適用されず、結果的に職場を移ることができないと、コラムでは指摘しています。
制度がおかしい、ということです。
このコラムには書かれていませんが、以前韓国で見た関連ドキュメンタリーでは「奴隷」という言葉も使われていました。移住労働者は家族を呼ぶこともできません。
ソク・ヘンさんは期限一杯となる4年10か月の滞在を経て、三週間後にカンボジアへの帰国を控えていたそうです。
こんな痛ましい事件があってから5年以上が立ちますが、関連法はそのままです。
1月29日、大法院の判決を受け、雇用労働部は報道資料を出しました。
その中で「違法な仮説建築物を外国人勤労者の宿舎として使うことができないよう、法律の改正を推進する」と明かしています。
いかに対応が遅いのかが分かるというものです。これも極めてひどい話です。
4. 今日の時事韓国語「이민」
「イミン」と読みます。漢字では「移民」です。
そのままの発音ですね。
韓国政府の統計によると、2025年12月の時点で、韓国には約278万人の外国人が滞留しているそうです。人口の約5.3%です。
この中でソク・ヘンさんと同じE-9ビザ(非専門就業)で居住している人は、約33万6000人にのぼります。
今日は以上です。
皆さん、しっかり豆をまいて、鬼を追い払ってくださいね。
それではまた明日。アンニョンヒケセヨ。(徐台教)
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