【デイリー・コリア・フォーカス】26年1月30日号
皆さまアンニョンハセヨ。
今日1月30日も韓国から徐台教が、「デイリー・コリア・フォーカス」をお送りいたします。
あっという間に金曜日ですね。
実は今、これは絶対に書いておかねば!という記事があります。
ニュースレターでやろうかと思いましたが、別途きちんとした記事にすることにします。
ということで、今日は目次は以下の通ります。
一つ一つを短めにテンポ良くいきます。
1. ‘壊滅’か‘再編’か…前与党・国民の力、韓東勲氏を除名
2. 「学校給食法」改定案の可決に涙
3. 電子バンド切断で再収監…性犯罪‘前科者’監視の今
4. 「得票率3%以上で比例議席獲得」は違憲
5. 今日の時事韓国語「헌법」
1. ‘壊滅’か‘再編’か…国民の力、ついに韓東勲氏を除名
29日、最大野党・国民の力が最高委員会議を通じ、韓東勲(ハン・ドンフン、52)前代表の除名を決定しました。
1月15日の「デイリー・コリア・フォーカス」でもお伝えしたように、同党の中央倫理委員会が除名を決めていましたが、この日、正式に決定しました。
最高委員9人が挙手で可否を決めましたが、張東赫(チャン・ドンヒョク)現代表を含む7人が賛成、棄権1人、反対1人という結果でした。
除名の理由は、韓氏が同党の代表を務めていた24年、同氏の家族が党HPの掲示板に尹錫悦大統領(当時)や党内の人物に対する批判を書き込んでいたことです。
否定を続けていた韓氏が今月になって「家族が書いていたと後で知った」と認めたことから、党はこれを「業務妨害行為」と見なし重い処分を下しました。
これにより、韓氏は今後5年間、最高委員会の承認がない限り党に戻れなくなりました。
この処分について、党内からは反発の声が上がっています。
韓東勲派とされる同党所属議員16人は同日、会見を開き「党を害する行為」と批判しました。
また、現役のソウル市長で、同党の大統領候補の一人とされる有力政治家の呉世勲(オ・セフン)氏も自身のSNSに「張東赫代表は即刻辞任すべき」と書き込み、厳しい立場を示しました。
その理由はひと言で、「国民に広く支持を集める方向とは真逆の方向に行っている」というものです。
30日付け『京郷新聞』の一面。「韓東勲、ついに除名…‘分裂’を選んだ国民の力」とあります。中央のメガネの人物が韓東勲氏です。筆者撮影。
今回の一件で理解すべきは正にこの部分です。
国民の力は、尹錫悦大統領を輩出した前与党です。24年12月3日の非常戒厳の時にも当然、与党でした。
当時の韓東勲代表は、尹錫悦大統領による非常戒厳が違法であると即断し、その解除に動きました。この事で党内多数派から「裏切り者」とのレッテルを張られたことが、除名に至る大元の原因です。
現在の張東赫代表は、尹錫悦氏の非常戒厳に理解を示す姿勢を一貫して示し続けてきました。党内の強硬支持層を味方につけ、韓東勲氏を追い出す構図です。
張代表は、今年6月に統一地方選を控え、最近になってようやく反省を述べ始めています。選挙に勝つためには「統合」が必要とも訴えています。
しかし今回の韓東勲氏の除名はこんな動きに逆行する決定であると、前出の呉世勲ソウル市長は指摘しているのです。
「国民の力は、尹錫悦の非常戒厳を支持し続けている党」になるかどうかの瀬戸際にある、ということです。
私も呉世勲さんと同じように思うのですが、世論はいささか異なるようです。
『ニューストマト』の世論調査によると、韓東勲氏の除名を求める回答者が47.7%、否定する回答者が36.5%となっています。
国民の力の支持層に限ると、62.5%が除名に賛成、支持基盤の保守層でも61.5%が賛成しています。圧倒的です。
その背景には、検察時代からの尹錫悦氏の部下として引き立ててもらったにもかかわらず、尹錫悦を批判する韓氏への反感や、同党にこだわる韓氏の煮え切らない態度への批判あるのかもしれません。
また、国民の力の内紛を煽りたい人々がいる可能性もあります。
この日午後、国会で会見を開き「必ず戻ってくる」とした韓東勲氏。
