【デイリー・コリア・フォーカス】26年1月13日号
皆さまアンニョンハセヨ。韓国から徐台教(ソテギョ)です。13日の「デイリー・コリア・フォーカス」をお届けします。
今日はなんといっても、二つの大きな動きがあります。
既に日本でも多く報じられているであろう日韓首脳会談と、尹錫悦前大統領への求刑がある結審公判第二ラウンドです。
両方を同時に追うのは大変ですが、なんとか乗り切っていきたいものです。
午後7時頃からはTBSラジオ『荻上チキ・Session』への出演が予定されているので、こちらもチェックお願いいたします。
今日の目次は以下の通りです。
1. 李・高市会談は「新たな連携の始まり」になるか
2. 伸びる「K」の輸出…特に食品が人気
3.「北朝鮮へのドローン」は大学同好会の仕業か
4. AI全盛時代、大学では「哲学科」が人気
5. 差別禁止法が発議 22代国会ではじめて
6. 今日の時事韓国語「차별」
1. 李・高市会談は「新たな連携の始まり」になるか
今日13日午後、奈良市内で日韓首脳会談が行われます。
韓国内の報道を総合すると、争点は「日中関係悪化について」、「歴史問題について」、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)加入について」といった部分に絞られるようです。
また、知的財産や人的協力、日韓の社会問題についても話が出るとしています。
しかし韓国内の関心はそれほど高いとは言えません。
日刊紙各紙を見ても、社説で取り上げたのは11日付けのリベラル紙『京郷新聞』のみです。
ここではやはりリベラル紙らしく歴史問題の重要性に言及しています。
山口県の長生炭鉱の共同調査をはじめ、佐渡鉱山・端島(軍艦島)炭鉱がユネスコ世界遺産に登載される際に韓国に対し行った約束の履行といった議題を指摘すべきというものです。
とはいえ、その論調は「韓日は、米中の戦略競争と急変する国際情勢下で、協力すべき懸案が多い」という友好を基調としたものです。
だからこそ、23年3月に尹錫悦政権が元徴用工裁判における日本企業の賠償金を代理弁済した一件以降、進展がないと受け止められている日本側の姿勢が大事になるでしょう。
このため、日本政府は最低限、歴史問題を避けるのではなく「今なお残る歴史問題が何であるのか」を直視する姿勢を示す必要があるのではないでしょうか。
以前、ある日韓関係の専門家が強調していたように「すべてをテーブルに載せて、そこから解決の優先順位を決めていく」姿勢ともつながります。
最近、日本の外交筋からは少しずつ「米国を離れたところでの日韓の連携は不可欠」という声が聞こえてきます。
その第一歩となる会談になることを望みます。
2.「K」の輸出…特に食品が人気
2025年、即席ラーメンやキムチをはじめとする「Kフード」の輸出が136億ドル(約2兆1500億円)に達したそうです。
「K~」というのはここ2~3年のトレンドで、「Kカルチャー」、「Kドラマ」、「Kデモクラシー」といった具合で使われ、韓国の勢いを表す言葉となっています。生きづらい韓国社会を表す「ヘル朝鮮」ならぬ「K地獄」という使われ方もしますが…。
「Kフード」の輸出1位は即席ラーメンだそうです。他にキムチ、トッポッキなどのソース、アイスなどの輸出も急増しているとか。地上波『MBC』テレビが報じています。
なお今年の1月1日の『朝鮮日報』の一面にも同様の記事がありました。
コンテンツ、フード、ビューティーという三つの分野を「Kカルチャー」でくくる場合、その輸出額は379億ドル(25年、約6兆円)に達するというものです。
これは半導体・自動車・石油化学に次いで、韓国で4番目に多い輸出品目となるそうです。
11日に米国で行われたゴールデングローブ賞受賞式で、Kカルチャーを背景にした『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』が作品賞と主題歌賞を受賞しました。
ドラマや映画の退潮を伝える記事も散見されますが、この勢いはどこまで続くでしょうか。
3.「北朝鮮へのドローン」は大学同好会の仕業か
連日お伝えしているこのニュースですが、争点の一つに「誰が北朝鮮に向けドローンを飛ばしたのか」があります。
韓国政府は「民間によるもの」と断定している中、有力な情報が韓国メディアに出始めています。
これによると、今回のドローンは中国製の「スカイウォーカータイタン2016」というモデルというのです。
さらに、昨年11月にソウル南東部の京畿道(キョンギド)驪州(ヨジュ)市で、今回、北朝鮮側が「開城(ケソン)市で撃墜した」としたものと外観がまったく同じ機体が見つかっていたというのです。
これを飛ばしたのは、韓国の某大学にあるドローン同好会であるとのこと。軍関係者からの証言でした。
こうしたニュースは韓国地上波MBCやSBSなどで報じましたが、最も詳しかったのはSBSでした。‘国防専門記者’のタイトルを持つキム・テフン記者による報道でした。さすがですね。
しかしここまで明らかになっていると、「誰が飛ばしたか」について真相が究明されるのは時間の問題でしょう。
