【デイリー・コリア・フォーカス】26年3月16日号

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徐台教 2026.03.16
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。

今日、3月16日も、韓国から徐台教が「デイリー・コリア・フォーカス」をお届けします。

週末の韓国は、トランプ米大統領による軍艦派遣を求める発言で揺れました。中国やフランス、日本や英国と共に「ホルムズ海峡へ軍艦を派遣することになる」名指しされたものです。

今日のニュースレターでは、トランプ発言を韓国メディアはどう報じ、韓国政府と専門家はどう受け止めているのかをチェックします。韓国は派遣に前向きなようですが、状況を精査している段階です。

1. 「ホルムズ海峡に軍艦派遣せよ」トランプ氏の要求に慎重な韓国
2. 今日の時事韓国語「섣불리」

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1. 「ホルムズ海峡に軍艦派遣せよ」トランプの要求に慎重な韓国

14日(現地時間)、トランプ大統領はSNSに「イランによるホルムズ海峡封鎖で影響を受ける国々は、この海峡の通行を確保し安全を守るため、米国と連携し軍艦を派遣することになる」と書き込みました。そして具体的に、前述の5か国の名を上げました。

この書き込みでは、「イランの軍事能力を100%破壊した」としながらも、ドローンを飛ばしたり、機雷を敷設し、近距離ミサイルを発射することは「容易」としています。

韓国や日本を含む5か国は、こんなイランの「制約」を受ける国として選ばれており、トランプ氏は「ホルムズ海峡への脅威を排除してくれることを期待する」と書いています。

また、これに続く別の書き込みでは「ホルムズ海峡を通じ、石油を輸入するそれぞれの国は、ホルムズ海峡の航路に責任を持つべき」とし、その本気度をうかがわせています。

日本と同様に、この動きを韓国メディアは速報で伝えました。それもそのはずです。今まさに戦闘が行われている地域への軍艦派遣という前例のない出来事を求められたためです。

トランプ大統領の「問題の」書き込み。トゥルースソーシャルをキャプチャ。

トランプ大統領の「問題の」書き込み。トゥルースソーシャルをキャプチャ。

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一方、この書き込みには「望むらくは」という言葉があることから、正式な要請ではないとされていました(15日晩まで韓国メディアはこの立場)。

しかし、このニュースレターを書いている16日午後2時の時点では、トランプ氏は米メディアに対し「7か国に参加を要求した」と明かしています。

これに韓国が入っているのかは分かりませんが、従来の5か国から2か国が増えたと考えるのが一般的でしょう。

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それでは、韓国の反応はどうでしょうか。

青瓦台(大統領府)は15日、「韓米間で緊密に疎通し、慎重に検討し判断していく」(SBSより)と韓国メディアに明かしています。

また、「国際海上交通路の安全と航行の自由はすべての国家の利益に符号し、グローバル海上物流網の早期の正常化を望む」、「国民の保護とエネルギー輸送路の安全確保のための方案を多角的に模索している」(いずれも同)と付け加えたそうです。

こう答える他にないという形です。

韓国ではもうすぐ訪米する高市首相の「選択」にも注目しています。日本は当惑しながらも慎重であるという認識のようです。地上波SBSをキャプチャ。

韓国ではもうすぐ訪米する高市首相の「選択」にも注目しています。日本は当惑しながらも慎重であるという認識のようです。地上波SBSをキャプチャ。

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次に韓国メディアの論調を見てみましょう。16日付けの主要日刊紙はすべて、この件を社説で取り上げてました。

その論調のまとめは以下のようになります。

3月16日付け、韓国主要日刊紙の社説論調。筆者作成。

3月16日付け、韓国主要日刊紙の社説論調。筆者作成。

こう見ると京郷新聞以外の各紙は、派遣に対しそこまで消極的でないのが分かります。ただ、派遣までのハードルは非常に高いという形です。

実は今、韓国の論壇は「積極的に行くべき」、「絶対に行ってはならない」という二つに分かれている訳ではありません。

こうした主張のいずれも「国益」を理由としています。片方を選んだときの国益が、もう片方のものよりも勝ると判断した上で、こうした主張になります。

しかし案外、最も多い答えは「仕方なく行かざるを得ないだろうが、最大限安全に、最大限どの国とも角が立たない形で行く」という主張のように思えます。状況を見極め、手続きをしっかり踏み、最小限で、です。

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テレビを含むあらゆるメディアで、2020年1月の出来事が例として挙げられているのは、こうした背景によります。

当時はイラク革命守備軍のソレイマニ司令官が米国により殺害された時期でした。やはりホルムズ海峡で緊張が高まるや、米政府は同海峡を守る多国籍連合を作り、韓国もこれに参加することを求めました。

しかし当時の文在寅政府は、アデン湾で商船を海賊の襲撃から守る任務にあたっていた韓国軍の青海(チョンヘ)部隊を、ホルムズ湾に向かわせました。

韓国メディアによると同部隊は約260人で構成され、4400トン級の駆逐艦や海上作戦用ヘリを運用しています。

赤印が韓国軍「青海(チョンヘ)部隊」の通常の作戦領域。黄色がホルムズ海峡です。googlemapを元に筆者作成。

赤印が韓国軍「青海(チョンヘ)部隊」の通常の作戦領域。黄色がホルムズ海峡です。googlemapを元に筆者作成。

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この時の同部隊の投入はあくまで作戦領域の拡大という形式で行われました。

ホルムズ湾でも多国籍軍と行動を別にし、韓国の商船を守るための独自作戦という形を取ることで、周辺国との葛藤を最小限に抑えた経験があります。

韓国メディアの報道から察するに、今回も「断り切れない」という認識から、このような形で行われるのではないかと見られます。

ただ、国会の承認を得ずに移動だけ行った2020年当時とは、状況が異なります。しっかりした議論と手続きを経てからとなるため、時間をかけてのものになりそうです。あくまで「急ぐ必要はない」ということです。

私が今朝会っていた北朝鮮専門家も中東は専門外という前提の下、「戦闘が行われている状態で送ることはできない」と答えていました。

気の早い韓国メディアは青海部隊の特集をしています。記事のタイトルは「ホルムズ派遣が有力な‘青海部隊‘は?…‘アデン湾作戦など’実戦経験が豊富」です。ニュースワンの記事をキャプチャ。

気の早い韓国メディアは青海部隊の特集をしています。記事のタイトルは「ホルムズ派遣が有力な‘青海部隊‘は?…‘アデン湾作戦など’実戦経験が豊富」です。ニュースワンの記事をキャプチャ。

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2. 今日の時事韓国語「섣불리」

「ソップルリ」と読みます。日本語では「うかつに」、「おろそかに」といった意味となります。

今回のホルムズ海峡への軍艦派遣要請に対し、韓国政府がとってはいけない態度として、多くのメディアで使われています。

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今日はフル回転の一日なので、いったんここまでとします。

いまSNSでは、米アカデミー賞受賞式で、『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』が長編アニメーション賞と主題歌賞の2冠に輝いたという書き込みがあふれています。おめでとうございます。

それではまた明日、お会いしましょう。

ありがとうございます。(徐台教)

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