【デイリー・コリア・フォーカス】26年3月18日号

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徐台教 2026.03.18
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。

3月18日、水曜日です。今日も韓国から徐台教が「デイリー・コリア・フォーカス」をお届けします。

昨日のニュースレターをお送りしたのが午後11時でした。今日はなんとか比較的早め(?)に送ることができました。といってももう午後4時ですね。

今日の目次は以下の通りです。

1. トランプ米大統領の派兵要請に「慎重論」つづく
2. 北朝鮮がロシアへの戦争協力で得る代価は「2兆円前後」か
3. 今日の時事韓国語「파병」

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1. トランプ米大統領の派兵要請に「慎重論」つづく

先日、トランプ米大統領による「軍艦派遣要求」について韓国内は慎重モードであることをお伝えしましたが、今なお青瓦台(大統領府)をはじめ、政党やメディアでは、この基調が続いています。

青瓦台の洪翼杓(ホン・イクピョ)政務首席は17日、「韓米関係だけではなく、国内の政治的な協議過程も非常に重要で、この二つを深思熟考すべき事案」と明かしています。

米国からの正式な要請があったのかについてはよく分かりません。

やはり同日、国会でこの事を聞かれた趙顯(チョ・ヒョン)外交部長官は、言葉を濁していました。政府の中にできるだけ曖昧にする基調があると推察されます。

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いざとなった場合には、国会を盾に最大限、決定を引き伸ばすことは疑いがありません。

なお、2003年9月、米国からイラクへの戦闘兵力の追加派兵を求められた際には、国内意見調整から米側との派兵内容の交渉、国会での同意まで半年近くかかりました(結果は平和維持・再建を任務とする約3600名が派遣)。

慎重論は当然といえば当然です。

名分の無い戦争である上に、言うことがコロコロ変わるトランプに都度都度付きあう訳にはいかないという空気は、ここ韓国にもはっきりあります。

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この件については『朝鮮日報』、『東亜日報』、『京郷新聞』、『ハンギョレ』が今日18日付けの社説で取り上げていました。

論調は似ています。

保守紙をみると、「状況は予測不能であるため知恵が必要だ」(朝鮮日報)、「今回の戦争の最も大きな問題はその超不確実性にある」(東亜日報)と、すぐに決定してはならないという原則を強調しています。

リベラル紙では「中堅国が緊密に意志疎通し、しっかりまとまるべき」(ハンギョレ)、「いかなるときも多数の国民が同意しない派兵はいけない」(京郷新聞)とクギを刺しています。

一夜明けて、トランプ氏はSNSで派兵要請自体を取り下げるような、いじけた様子を見せていますが、またすぐにどう変わるのは分かりません。緊張した状況は続いています。

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一方で、経済的にどんな悪影響が出るのかを綿密に注視すべきという論調が存在します。

李在明大統領は17日の国務会議(閣議)で、自家用車の曜日別運行制度に言及するなど、「状況の長期化を前提に、最悪のシナリオまで念頭に置いた対策を作るべき」と明かしています。

また、貧困層への影響が大きいことを考慮し、貧困層や輸出企業を支援するための補正予算の編成を求めました。

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2. 北朝鮮がロシアへの戦争協力で得る代価は「2兆円前後」か

「ロシアへの戦争協力で北朝鮮はどれくらい儲けたのか」

この直截(ちょくせつ)的な質問を、誰もが一度は考えたことがあると思います。

これについて、韓国の情報機関・国家情報院傘下の国家安保戦略研究院(INSS)が13日、『北韓の対露派兵および軍需物資輸出の経済的効果』という報告書を通じ整理しました。

同研究院では、過去にも似たような報告書を発刊したことがありますが、今回のものは、2023年8月から25年12月までと、北朝鮮がロシア・ウクライナ戦争に関わったすべての期間を網羅している点に特徴があります。

報告書の表紙。国家安保戦略研究院より引用。

報告書の表紙。国家安保戦略研究院より引用。

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報告書によると、この期間、4度の派兵(※)により獲得した外貨は約6.2億ドル(約980億円)、各種の砲・砲弾、そして誘導・弾道ミサイルの輸出により得た外貨は総額70.5億ドル~137.8億ドル(約1兆1200億円~約2兆1860億円)にのぼります。

(※)4度の派兵について、2024年10月:1万1000人、25年1月:4000人、25年8月:1000人、25年9~12月:5000人と報告書に記されています。これらは国家情報院の情報を参考にしており、25年末に派兵は完了したとのことです。

また、後者の金額を中間値の104億ドル(約1兆6500億円)と考える場合、総額は110.3億ドル(約1兆7500億円)となるとしています。

この中で、北朝鮮が現物(物資)という形で回収した金額は、約4.0%~19.6%とし、金額換算では5.8億ドルから15億ドルの間とのこと。これらは衛星などで察知できる物資であるそうです。

つまり、最大で96.0%、最低でも80.4%におよぶ代価が、軍事技術や精密部品、素材という形で受け取っているか、受け取る可能性があると見立てています。

報告書はこの上で、北朝鮮がこうした代価をすべて回収する場合、「北朝鮮への経済制裁の核心である外貨収入の減少効果が無効化される」と結論づけております。

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興味深い部分としては、北朝鮮のこのような収益は、韓国がベトナム戦争に派兵した際(※)の「派遣経費(戦闘手当)」と「戦争特需」にそれぞれ該当するという指摘がありました。

(※)韓国軍は1964年9月から1973年3月にかけて、米国側に立ち、延べ32万5000人あまりを派遣し、この内の約5000人が戦死した。

韓国は当時、援助・借款・技術移転により、「派遣経費」の4倍以上の間接的な経済効果を獲得し、重化学工業化の基盤をつくることに成功したというのです。

報告書では「現時点で北朝鮮にこうした経済効果が出ているのかを推論することは難しい」としながらも、ロシア派兵の代価が様々な‘肯定的な影響’を与え得ることを示唆しています。

なお、北朝鮮の国会にあたる最高人民会議は22日から開催されます。先の第九回党大会で改めて強調された韓国との「敵対的2国家関係」がどう、憲法に反映されるのかも注目です。

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3. 今日の時事韓国語「파병」

「パビョン」と読みます。漢字では「派兵」となります。

先ほど、韓国のラジオで聞いた余談をひとつ。

ある韓国の専門家が「高市首相は、米国に特大のプレゼントを約束するだろうが、その実施を最大限引き伸ばすだろう」と予言(?)していました。

日米首脳会談の動向は、ここ韓国でも多くの人が固唾を呑んで見守っています。

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今日はここまでです。

進歩陣営内での意見の相違の中、激論を経てようやく検察改革法案がまとまりました。共に民主党・政府・大統領府の調整によるものです。19日に国会で議決にかけられる予定です。

捜査権と起訴権を兼ね備えた「最強」検察の力を両者の分離を通じ削ぐもので、与党の悲願でもありました。

そうとはいえ、李在明大統領は改革案が一方的なものになりすぎないよう苦心する姿も見せ、大統領としての株をまた上げたように思います。これについてはまた後日、取り上げます。

それでは、アンニョンヒケセヨ。

ありがとうございます。(徐台教)

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