今後、新党結成や無所属でも統一地方選、国会議員補欠選に出るといった可能性が取り沙汰されますが、結局は6月の地方選まで静観となりそうです。
ここで国民の力が大敗する場合、また復活の目が出てくるといったところでしょう。確かに煮え切らない人物です。大成は難しいでしょう。
2. 「学校給食法」改定案が国会で可決
29日、国会で「学校給食法一部改正法律案」が国会で与野党の圧倒的賛成の下、可決されました。
『女性新聞』などによると、今回の法改正により、全国で6万人にのぼる、学校で給食を作る人々の待遇が大きく改善される見通しとのことです。
SNSで広くシェアされている話ということもあり、私も法案を確認してみました。
具体的な変更点としては、▲学校給食教育の一環として規定し、法律の目的に「学校給食の安定的な供給」を追加、▲給食を作る労働者を「学校給食従事者」と定義し、「調理師」「調理実務者」として法律に明記、▲国家と地方自治体が学校給食従事者の健康と安全保証に必要な施策を実施、▲36学級を超える学校や一日2食以上給食を提供する学校には「栄養士」を2人以上配置、▲学校給食従事者一人あたりの食事提供基準を設ける、といった内容が含まれています。
韓国では「無償でオーガニック素材の給食を提供すること」で知られています。
約20年前から導入されているもので、私の子ども2人(高校1年、小学6年)もこれまで、学校に一切給食費を払っていません。学校のHPに毎日アップされる写真を見ると、質の高い給食が出続けています。何よりおいしいそうです。
しかし、こんなキラキラした事情の裏に、給食労働者を取り巻く劣悪な環境があることは、韓国社会でもあまり知られていません。
政府の資料によると、2021年から25年6月の間に、給食労働者213人が肺がんで労働災害を申請し、この中の178人が申請を受理されたとします。肺がんで亡くなった方は14人にのぼるといいます。
こんな健康を害するほどの労働強度に加え、夏休みや冬休みなど、学校が長期休暇となる際には、最小限の給料しか保証されず、全体的な労働環境の改善を求める声が現場から上がっていました。
国会で法案が可決した瞬間の映像を見ると、エプロン姿で傍聴席にいた給食労働者たちは、涙を流して喜んでいました。その写真を見たのが、この話を取り上げた理由でもあります。
法案可決の瞬間を捉えた『ハンギョレ』の写真。
禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長も「これまでご苦労様でした。皆さんの最低限の権利が保障されるスタートとなりました」と、その労をいたわりました。
こうして記事を書くのは簡単ですが、その背景にどれほどの苦労があったのでしょうか。寒空の下、集会を開いていた方達の姿も思い浮かびます。政治がすべきことは何かを、改めて確認しました。
国会前で集会を開く給食労働者たち。昨年11月20日、筆者撮影。
3. 電子バンド切断で再収監…性犯罪‘前科者’監視の今
韓国では性犯罪の前科者を監視する法制度が運用されています。
裁判所の判決に基づき、地域内に引っ越してきた場合には各家庭に手紙が届き、役場には写真付きで貼り出されます。
さらに、専用のアプリでいつでも全国の性犯罪前科者の住所や写真を確認できます。
また、一定の条件を満たす人物には電子バンドの着用が義務付けられています。
詳しくは以下の記事にまとめてあります。
2020年、ある人物が注目を集めました。名前は趙斗淳(チョ・ドゥスン、当時68歳)。
京畿道(キョンギド)安山(アンサン)市で2008年、小学生に性的暴行をはたらき重傷を負わせた人物です。12年の服役後、出所し、安山に戻ってきたのでした。
6年経った今も、チョ氏は安山に住んでいます。登下校や夜間の時間帯には外出してならず、一定量以上の飲酒も制限されていました。
しかし、28日に地上波『SBS』が伝えたところによると、出所から3年後には夜間に無断外出し懲役3か月を宣告され服役したそうです。
また、昨年3月から10月まで5度にわたって、学校の下校時間帯に居住地を無断で離脱していたとのこと。
