【デイリー・コリア・フォーカス】26年5月21日号

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徐台教 2026.05.21
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。

5月21日、木曜日です。昨晩競技場で冷たい雨に打たれたせいか、今日は体調がすぐれず大変な一日でした。恒例の「デイリー・コリア・フォーカス」をお送りいたします。

先日、TBSラジオに出た際、「韓国は大きなニュースが多く、日韓首脳会談の扱いは小さい」という話をしました。今朝、その内の二つに大きな動きがありました。

という訳で今日の目次です。短めにいきます。

1. 統一地方選の公式選挙戦はじまる
2. サムスン電子の労使が妥結、ストライキ回避も残る課題
3. 今日の時事韓国語「박탈감」

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1. 「6.3」統一地方選の公式選挙戦はじまる

韓国では6月3日、統一地方選が行われます。今日21日から公式選挙戦がスタートしました。

今回の選挙は、16の広域自治団体(特別市、広域市、道)227の基礎自治団体(区、市、郡)の首長と地方議員、さらに教育監を選ぶものです。

人数でみると、広域自治団体長16人、基礎自治団体長227人、広域議員804人(比例を含めると933人)、基礎議員2650人(同3035人)、教育監16人、合計4227人を選出します。

韓国メディア「YTN」によると、16の広域団体長の競争率は3.4倍、基礎団体長は2.6倍、広域議員は2.1倍とのことです。

例えば金浦(キンポ)市に住む私の場合には、①京畿道(キョンギド)知事、②金浦市長、③京畿道議員、④金浦市議員、⑤広域議員(京畿道)比例代表、⑥基礎議員(金浦市)比例代表、⑦京畿道教育監と、7枚の投票用紙にそれぞれハンコを押すことになります。多いですね。

投票日を知らせる中央選管のバナー。韓国の投票は名前を書くのではなく、候補者の隣にハンコを押す方式です。6月3日は公休日となります。

投票日を知らせる中央選管のバナー。韓国の投票は名前を書くのではなく、候補者の隣にハンコを押す方式です。6月3日は公休日となります。

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日付けが変わった21日0時から、何人かの候補は選挙運動を始めました。ソウル市長選では与党・共に民主党の鄭愿伍(チョン・ウォノ)候補が郵便局で、現職で最大野党・国民の力の呉世勲(オ・セフン)候補は市場で仕事を(するパフォーマンスを)しました。

先日お伝えしたように、前回の選挙では17の広域自治体のうち、国民の力が12の地域で勝利しました。光州広域市と全羅南道が統合することで今回は16となっていますが、選挙そのものにおいて優勢が伝えられる共に民主党が、どこまで巻き返すのかが注目されます。

他方、保守の牙城・大邱(テグ)広域市では、国務総理まで務めた共に民主党の金富謙(キム・ブギョム)候補と国民の力の秋慶鎬(チュ・ギョンホ)候補の間で大接戦が繰り広げられています。ソウル、釜山(プサン)、慶尚南道(キョンサンナムド)、江原道(カンウォンド)などの首長選挙も、目が離せません。

公式選挙戦が始まったことで、候補者たちは公開の場で演説や対談、名刺の配布、懸垂幕の掲示といった、選挙活動を行えるようになります。スピーカーは午後9時まで使うことができます。

16の広域自治体首長選挙の一覧。拡大してご覧ください。近々更新します。

16の広域自治体首長選挙の一覧。拡大してご覧ください。近々更新します。

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また、今回の選挙にはもう一つの見どころがあります。全国14の選挙区で行われる国会議員補欠選挙です。韓国メディアがこぞって「ミニ総選挙」と呼ぶもので、大物政治家が多数出馬しています。

共に民主党の宋永吉(ソン・ヨンギル、63)氏、祖国革新党の曺国(チョ・グク、61)氏、元国民の力代表で現在は無所属の韓東勲(ハン・ドンフン、53)氏などですが、次期大統領選をもにらんだ選挙戦となります。

こちらはまだ一覧を作れていないのですが、早い内に作ります。今後は、現場の様子もお伝えしていきます。

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2. サムスン電子の労使が妥結、ストライキ回避も残る課題

連日トップニュースとして報じられていたサムスン電子の労使交渉ですが、21日0時からのストライキ開始までわずか90分を残した20日22時30分に、劇的に妥結しました。