一方で、再発防止策を韓国独自に立て、それを北朝鮮側と共有し(共同調査も提案すると韓国政府は明かしています)、そのための対話の場を作る…といった方向に進むことが大切となります。
これからも注目です。
4. AI全盛時代、大学では「哲学科」が人気
韓国で十指に入る名門大学である漢陽(ハニャン)大学で、哲学の人気が急上昇しているといいます。
同大学の哲学科教授で、2002年から哲学や人工知能学を教えているイ・サンウク教授によると、主専攻ではなく「第二専攻」として哲学の学士号を取得していくというのです。
イ教授によると、以前は哲学科には「哲学が好きで来た学生」と「点数の関係で入ってきた学生」に分かれていたそうです。
ですが最近では後者の割合がグッと減り、「哲学を本当に好きな学生と、哲学をベースに別の進路を設計する『戦略型』の学生たち」が入ってくるとのこと。
哲学科を第二専攻として卒業する学生たちは工業・自然科学・音学・体育などの大学院に進学することも多く、また、相性の良いコンピューター工学と合わせ、有名IT企業への就職も多いそうです。
AI時代に哲学が持つ意味については、「普遍的な質問を扱い多様な主題を統合的に思考する訓練を行う」哲学を学ぶことで「分野を横断する能力」が育つと言います。
保守系日刊紙『朝鮮日報』系の『週刊朝鮮』が昨年大晦日に出した記事ですが、これ以外にも興味深い内容が多くありました。
今後、AIが発達する際に「AIと人間を分ける地点」を探索することが哲学が投げかけるべき質問であり、AIを「答をくれる存在」ではなく、質問を繰り返し質問者の思考を拡大する「助手」として使うべきというものでした。
5. 差別禁止法を発議 今代国会ではじめて
12日、今代の国会ではじめて差別禁止法が発議されました。
「今代」というのはややこしい表現ですが、韓国では大統領による議会解散権は1987年民主化後の憲法改正で無くなったので、4年の任期を全うするのが基本です。
つまり、4年ごとに総選挙が行われ、300人の議員(一院制です)すべてが入れ替えになるシステムです。このため、それぞれの4年任期を1948年以降何度目の総選挙であるかを数えた「~代」と呼びます。
現在の国会議員は24年4月の22代総選挙で当選した者達ですので、現国会は「22代国会」と呼ばれます。28年5月29日までが任期です。
余談が長すぎました。今回の差別禁止法は左派政党の進歩党が中心となって発議されました。
韓国では法案発議には国会議員10人の書名が必要でして、進歩党4人のほか、残る6人を基本所得党1人、祖国革新党3人、共に民主党1人、無所属1人の議員が埋めています。
この日会見した進歩党のソン・ソル議員によると、法案の内容は「性別と障害だけでなく、婚姻しているか否か、労働組合に加入しているか否か、性的志向や性的アイデンティティなどを理由に合理的な根拠のない差別が起きないようにする内容の『包括的差別禁止法案』である」とのことです。
歴代の国会で差別禁止法は何度も発議されてきましたが、その都度、時間切れで廃案となることを繰り返してきました。その数は、2007年以降13度に及びます。
背景には「同性愛を認める(煽る)」などと趣旨を曲解し批判する韓国のキリスト教勢力の存在があります。
有権者の約2割を占めるこの勢力からの支持を失うことを恐れる二大政党(共に民主党と国民の力)が消極的な姿勢で一貫してきたということです。
そうとはいえ、ここ数年の世論調査では差別禁止法の制定に賛成する世論の方が常に優勢です。
例えばリベラル系日刊紙の『ハンギョレ』と韓国政党学会が昨年9月に合同で行ったものでは、賛成が64.1%でした。
また、やはりリベラル系日刊紙『京郷新聞』が25年3月に報じたところによると、共に民主党が同法に賛成する場合、既存の支持者の流出(不支持への転換)よりも、新規支持者の流入が多くなるという世論調査結果があるといいます。
週刊誌『ハンギョレ21』によると、先進国クラブであるOECD(経済協力開発機構)会員国のうち、差別禁止法を制定していない国は、韓国と日本だけだといいます。
その日本も2016年にヘイトスピーチ解消法を施行しています。しかし韓国はこれすらもない荒野です。今国会でも成立しない場合、共に民主党を「進歩派政党」と呼ぶことを止めるべきでしょう。
6. 今日の時事韓国語「차별」
チャビョル、と読みます。差別禁止法はチャビョル(差別)クムジポプ(禁止法)となります。チャビョルを無くせ!
今日は以上です。
「どんなに遅くとも午前中に送る」ことをマストとしているので(ペースを掴んだら午前8時までに送るとします)、画像は無しです。
このニュースレターを書いている今も、イヤホンからは尹錫悦はじめ8人の「内乱罪」結審公判を生中継する声が聞こえてきます。
朝9時半から始まっていますが、さっそく荒れ模様です。
長い一日となりそうです。
それでは19時からのTBSラジオでお会いしましょう。アンニョンヒケセヨ。(徐台教)
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