【デイリー・コリア・フォーカス】26年11月5日号 [韓国政治社会]:続く与党内の内紛、梨泰院惨事から4年、検察改革の今、尹錫悦裁判 など

皆さま、アンニョンハセヨ。11月5日、木曜日です。今日は朴眞煥さんが担当する「韓国政治社会」の日です。
目次は以下の通りです。
(1)「証拠はなかった」与党激震、現代表が党代表選での‘デマ’を謝罪
(2)梨泰院惨事から4年、真相究明はなお道半ば
(3)「検察解体」から1か月、現場では混乱
(4)続く尹前大統領の裁判…内乱罪では死刑求刑、公選法違反では約40億円返還も
(5)今日の時事韓国語「일상」
ちなみに私(徐台教)は今日明日と、南北軍事境界線付近に取材に出ています。今日もさっそく、取材の成果がありました。これについては今週土曜日のYoutubeライブでお伝えします。


(1)「証拠はなかった」与党激震、現代表が党代表選での‘デマ’を謝罪
与党・共に民主党の金民錫(キム・ミンソク)代表が3日、党代表選で自ら持ち出した疑惑について、「裏付ける証拠はなかった」と謝罪しました。
発端は8月17日の党代表選です。金氏は、対立候補の鄭清来(チョン・チョンレ)前代表を念頭に、新興宗教団体「新天地」の信者が集団で入党し、代表選に介入したとの疑惑を提起しました。
李在明大統領に批判的な「反明」勢力が新天地と手を組んだと主張していました。新天地の李萬熙(イ・マンヒ)総会長は、信者に最大野党・国民の力への入党を強いたとして、逮捕・起訴されています。
党代表選で勝利した金氏は、党内に調査チームを設置。先月初めには調査が終わっていましたが、結果の公表は先送りされていました。
鄭氏側が証拠の提示を求めるなか、3日に開かれた議員総会で調査結果が報告される予定でした。しかし、金代表は一転して報告を取りやめ、「疑惑を裏付ける証拠はなかった」と説明し謝罪した次第です。
これに強く反発しているのが、代表選を戦った鄭清来前代表です。鄭氏は「結果的に党員と私は無罪、金代表は有罪になった」と批判し、非公開の議員総会ではなく、党員に向けて公に謝罪し責任を取るよう求めました。
金代表に近い議員からは、党の団結のための決断だとして、党内には問題を収めようとする声も出ています。
しかし、リベラル紙・ハンギョレ新聞は党内対立が再燃するおそれがあると指摘。「自ら提起した疑惑を撤回し謝罪したことで、金氏の指導力への打撃は避けられない」と伝えています。
李在明大統領の支持率低迷の一因には、与党の内紛が関係しています。関係修復はおろか、党内の溝はさらに深まる見通しです。
(2)梨泰院惨事から4年、真相究明はなお道半ば
ソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)で起きた惨事から、先月29日で4年が経ちました。
2022年、ハロウィーンを前に集まった人々が狭い坂道で折り重なって倒れ、160人が亡くなった事故です。今年の追悼式には、現職大統領として初めて李在明大統領が出席しました。
李大統領は「朝、家を出た家族が夜には無事に帰ってくる。その当たり前の日常を守ることで、国の責任を果たす」と述べ、真相究明と再発防止を約束しました。
一方、事故原因の究明や再発防止策の策定を担う「特別調査委員会」は先月27日、発足から約2年を経て、ようやく中間報告を発表しました。
韓国メディアによると、ここでは当時の大統領室や政府の指揮体制、そして警察の安全管理の不備などが示されました。しかし遺族からは、家族がなぜ亡くなったのか、その経緯が十分に明らかにされていないと不満の声が上がっています。
資料提出の遅れや委員会内部の混乱もあり、成果は限定的です。そのため活動期限が来年9月まで1年間延長されました。
李大統領は先月28日の「国民生命安全委員会」でも、「国は人々の命を守り、被害者や家族を十分に保護してきたのか、反省し続けなければならない」と述べました。
これに対し、京郷新聞は社説で、「こうした計画や決意を単なる宣言で終わらせず、真相究明を制度改革につなげ、経済的利益などを理由に安全を軽んじる姿勢を排除する」よう求めました。
今年のハロウィーンは梨泰院をはじめソウルの繁華街で警察が厳戒態勢を敷く中、何事もなく過ぎていきました。事故のきちんとした収束を望む人は多いでしょう。
(3)「検察解体」から1か月、現場では混乱
検察庁を廃止し、捜査と起訴を分離する韓国の新制度、いわゆる「検察改革」が今月2日、施行から1カ月を迎えました。
