問われる統一部の役割、続く北朝鮮とロシアの蜜月、「核を抜いた対話を」の提案など 全13トピック|第8号
サポートメンバー(有料会員)の皆さん、アンニョンハセヨ。
ニュースレター第8号をお届けいたします。今号は南北関係・朝鮮半島情勢を中心にお届けします。南北関係は相変わらず「人権」一色で、好転の兆しは全く見られません。一方でロシアと北朝鮮は結びつきを極端に強めています。朝鮮半島情勢をめぐり、韓国の存在感はまったくありません。
今号の目次は以下の通りです。
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韓国から見た南北関係(1):南北関係は「非正常の正常化」だけが目的
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韓国から見た南北関係(2):問われる統一部の存在価値、今や北朝鮮人権問題追及の最先鋒に
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韓国から見た南北関係(3):韓国が11月に独自軍事偵察衛星を打ち上げ
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朝鮮半島情勢(1):金正恩氏とラブロフ外相が面談、続くロシアと北朝鮮の蜜月
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朝鮮半島情勢(2):続々と明かされる朝露の「武器取引」
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朝鮮半島情勢(3):日々強調されるハマスと北朝鮮の結びつき、その真意は?
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朝鮮半島情勢(4):中朝の貿易額が3年8か月ぶり最大に
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ショートニュース:『9.19南北軍事合意』破棄をめぐる騒動その後/今年韓国に入国する脱北者は約170人/脱北者600余人強制送還のその後/韓国当局が北朝鮮SNSアカウントの国内表示を遮断/米政府が6年ぶりに北朝鮮人権特使を任命/「核以外でまず対話を」米国の元高官が提言
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あとがきに代えて:もっと書評を
◎韓国から見た南北関係(1):南北関係は「非正常の正常化」だけが目的
毎号お伝えしているように、尹政権下では南北関係の「再定義」が着々と行われています。
18日には『南北関係発展委員会』が開催されました。
これは『南北関係発展に関する法律』(2005年公布)に基づき、5年ごとに『南北関係基本計画』を立てるため委員会です。現在議論されているのは、2023~27年までの第4次計画となります。
この計画は、ちょうど政権の任期と重なるため、政権のカラーが色濃く反映されます。
統一部が公開した資料によると、この日審議された基本計画案は「韓半島の平和構築と南北関係の正常化」を目標に、▲北韓の非核化推進と韓半島の平和定着、▲原則のある南北関係の正常化、▲北韓人権および南北間の人道的問題の解決、▲北韓情報分析の強化、▲北韓・国際社会共に行う統一準備という5つの重点目標が提示されています。
ちなみに文在寅政権下で樹立された第3次計画(18~22年)は、目標として「平和と繁栄の韓半島」と「平和共存・共同繁栄」を掲げていました。
比較のために文政権下の7つの重点目標を書いておきます。
▲北核問題の平和的な解決および平和体制の構築、▲南北対話の定例化および制度化を通じた南北関係の再定立、▲南北交流の活性化・多様化、▲「韓半島新経済構想」の推進、▲人道的問題の解決を推進、▲北韓離脱住民(脱北者)の生活密着型定着支援、▲平和統一の共感帯拡散および統一力量の強化、というものでした。
尹政権下の第4次計画とはだいぶ毛色が異なるのが分かります。第4次計画の特徴は「正常化」という言葉に圧縮されています。
22年12月30日、慶尚北道の漆谷郡多富洞にある戦争記念館を訪ね黙祷する尹錫悦候補(当時)。朝鮮戦争期の韓国の最終防衛ラインだった同地では激戦となった。この日も尹氏は「必ず政権交替を成し遂げ、多富洞と同様にこの国の自由民主主義を確実に守る」と強い発言を行った。国民の力提供。
