【デイリー・コリア・フォーカス】26年3月25日号

皆さま、アンニョンハセヨ。
3月25日、水曜日です。明日から急用で日本に行くことになり、今週は少し短めのニュースレターとなります。
今日の目次は以下の通りです。
1. イラン情勢による経済難…李大統領「非常対応体制の稼働」を宣言
2. 今日の時事韓国語「사재기」
1. イラン情勢による経済難…李大統領「非常対応体制の稼働」を宣言
本ニュースレターでも連日、イラン情勢に対する韓国政府や社会の反応をお伝えしてきましたが、表面上はまだ、平穏な毎日です。しかし少しずつ生活面への影響に対する不安は広がっています。
特に、特定の商品が品切れになるかもしれないという話が出回っています。地上波『SBS』は24日晩のニュースの中で、ビニール不足と共に、一部で買い占めの動きがあると伝えました。
韓国は燃えるゴミは必ず、有料のゴミ袋に入れて捨てることになっています(私が住んでいる地域は20リットルが一枚720ウォン、約80円)。従来、この袋は10枚20枚とまとめて売っていたのですが、バラ売りしかしなくなったというものです。

韓国旅行でおなじみのこの黒ビニールもピンチなようです。SBSニュースをキャプチャ。
また、個人事業主には欠かせない、商品包装用の黒いビニール袋を6か月から一年分ストックする人も出てきているそうです。
ビニール製造業者は「在庫がギリギリ」とし、「20年勤めているが、こうして原料が入ってこないのは初めて」と述べていました。
一方で韓国政府は、ゴミ袋の場合「6か月の在庫がある」と明らかにしているそうです。ビニールの原料であるポリエチレンの元となるナフサについて政府は、海外輸出用の物量を国内に回すことを明かしています。
経済への影響については、李在明大統領みずからが警鐘を鳴らしています。市民の不安を煽らないよう注意しながらも、容易な状況でないことを表現しています。
24日午前には、毎週火曜日恒例の国務会議(閣議)があり、李大統領の冒頭発言が注目されていました。
この日、李氏は「中東戦争の拡大と長期化により、原油・天然ガスの需給不安が大きくなっている」と切り出しました。
また、「国際エネルギー機構は今回の事態が歴史上最悪のエネルギー安保の脅威と見なし、世界経済に与える影響を警告している」とし、エネルギー以外にも「配達容器から医療道具まで、私たちの日常に石油化学製品が使われていない所はないため、いつどこでどんな問題が起きるか予測できない状況だ」と危機感を露わにしました。
その上で、「民生と経済・産業の全般に発生するかもしれない重大な危機に対処するため、政府の次元で非常対応システムを先制的に稼働させなければならない」と述べました。
非常対応システム(韓国語では非常対応体制)という言葉が、認識の重さを物語っています。

24日、国務会議で発言する李在明大統領。青瓦台提供。
さらに、李大統領は「最悪の状況まで仮定した対策を迅速に作るべき」と各部署に注文しました。
市民への影響が大きいガソリン価格についての言及もありました。業界の談合を「一罰百戒に処す」としながら、27日に迫った最高価格制の価格更新での値上げは不可避と語っています。
李氏は発言の中で、国民への協力も強く呼びかけました。
「外換危機(1997年、国際通貨危機)の時や、新型コロナの国難を克服したように、今回の危機もまた、国民皆が心と意思を合わせれば、いくらでも勝てる」とまず、お決まりの‘精神論’をぶちました。
国家デフォルトの危機に陥った外換危機の際には、皆で危機を乗り越えようと、市民が金製品を国に寄付する出来事がありました。
これは危機に瀕した際に社会が振り返る一つの「ナラティブ」となっており、歴代大統領の演説や発言にたびたび引用されてきました。ひたひたと迫り来る今回の経済難を、国家がどう位置づけているのかが分かる表現でした
李氏は次いで、現実的な対策を求めました。
「公共機関は自動車を5部制など模範を示し、国民も公共交通手段の利用や生活上の節電など、エネルギー節約運動への協力をお願いする」というものです。
5部制というのは、車のナンバー末尾を5つのグループに分け、平日5日のうち、1日は運行を休むというものです。この措置が導入されるのは、国際油価が1バレル=100ドルを超えた2011年以来、15年ぶりです。
25日0時からさっそく施行されました。公共機関の車両は義務、民間は自律的に行うという形です。各メディアには5部制実施の現場を扱ったルポが出ています。
李大統領はまた、約25兆円ウォン(約2兆6500億円)とされる補正予算を「戦時予算(正確な表現は追加経常予算を略した「戦時追経」)と表現し、この編成が速ければ速いほど「効果が倍加する」と強調しました。
実際の状況をもう少し見てみましょう。
日本のNHKにあたるKBSは、24日の夜9時のメインニュースで、イラン情勢が経済に与える影響について、時間を割いて報じました。
やはりネックはナフサです。供給が不安定になることで、ペイント塗料価格が、4月から50%値上げになるそうです。
他にニュース専門チャンネル『YTN』では、豆腐販売用の容器の在庫が2か月しかないという業社の声を伝えています。
前述したように、政府はナフサの輸出制限を行うとしていますが、25日付けの『京郷新聞』では、輸出用のナフサと国内消費用のナフサは材質が異なり、制限の効果はそう大きくないという分析がありました。

25日付け京郷新聞の一面。「ペイント55%値上げ、‘高油価の津波’」という見出しです。津波という表現の使い方が日本とは異なります。
想定外の出来事が起きているためか、各紙とも取材が画一的ですが、一つ確かなのは、政府はとても緊張し、ショックに備えているということです。
世論はどうなのでしょうか。地元・金浦市にある行きつけのローカルカフェで、戦争による物資不足がお客さんの間で話題になっているのか聞いてみました。
店員さんは、「まだお客さん達が積極的に取り上げるようには感じないが、私自身も昨日、コンビニでゴミ袋を買い占めている人に出会った」と答えてくれました。
2. 今日の時事韓国語「사재기」
「サジェギ」と読みます。意味は「買い占め」です。
韓国のポータルサイト「ネイバーニュース」で「サジェギ」と検索すると、ゴミ袋買い占めに関するニュースがたくさん出てきます。
一方、YouTubeはどうでしょうか。検索してみると、視聴者の目を引くために、煽るようなサムネイルが散見されました。
パニックを作るも鎮めるもメディア次第。不安を煽るユーチューバーが出てこないよう願うのみです。

YouTubeを「サジェギ」で検索した結果。普段、ニュースしか見ていないからか、割とマイルドな(?)結果でした。
今日はここまでです。
以前お伝えした、ウクライナで拘留されている北朝鮮兵士2人ですが、「ウクライナ当局が『強制送還禁止原則』を考慮している」と、兵士たちの韓国入りを支援する団体が24日に明かしました。
韓国政府が無関心な態度を示す中、その去就に注目が集まっていましたが、ひと安心といったところです。韓国政府は早く連れて来るべきでしょう。
それではまた明日、お届けいたします。
アンニョンヒケセヨ。ありがとうございます。(徐台教)
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