【デイリー・コリア・フォーカス】26年1月15日号
皆さま、アンニョンハセヨ。韓国の徐台教です。
日韓首脳がドラムを叩く映像を見た人が韓国でも多いようで、私の耳にも感想が届いています。「日本の首相は良さそうな人だね。ファンキーでいいね」という印象だそう。驚きながらも、その効果(?)を実感しました。
3月から高2になる息子は「ドラムで飯を食う」ことを目指すドラマー練習生です。
映像を見せ「二人の実力はどう?」と聞いたら「アッパ(父さん)は何を言わせたいの」と、クールな返事が返ってきました。
権力の馴れ合いを批判したい魂胆を見透かされたようです。
さて、今日の目次は以下の通りです。
ニュースレターの宿命か、開封率が徐々に落ちてきています。
テーマの数を減らせばよいのか、それとも全体も文字数を減らせばよいのか、判断が難しいところです。
とりあえずニュースレターは「ダイジェスト版」と割り切り、重要な内容は別途記事にするという、使い分けをしていきたいと思います。
1. 南北関係を動かしたい韓国、「9.19軍事合意」の復活も検討
2. 韓国政界を揺るがす二つの「除名」
3. 「評価は美辞麗句ではなく行動で」高市政権への注文
4. 今日の時事韓国語「조한관계」
1. 南北関係を動かしたい韓国、「9.19軍事合意」の復活も検討
今日は南北関係から。尹錫悦政権下の24年6月4日に全面効力停止となった『9.19南北軍事合意書』。
文在寅政権下の18年9月に韓国と朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の間で合意されたもので、南北間の軍事的緊張を下げるために、訓練や飛行禁止区域を設けた画期的なものでした。
効力停止の背景には、24年5月からの北朝鮮から飛来した「ゴミ風船」騒動がありました。
韓国から飛来するビラに対抗したものでした。この時の尹錫悦政権の興奮ぶりは今も記憶に新しいです。
今となっては納得ですが、韓国の民間人の他に、実は当時、尹政権側がビラを飛ばしていた疑惑があるからです。とんだマッチポンプです。
この軍事合意を李在明大統領が復活させようとしているそうです。14日、李氏に随行し訪日していた魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長が明かしました。
どのように復活させるかは検討中としましたが、保守紙『東亜日報』によると、今月8日、国家安全保障会議(NSC)の常任委で議論されたそうです。李在明政権になって初めてとのこと。
一気に全面的に復活させるのではなく、南北軍事境界線(MDL)から5キロ以内での訓練と、韓国西北端の島嶼部における射撃訓練を停止する可能性があるそうです。
飛行禁止区域の復活については、今なお続く「ドローン騒動」の行方を見ながら決めるのではという内容もありました。
※なお、南北軍事合意書は以前コリア・フォーカスで全訳してあります。詳細な図もあるので、ご興味ある方はぜひ。
この件については、金正恩氏の妹・金与正(キムヨジョン)氏が13日に二度目の談話を出しました。韓国に対し謝罪と再発防止策を求め、南北関係改善については「実現不可能」と突き放しました。
そんな中、「ドローン誰が北朝鮮に向け飛ばしたのか」については、今も捜査が続いています。民間人によるものという基調は変わりません。
いずれにせよ、李在明政権は経済成長と南北関係改善の二兎を追っているのは明らかです。これに成功する場合、民主党政権が次も続くのは間違いないからです。
その推進力がどこまで北朝鮮に通じるでしょうか。
2. 韓国政界を揺るがす二つの「除名」
久しぶりに韓国政治の話です。与党・共に民主党と、最大野党・国民の力で同時に有力政治家の除名騒動が持ちあがっています。
共に民主党の「倫理審判院」は12日、院内代表(国対委員長)の要職にあった金炳基(キム・ビョンギ、64)氏を除名すると決めました。
同氏には地元選挙区の区議員から公認の対価として金を受け取った疑惑や、息子の大学編入のために権力を行使した疑惑などがあり、警察の捜査が始まっています。同氏は昨年12月30日、院内代表を辞任しました。
金炳基氏の疑惑はこれ以外にも多く、他の現職議員も関わるなど党を揺るがせています。
しかし「政治生命は終わった」という声も出る中、同氏は再審を求め粘っています。この姿に「党を激震させるとんでもない暴露ネタを持っているのでは」と、渦中の人物となっています。
