【デイリー・コリア・フォーカス】26年10月27日号 [韓国AI事情/経済]:AIが若者の雇用を奪う?韓国政府が求めるAIの理想的活用 など

AIが韓国の若者にもたらす影響と、韓国政府のAIへの取組を整理しました。本ニュースレターは、サポートメンバーおよび一般登録会員すべての方にお送りしております。
徐台教 2026.10.27
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。10月27日、火曜日です。今日も韓国から徐台教がお送りします。

ニュースレターが遅くなった理由は、昨日のニュースレターでもお伝えした朝鮮側の「自走砲」を見に行ってきたからです。

これがよく見える愛妓峰(エギボン)という小山は、私が住む金浦市に属しています。家から距離的には30キロに過ぎないのですが、国防部の許可を取ったりした関係で、結局往復で5時間くらいかかりました。

愛妓峰展望台から望む、黄海北道開豊郡。今日は天気が良く、遠くの松岳山までよく見えました。写真はいずれも27日、徐台教撮影。

愛妓峰展望台から望む、黄海北道開豊郡。今日は天気が良く、遠くの松岳山までよく見えました。写真はいずれも27日、徐台教撮影。

私が訪問した午後4時頃には、スターバックスの店内と隣接した展望台を合わせ、約100人くらいの市民が愛妓峰を訪れていました。双眼鏡で北側を眺めます。

私が訪問した午後4時頃には、スターバックスの店内と隣接した展望台を合わせ、約100人くらいの市民が愛妓峰を訪れていました。双眼鏡で北側を眺めます。

「国境要塞化作業」の一環として、山の上の道路が整備され、柵が設けられているのが分かります。

「国境要塞化作業」の一環として、山の上の道路が整備され、柵が設けられているのが分かります。

それでは、肝心の自走砲は写真はというと…

隠れている自走砲が見えますか?

隠れている自走砲が見えますか?

拡大するとこちら…

画面中央にある四角いものが自走砲です。

画面中央にある四角いものが自走砲です。

よく分かりませんよね。韓国メディアのこの記事をご覧いただくと、理解が深まると思います。

私は写真よりも、全体の雰囲気を見に行ったので当初の目的は達成しましたが、やはり良い機材があると良く撮れますね。

現地の軍部隊に聞いたところ、内外のメディアがこぞって来ているようです。私も新たなカメラが届き次第、もう一度行ってみるつもりです。

ただ、こういうものはあくまで、一つの話題に過ぎません。全体を見失わないようにすべきでしょう。

気を取り直して今日の目次です。以下の3つになります。

(1)AIが阻む若者の雇用と「キャリア形成」
(2)韓国の保健福祉部とWHOが共同宣言を発表、AIを通じ保健医療課題の解決へ
(3)今日の時事韓国語「텅장」

***

(1)AIが阻む若者の雇用と「キャリア形成」

AI(人工知能)の普及は、社会にどんな影響をもたらしているのでしょうか。

うまく使いこなす若者はその恩恵を多く受けそうなものですが、実際には社会人の若者を苦しめているという調査結果が出ました。

韓国の地上波テレビMBCが25日に伝えたところによると、広告代理店やデータ、プログラミングといった分野で、AIの導入が多く進み、若者の雇用減少につながっているとのこと。

実際に先月の全体の就業者数は11万人増えた一方、青年層は14万7千人が減少しているそうです。そして過去4年に減少した青年層の雇用の94%が、AIへの露出が高い業種だったといいます。韓国銀行の統計です。

AIが若者キャリアを寸断すると伝える、MBCテレビ。

AIが若者キャリアを寸断すると伝える、MBCテレビ。

また、若者の育成をAIが阻んでいるというのです。例えばプログラミングでは、失敗を重ねながら実務経験を積み、実力を高めていくのですが、AIは失敗をしないためその機会が奪われていくという現役社会人の悩みを伝えていました。

