金正恩氏の能登半島地震「見舞い電」に、韓国では‘警戒’

能登半島地震により甚大な被害を受けた日本に突如届いた、金正恩氏からの見舞い電。北朝鮮の狙いはどこにあるのか、韓国の専門家の意見を紹介する。
徐台教(ソ・テギョ) 2024.01.09
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◎金正恩氏から岸田首相宛に「初の」見舞い電

 能登半島地震の発生から4日後の今月5日、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の金正恩国務院長が岸田文雄首相に以下のような見舞い電を送った。

日本国総理大臣 岸田文雄閣下
日本で不幸にも新年の年初から地震による多くの人命被害と物質的損失を被ったという報に接して、総理大臣と総理大臣を通じて遺族と被害者に深甚なる同情と見舞いを表します。

被災地の人民が一日も早く震災の被害を無くし、安定した生活を回復することを祈願します。

 2011年年末に父・金正日(キム・ジョンイル)総書記から権力を継承して以降、金正恩氏が災害に関して日本政府に見舞い電を送ったのは初めてのことだ。 韓国の通信社『聯合ニュース』によると、北朝鮮は過去、イランやシリア、キューバなど「反米戦線」の国家で起きた災害に対してのみ慰労電を送ってきた。

 一方で過去、1995年の阪神淡路大震災の際に姜成山(カンソンサン)首相から村山首相宛てに、さらに2011年の東日本大震災の際には金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長名義で朝鮮総連にそれぞれ、見舞い電が送られている。

 林芳正官房長官は6日、金正恩氏の見舞い電に「感謝の意」を表明し、返信は見舞い電を送った各国と同様に現時点で行っていないと明かした。また、今後の対応については回答を避けた。

両首脳の胸中やいかに...。筆者作成。

両首脳の胸中やいかに...。筆者作成。

◎国策シンクタンクがレポートを発表

 一見、友好的な北朝鮮のこんな「突飛な」行動をどう捉えるべきか。韓国ではなんと、警戒の声が上がっている。

 国策シンクタンク『統一研究院』は8日、『金正恩の日本の地震への慰労書簡の背景と含意』というレポートを発刊し、今回の出来事の背景を分析した。

 これによると、先月26日から30日までかけて行われていた朝鮮労働党中央委員会第8次第9回全員会議拡大会議(日本では中央委員会総会とも)の「結論」部分で北朝鮮は、「日米韓三角共助体制」を非難しながら日本を「米国の対北敵対視政策の子分、忠犬」と蔑んでいた。

 それにもかかわらず、金正恩名義という首脳間での「比重の高い」見舞い電を送った目的について、レポートでは「通日封南」と「対話の意向」という二つの目的があると見立てている。

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