共に民主党は今やクリーンなイメージとは程遠いですが、金炳基氏の一件はさらなる政治への嫌悪を生むことになるでしょう。
除名決定を受け、14日に会見した韓東勲氏(左手前の黒めがねの人物)。15日の京郷新聞一面です。筆者撮影。
一方の国民の力では14日、党の中央倫理委員会が韓東勲(ハンドンフン、52)元代表の除名を決めました。
韓氏が同党の代表を務めていた24年、同氏の家族が党HPの掲示板に尹錫悦大統領(当時)や党内の人士に対する批判を書き込んでいたことが問題視されました。
そんなことで!?と思うかもしれませんが、本人は無論のこと、党内からもこの決定に批判の声が上がっています。
韓東勲派といえる23人の議員をはじめ、現職の呉世勲(オ・セフン)ソウル市長も「(党が)自滅する道だ」と明かしました。
この勢いに押されたのか、15日になって同党の張東赫(チャン・ドンヒョク)代表は最終決定までに10日ほどの猶予を持つことを決めました。
韓東勲氏といえば、尹錫悦氏の検察時代の忠実な部下として入閣し、与党の代表になるなど、尹錫悦政権の「顔」の一人。
その後、支持率が低迷する政権に苦言を呈したことで、尹錫悦の敵に認定されました。
そして24年12月3日の非常戒厳の夜、与党代表として真っ先に「非常戒厳は誤り」と宣言したことから、党の支持者からは今も「裏切り者」のレッテルを貼られています。
しかし、非常戒厳時の正しい行動もあり、大衆的な人気は低くありません。6月に統一地方選を控えた国民の力としては欠かせない人物です。
除名の背景には張東赫代表の権力欲があるのでしょう。同党の混迷ぶりを示す一幕です。同党は尹錫悦氏への死刑求刑にコメントも出していません。
3. 「評価は美辞麗句ではなく行動で」高市首相への注文
ともかく騒がしかった日韓首脳会談ですが、「大切なのはこれから」という視点が韓国内に存在します。
14日、韓国の地上波『MBC』は晩のニュースで、日本に対し「総理の90度の挨拶とサプライズのドラム・デュエットショー…至れり尽くせりの歓待、その後は」というタイトルで報じました。
高市首相の歓待の様子の他に、「李在明はいつ反日になるのか分からない」としてきた日本メディアが李在明氏を評価し、韓国との関係を大切にせよという言説を載せていることを伝えました。
その背景には、中国からの圧迫に加え、同盟よりも中国の手を挙げた米国の存在があるとしました。
しかし、「しっかりした韓日関係はこれから」とし、日本側がいかにこの路線を実質的に続けていくのかが重要であるとしました。
さらに具体的な尺度として、「竹島の日」の行事、教科書検定、外交青書といった懸案を挙げています。
特に来月22日の「竹島の日」については、高市首相がどのクラスの政府関係者を派遣するのかが大事だと、東京大学の佐橋亮教授のコメントを通じ指摘しました。
次官級の派遣が慣例ですが、これよりも「下げる」ことが望まれているということです。
また、長生炭鉱についても『長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会』の井上洋子代表のコメントを通じ、DNA鑑定の先にある「全遺骨の回収」という大きな課題において、政府の協力が欠かせない点を示しました。
いずれも共感する内容でした。報道はこうでなければなりませんね。
4. 今日の時事韓国語「조한관계」
チョハンクァンゲ、と読みます。漢字では「朝韓関係」。
北朝鮮が23年12月以降、頻繁に使う言葉です。
従来は「北南関係(プクナムクァンゲ)」としてきましたが、金正恩氏が「敵対的二国家関係」を掲げて以降は、朝鮮と韓国の関係ということで「朝韓関係」になりました。
一方、韓国にも南北関係を「韓朝関係にすべき」と提唱する学者たちがいます。
今日は以上です。
日本は衆議院解散で、2月に選挙があるとか。朝日新聞が有力な日程とする2月8日は、名古屋での講演会が予定されています。
参加者が減ってしまうのではないかと心配になる一方、投票日に日本にいるのはここ10年以上なかったので、楽しみでもあります。
大義なき解散を前に「楽しみ」だなんて…と怒らないでくださいネ。
それではまた明日。アンニョンヒケセヨ。(徐台教)
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