雇用の維持も困難に直面しています。同じ韓国現行の調査によると、過去4年間(2022年7月〜2026年6月)、AIへの露出が高い職種を離れた青年層の数が、7年前の調査時(2016年1月〜2019年12月)よりも32%も増えているそうです。3700人から4900人になりました。

本来は試行錯誤を重ねながら成長すべき青年層が、 AIにより成長の機会を奪われているとニュースはまとめています。「短期的には生産性が高まるかもしれないが、長期的には『経歴(キャリアアップ)』のハシゴを外す」という憂慮です。

目先の便利さが、韓国の若者に様々な負の影響を与えているようです。社会全体で議論することがます大事でしょう。

***

(2)韓国の保健福祉部とWHOが共同宣言を発表、AIを通じ保健医療課題の解決へ

10月21日から22日にかけて、ソウルで『2026世界バイオサミット』が開催されました。2022年から毎年、韓国政府(保健福祉部)とWHO(世界保健機構)が共同で開催しているものです。

扱う大きなテーマは、感染病危機への対応や、グローバルな保健安保を強化するための国際連帯ですが、今年は「AIがもたらすバイオヘルス革新の拡散」をテーマに行われたと、保健福祉部は伝えています。

これに合わせ、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長が訪韓しました。WHOの事務総長が訪韓したのは11年ぶりです。

今回のサミットの目玉は、<AIヘルスケア ソウル宣言文>でした。鄭銀敬(チョン・ウンギョン)保健福祉部長官とテドロス事務局長が共同で発表しました。

2026世界バイオサミットに参加した、テドロス事務局長(真ん中左)と、鄭銀敬長官(真ん中右)。保健福祉部提供。

2026世界バイオサミットに参加した、テドロス事務局長(真ん中左)と、鄭銀敬長官(真ん中右)。保健福祉部提供。

宣言の骨子は、「AIによる革新が、人類の健康増進に寄与し、その恩恵が特定の国家や階層に集中しないよう、国際社会が共に努力しようという約束」です。

これは、何度か紹介したような、韓国のAI政策の看板である「AI for ALL(皆のためのAI)」と軌を一にするものです。

宣言は具体的に、▲技術および投資の拡大、▲AIの責任性と危険管理、▲グローバル協力と保健安保(生物の安全保障)の強化、▲宣言の履行と後続措置、といった内容を含んでいます。

「理想論」と取られがちな韓国政府のこうした取組みは、世界的にどのような成果をもたらすでしょうか。

韓国紙によるとテドロス事務局長は21日、韓国の記者団に対し、AIをナイフに例えて説明したと言います。

「ナイフはパンを切れるが、人を傷つけもする。それでも人類はナイフを使い続けた。リスクによって、AIという先端技術の潜在力の恩恵を受けられないことがないよう、AIの潜在力を最大限に活用すべき適切な規制と責任が必要だ」という発言が印象的でした。

***

(3)今日の時事韓国語「텅장」

「トンジャン」と読みます。漢字では「通帳」です。

実は本来、預金通帳を指す言葉は「텅장」ではなく「통장」です。カタカナで書くと同じ「トンジャン」となりますが、実際の発音は異なります。

造語である「텅장」は、「텅 비어 있는 통장」の略語です。

「空っぽの預金通帳」という意味で、給料が振り込まれてもすぐに引き落としなどでなくなってしまう現象を指す言葉です。

韓国の銀行大手・NH農協銀行の発表によると、同銀行に入金される給料のうち、43%が一日で引き落とされる(もしくは引き出される)とのことです。

ダジャレのようなよくできた言葉ですが、身に覚えがありすぎて、つらくなるお話でもあります。

***

今日は以上です。体力的にも時間的にも、ここまでが限界です。

明日はYoutubeライブの日です。ですが、夜に重要な約束が入ってしまい、午後4時からのライブとなります。アーカイブとして残りますので、ごゆっくりご覧ください。

それではアンニョンヒケセヨ。ありがとうございます。(徐台教)

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