背景には尹錫悦大統領が持つ「文政権下の南北関係は非正常であったという認識」があります。
低姿勢で南北対話を「物乞い」し、『9.19南北軍事合意』で韓国の軍事的優位に足かせをし、人権問題も提起しないばかりか、朝鮮半島の終戦宣言など時期尚早のアクションを取ろうとしたことなど、すべてが打ち捨てるべき対象となっているのです。
「韓国の対北朝鮮政策は陣営ごとにあまりにも大きく変わり過ぎる」とはよく言われることですが、尹政権でも全く同じことが起きています。
なお、会議の冒頭で金暎浩(キム・ヨンホ)統一部長官は「政府は北韓の挑発には断乎として対応する一方、秩序ある交流協力を推進し、相互の互恵的な発展を成し遂げていく」と述べました。
一方で北朝鮮に対しては「北韓は民生(庶民経済)を悪化させ、みずから孤立を招く間違った行動をやめ、開いている対話の門に一日も早く戻ってくる決断を下す必要がある」とも述べています。
次項で少し見ていきますが、このような立場では対話の可能性はゼロになります。
第4次計画は今後、政府内部で議論され、年内に公表される見通しです。
◎韓国から見た南北関係(2):問われる統一部の存在価値、今や北朝鮮人権問題追及の最先鋒に
本ニュースレターには頻繁に統一部の話が出てきます。しかし、日本に住む皆さんは「いったい何をする部署なのか」イマイチ感覚が掴めないのではないでしょうか。
韓国だけに存在する統一部(日本メディアでは勝手に統一省と名前を変えて使います)はHPでその任務について「統一および南北対話・交流・協力・人道支援に関する政策の樹立、北韓情勢の分析、統一教育・広報、その他に統一に関する事務を管掌する」と説明しています。
その歴史は朴正熙(パク・チョンヒ)政権下の1969年に設立された『国土統一院』から始まり、1990年の統一院、そして98年から統一部となりました。
特に90年から98年までは統一院長官は副総理も兼職する(現在は経済企画部長官と教育部長官が副総理を兼職)重要なポジションでした。当時、冷戦終結と共に北朝鮮との緊張緩和、さらに吸収統一への期待が進んだことが関係していていました。
統一部の23年度予算は1兆4,358億ウォン(約1600億円)ですが、この中の約1兆2,000億ウォンは南北協力基金として目的のある基金となっています。簡単に言うと南北交流がない限り執行されない予算です。
通常業務のための一般会計は2233億ウォン(約250億円)に過ぎません。職員600人あまりの小さな組織です。
なお、北朝鮮との関係改善や交流の他に、もう一つの主要業務として韓国に定着する北韓離脱住民(脱北者)の定着支援があります。
そんな統一部の来年度予算が1兆1087億ウォン(約1230億円)と22.7%も削減されたと、今年8月に話題となりました。
しかし実際は南北交流基金で27.9%の減額となった影響によるもので、一般会計2,345億ウォンや事業費1,706億ウォンは少額の増加(事業費は6.0%増)となっています。
さらに、事業費の15%近くにあたる260億ウォンを北朝鮮人権問題に使うとしています。具体的には『国立北韓人権センター』の建立(25年完成)し、世界に北朝鮮人権問題を知らせる「ハブ」の役割を果たすとしています。
統一部の金暎浩長官。過去には韓国民主化運動における闘士の一人でした。統一部提供。
過去のニュースレター(第6号など)でも言及してきたように、尹政権は対話と交流による共存共栄からの長期的な統一という韓国政府が過去30年一貫して維持しててきた統一方案を、破棄・変更しようとしています。目的は‘短期的な’吸収統一に他なりません。
さらに尹政権下で南北対話は、金正恩氏が非核化の意志を世界に納得させてはじめて始まるものとして位置づけられています。当然、交流はその後に行われます。その実現可能性は極めて低く、統一部の仕事は無いも同然です。
長官の金暎浩氏は政治学を専攻する大学教授ですが、北朝鮮に対しては強い姿勢を一貫して維持してきた人物として知られています。著書では「北朝鮮とは統一したくない」と、北朝鮮の全体主義体制への嫌悪感を隠さずに表現しています。
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