電子バンドと自宅の監視装置を壊したこともあり、検察は「地域社会に極度の不安を与えた」と懲役2年を求刑していました。
そして28日に懲役8か月が宣告され、治療監護施設へと収容されました。
こうしたニュースが、夜8時からのメインニュースで取り上げられる点が、韓国での性犯罪への関心の高さを物語っています。
4. 「得票率3%以上で比例議席獲得」に違憲判断
日本は衆議院選挙の真っ最中ですが、大統領の国会解散権が87年に廃止されている韓国では、国会議員選挙(総選挙)は4年に一度、定期的に行われます。
一院制300議席の総入れ替えという総選挙は、小選挙区と比例政党を選ぶ形で行われます。
この際に、政党に比例議席が割り当てられるためには、総得票率が3%を超える必要がありました。
しかし29日、憲法裁判所はこれを定めた公職選挙法189条1項1号が違憲であると決定しました。9人の裁判官のうち、7人が違憲であると判断したのです。
判断の根拠はどのようなものでしょうか。
『京郷新聞』などによるとそれは、「合理的な理由がないまま、政党に対する投票を死蔵させ投票の価値を歪曲し、選挙の代表制を損ねた」というものです。
元々、この「3%ルール」は、群小政党の乱立を防ぐために導入されたものですが、大統領制が定着した今、このルールは「新たな政治勢力の院内(国会)への進出を遮断し、巨大政党の勢力だけを強める役割を果たしている」という判断です。
ソウル安国洞にある憲法裁判所。筆者撮影。
こんな憲法裁の判断を少数政党は喜びを持って受け入れました。
そもそも、労働党・緑の党・進歩党といった規模の小さな政党が憲法訴願を行っていたものです。
一方で、2人の裁判官が出した反対意見にも、注目する必要があります。
「極めて少数の支持を受ける極端主義勢力が議会に進出する場合、社会的な葛藤を助長する危険がある」というものがそれです。
外国人差別や不正選挙といったデマを掲げる政党に、公での発言の場を与えてはならないという話です。
実際に、24年4月に行われた前回総選挙の結果を「3%ルール」が無い状態に当てはまる場合、どうなるのでしょうか。
左派政党・緑色正義党や中道・新たな未来といった党の獲得議席が、0議席から1議席に増えると同時に、キリスト教極右の自由統一党も1議席を獲得することになるそうです。
自由統一党は、チョン・グァンフン牧師が率いる政党で、極端な反共・不正選挙・中国人への排他主義・民主主義制度の否定を掲げています。
むむむ、と思わず唸りましたが、それでも憲法裁の判断が正しいでしょう。今後は公職選挙法の改正が行われ、制度として根付いていくでしょう。
一方で、日本のことを考えましたが、参政党のような極右政党が既に3%を優に超える票を得ているなと思い、ため息をつきました。
5. 今日の時事韓国語「헌법」
「ホンポプ」と読みます。漢字では「憲法」です。
当然の話ではありますが、韓国でも非常に大事にされています。
特に非常戒厳といった驚天動地の出来事を前に、判断の根拠を与えてくれるものとして、改めてその存在価値が光りました。
このため、今年から7月17日の「制憲節」が公休日となります。
2008年からは休日でなくなっていましたが、「憲法に対する国民の意識を高めるため」、ふたたび休日となるそうです。
今日はここまでです。
サムスン電子、SKハイニックスといった半導体企業の好調を伝える記事があふれ、株価指数は連日高値更新を続けています。
一方で、「株価が李在明の任期5年の間あがり続けるはずがない」という指摘や、「投資のための借金が民間に約30兆ウォン(約3兆2000億円)ある」、「政府は上がり続けるといったメッセージを出し続けてはいけない」といった、自制を求める声が続きます。
下落したときは地獄だということです。
しかし、レガシーメディアが力を失っていく今、こんな声はどこまで届くのでしょうか。
それではまた来週月曜日にお届けします。
温かい週末をお過ごしください。アンニョンヒケセヨ。(徐台教)
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