4月24日のニュースレターでお伝えしたように、同社の労組は、会社に新たな成果給(ボーナス)の基準を求めていました。ですが、営業利益の15%という要求に難色を示す社側との間で交渉は難航しました。

ストライキの日程が迫る中、政府が積極的に仲介に乗り出しました。金民錫 (キム・ミンソク)国務総理はストライキを強制的に中止させる「緊急調整権」の行使可能性を明かし、韓国最大の労組連合体『民主労総(全国民主労働組合総連盟)』の委員長を務めたこともある金栄訓(キム・ヨンフン)雇用労働部長官も粘り強い説得を続けました。

21日付け「京郷新聞」一面も、サムスン電子の労使交渉でした。妥結前に締め切りが来たので、「最後の談判」とあります。筆者撮影。

21日付け「京郷新聞」一面も、サムスン電子の労使交渉でした。妥結前に締め切りが来たので、「最後の談判」とあります。筆者撮影。

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また、李在明大統領もXや会議での発言を通じ、労組側の過度の要求を諌めるメッセージを出し続けてました。

今回、サムスン電子のストライキが実施されていた場合、半導体工場という特性から、損害額は最大で100兆ウォン(約10兆5千億円)にのぼると見られていました。下請け企業にも大きな損害が出るため、なんとしても妥結が必要でした。

特に青瓦台(大統領府)は労組側の主張にある、「営業利益」から成果給を得る部分を強く警戒していたようです。

地上波「MBC」は17日のメインニュースの中で、「営業利益の比率にしたがう成果給の支給が制度化される場合、誰が韓国に投資をするというのか。政府最大の危機として見ている」という青瓦台関係者の声を伝えていました。

李大統領も、20日に行われた国務会議(閣議)の中で「国民共同の取り分と言える税金を取る前の営業利益の中から、一艇の比率を制度的に分けて貰う?」と重ねて疑問を表明しました。

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ストライキは回避されましたが、妥結内容には「労使による合意により選定された事業成果の10.5%」が特別成果給の財源になることが決められました。半導体部門の職員は今年は最大で6億ウォン(約6500万円)のボーナスを得ることになります。

「連合ニュース」によると、このような営業利益と連動した成果給の要求は、大きな利益を出している他分野の大企業などに広がっているとのことです。

同紙は、このような動きが、大企業に人材が集中する環境を作り、産業全体の競争力を弱める結果をもたらすと警鐘を鳴らしています。

21日の「MBC」でも長い時間を割いて、今回の妥結が社会に与える影響を報じています。

特に、サムスン電子がその間、政府の多大な支援と優遇を受けてきた点を取り上げ、その成果を職員たちだけが分け合うことに対し、疑問を呈しました。「(下請けなど)協力業者の努力に対する考慮がはじめから抜けていた」とも指摘しました。

また、同社の労組が「連帯や共同体意識を掲げた既存の労組とはあまりに異なり当惑した」とも伝えました。なお、サムスン電子の労組は、民主労総や韓国労総(韓国労働組合総連盟)に所属しない、独立労組です。

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サムスン電子の26年の営業利益は300兆ウォン(約32兆円)にのぼると予想されています。

一連の騒動は、AI時代に一部の関連企業が莫大な利益を上げる際、それをどう社会的に還元するのかいう大きな視点を投げかけています。この点で、5月14日のニュースレターでお伝えした「AI超過税収」に関する議論ともつながりあっています。

それでも、韓国メディアがこのような「分配」を問う意識を持って報じているのは、とても素晴らしいと思います。大事なポイントなので、今後も追ってみます。

この時の話は非常に重要です。クリックでリンクします。

この時の話は非常に重要です。クリックでリンクします。

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3. 今日の時事韓国語「박탈감」

「パッタルガム」と読みます。日本語では「剥奪感」です。

他の人が得たものを、自分は得ることができない時に覚える感情です。サムスン電子のニュースを前に、多くの人が感じたことでしょう。私もしっかり感じました(笑)。

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今日はここまでです。

李大統領がイスラエルに対し、骨太な発言をしました。これは明日お伝えします。仕事が立て込み配信が遅くなることが続いていますが、立て直します。

それではまた。アンニョンヒケセヨ。カムサハムニダ。(徐台教)

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