【デイリー・コリア・フォーカス】26年5月19日号

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徐台教 2026.05.20
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。

5月19日、火曜日です。本来ならば安東にいなければならないのですが、昨日お伝えしたような事情から今日も、自宅から「デイリー・コリア・フォーカス」をお送りいたします。

昨日に続き配信が遅くなりました。

今日午後の日韓首脳会談を受け、19時から約1時間、TBSラジオ「荻上チキ・Session」に出演することになり、日中はその準備に追われていました。

ラジオを無事に(?)終えた後は、子どものお迎えにご飯、ごみ捨てに犬の散歩まで終えて、こうして今、机に座ったのが22時45分です。

火曜日、22時30分過ぎといえば、そうです。24年12月3日の非常戒厳の晩と全く同じシチュエーションです。当時もこんなボロボロの状態から取材を始めたのでした。

今日の目次は以下の通りです。

三つ用意していたのですが、一つ減らし、明日に回します。

1. 韓国スターバックス、民主化運動を卑下し謝罪
2. 今日の時事韓国語「스벅불매」

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1. 韓国スターバックス、民主化運動を卑下し謝罪

昨日からSNSではずいぶんと騒がれていたため、ご存知の方が多いかもしれないお話です。それでも自分の手で整理しておきたいので、お付き合いください。

韓国はカフェが多いことで知られています。

少し古いのですが、2024年3月の聯合ニュースの記事にある2022年の統計では、10万件以上があるそうです。ランチ後に「アイス・アメリカーノ」を片手に歩く姿を、テレビドラマなどで見かけた方も多いはずです。

中でもスターバックスは2025年末の段階で、全国に2114件もあります。韓国メディア「ニューシス」によると、米国(1万6911件)、中国(8011件)に次いで、世界で3番目に多いそうです。

なお、日本は2015件で4位です。ちなみに韓国の人口は日本の約4割です。首都圏では実際に、「街を歩けばスターバックス」といった感じです。

そのスターバックスが5月18日、大きな批判を受ける出来事がありました。下記の画像のためです。

スターバックスHPをキャプチャしたもの。

スターバックスHPをキャプチャしたもの。

この日の午前10時から始まったタンブラーのプロモーションにおける、二つの宣伝文句が問題になりました。

まず上段中央の「탱크데이 5/18」です。

タンクデイ、つまり「戦車の日」です。これは日付けと相まって、昨日のニュースレターでお伝えした1980年5月18日の「光州民主化運動」を想起させます。当時、戒厳軍は光州市内に戦車を配置していました。

もう一つは左上の「책상에 탁!」です。

直訳すると、机にドン!なのですが、これは1987年1月に警察の拷問により死亡したソウル大学生、朴鐘哲(パク・ジョンチョル)さんを想起させます。警察は当時、「机をドンと叩いたらオッと言って死んだ」と、その死を何事もなかったのように扱いました。

その真相を暴いた記事により、この出来事は広く知られ、民主化を求める市民の運動を大きく同後押しし、同年6月の韓国民主化を引き寄せました。

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スターバックスの広告はつまり、韓国民主化運動の二つの核心的な出来事を戯画化し、広告に利用した訳です。その裏に人々は「悪意」や「茶化し」を感じ取り、一気に同社への批判が広がったのです。

その背景は、同社の株主であり運営主体である鄭溶鎮(チョン・ヨンジン、57)新世界グループ会長の「過去」にありました。

20年10月に死去したサムスングループ総帥の李健熙(イ・ゴニ)会長の甥にあたる同氏は2021年11月頃から、SNSに「反共」に関する投稿を続けざまに行いました。

さらにこれを、やはり反共を掲げた大統領候補(当時)の尹錫悦氏が真似たことで大いに話題となりました。当時、同社の株価は下落しました。詳しい顛末は私が以前書いた、下記の記事をご参照ください。

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つまり、今回のスターバックスの一件は、スターバックスコリア(SCKカンパニー)と親会社の新世界グループまでをも含む、組織ぐるみのものではないかと疑いを持たれたのです。

18日、批判が集中するや、同社は広告の文句を一部変えましたが、それでも批判は収まりませんでした。キャンペーン自体を中止し、鄭溶鎮会長は、スターバックスコリアの社長を解任しました。新世界グループは鄭会長が「激怒した」と発表しています。

この騒動に、李在明大統領も声を上げました。18日晩、自身のXに同社を批判する内容を書きこんだのです。

企業名は出しませんでしたが、「低質な商売人の非人間的な暴挙に怒りを覚える。相応する道徳的、法的、政治的な責任を負わせるべき。5·18の遺家族と被害者に謝罪はしましたか?」と強く追及しました。李在明大統領のXより引用。

企業名は出しませんでしたが、「低質な商売人の非人間的な暴挙に怒りを覚える。相応する道徳的、法的、政治的な責任を負わせるべき。5·18の遺家族と被害者に謝罪はしましたか?」と強く追及しました。李在明大統領のXより引用。

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そして今朝、鄭溶鎮会長は国民向け謝罪文を発表しました。

その内容は今回のキャンペーンにより、「5·18民主化運動の英霊と遺家族、そして国民の皆さんに深い傷を与えました。グループを代表し、深々と謝罪します」というものでした。

また、なぜこういうことが起きたのかについて調査を行い、マーケティングのためのコンテンツの検査基準を作り、全職員を対象に歴史意識と倫理基準についての教育を行うと、改善策を明かしました。

鄭溶鎮会長による謝罪文。新世界グループHPをキャプチャ。

鄭溶鎮会長による謝罪文。新世界グループHPをキャプチャ。

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 今回の出来事は、今なお進行形です。日本の「2ちゃんねる」のような「イルベ」というサイトにはまった者がやったのだろう、会長が知らなかったはずはない、というような様々な憶測がありますが、やがて真相が明らかになるでしょう。

 一方で、韓国で今なお、いかに歴史認識をめぐる争い(正確には誹謗中傷)があるのかを浮き彫りにさせる事件でもありました。

 「北韓のスパイの仕業だ」などと、光州民主化運動を卑下する主張は絶えません。なお、この主張は政府(保守政権含む)の調査により完全に否定されています。

 私も普段、イスラエル支援企業ということでスターバックスを避けていますが、それでも便利な場所にあるため、時たま会合などに使うこともありました。しかし今回の一件を機に、行くのを完全に止めようと決めました。驚きの出来事でした。

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2. 今日の時事韓国語「스벅불매」

「スボップルメ」と読みます。

「스벅スボッ」は「스타벅스スターバックス」の略語で、「불매プルメ」は漢字では「不買」です。つまり、スターバックス不買運動を指します。SNSで、タンブラーなどの所有製品を壊すといった写真が、盛んにシェアされています。

共に民主党の卜箕旺(ポク・キワン)議員が作り公開した、スターバックス不買を呼びかけるバナー。

共に民主党の卜箕旺(ポク・キワン)議員が作り公開した、スターバックス不買を呼びかけるバナー。

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 今日はここまでです。あれこれやっている内に日付けが変わってしまいましたが、ギリギリ19日分ということにしてください。

 日韓首脳会談については、明日改めて書きます。今日のラジオをお聞きになりたい方は、下記YouTubeリンクよりどうぞ。2時間10分過ぎから私が登場します。

それではまた明日。

アンニョンヒケセヨ。(徐台教)

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