一般の事件は「国家捜査本部」が、汚職や経済犯罪、薬物犯罪などの捜査は新設の「重大犯罪捜査庁」が、そして起訴や公判の維持は「公訴庁」が担う仕組みです。
しかし、現場では早くも混乱が広がっています。
検事が直接捜査できなくなったため、被害者が追加の証拠を出そうとしても警察へ回されるといった形や、公訴庁に事件が送られた後も、警察経由で証拠の提出を求められるなど、「手続きが複雑になった」という不満の声が出ているそうです。
公訴庁から警察への補充捜査要求も増え、捜査や裁判の長期化が懸念されています。
さらに、捜査機関同士の管轄をめぐる問題も浮上しています。
日刊紙・東亜日報によると、金融機関へのハッキング事件をめぐり、国家捜査本部が重大犯罪と判断し、重大犯罪捜査庁に通知したものの、同庁は、「警察の捜査がすでに進んでいる」ことを理由に引き受けませんでした。
同紙は「成果が出そうな事件は奪い合い、手間ばかりかかる事件は押し付け合いかねない」と懸念し、実効性のある調整手続きが必要だとする弁護士の言葉を伝えています。
また、ハンギョレ新聞は、制度を定着させるためには、捜査する機関と起訴する機関の緊密な協力と、法制度の不備の是正が必要だと報じました。
機関同士の足並みが乱れ、手続きが滞れば、そのしわ寄せを受けるのは一般の市民です。こうした混乱は予測されていましたが、検察改革は李在明政府の看板政策だけに、早期の改善が望まれます。
(4)続く尹前大統領の裁判…内乱罪では死刑求刑、公選法違反では約40億円返還も
2024年12月3日の非常戒厳をめぐり、内乱を首謀した罪に問われている尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に対し、特別検察は先月29日、二審でも死刑を求刑しました。
今年2月の一審では、非常戒厳を宣言して国会に軍を投入した行為は、憲法秩序を乱す暴動に当たるとされ、無期懲役が言い渡されました。しかし、刑が軽すぎるとして控訴した特別検察は、一審に続き改めて最も重い刑を科すよう求めています。
これに対し、尹氏は「国家の危機的状況で非常戒厳しかなかった」と主張を崩していません。
今回の求刑に対し、弁護人の一人であるソン・ジンホ氏はSNSで「死刑を犬の名前のように軽々しく扱っている」と死刑という言葉を軽々しく扱っているという趣旨の投稿をし、「特別特検は(与党)民主党の犬だ」と猛反発しました。
尹氏の裁判はこれだけではありません。今週水曜日の4日には、2022年の大統領選時の虚偽発言をめぐる公職選挙法違反事件の二審判決が、ソウル高裁で言い渡されました。韓国では裁判所の判断で裁判が生中継されることがあります。今回はそのケースにあたります。
裁判所は一審と同様に懲役1年6カ月、執行猶予3年を言い渡しました。この裁判に関心が集まったのは、裁判の結果が「国民の力」の財政にも直結するためです。
韓国の公職選挙法では、当選者に懲役刑か100万ウォン(約11万5000円)以上の罰金刑が確定する場合、当選は無効となり、国から補塡された選挙費用を全額返還しなければなりません。
大統領選の場合、返還義務を負うのは候補者を擁立した政党です。このため、今回の判決が確定すれば、「国民の力」は大統領選で補塡された選挙費用など397億ウォン(約479億円)を、全額返還しなければなりません。
同党が保有する資産は、現金100億ウォンあまりや不動産を合わせて1000億ウォンを超えるとされます。なんとか支払うことはできそうですが、その過程で党は大きな打撃を受けざるを得ないでしょう。
尹錫悦氏側は上告する姿勢を見せています。大法院(最高裁)の判決が待たれます。
(5)今日の時事韓国語「일상」
「イルサン」と読みます。漢字では「日常」です。文字通り「日常」、もしくは「日常生活」という意味です。
朝起きて、顔を洗って、ご飯を食べて、会社や学校へ行く。そんな普通の何気ない暮らしを表現するときによく使います。
4年前に梨泰院惨事が起きたあの日は、事故に遭った人々にとって、いつもとは少し違う楽しみが持っているはずの一日だったと思います。
李大統領は「その当たり前の日常を守ることで、国の責任を果たす」述べています。
自分の日常は自分で守ることが一番大事ですが、個人の力だけでは防げない事故もあります。防げる事故をきちんと防ぎ、安心して日常を送れる社会になってほしいです。
今日はここまでです。それではまた明日お届けいたします。いつもありがとうございます。(徐台教)
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