【デイリー・コリア・フォーカス】26年9月21日号:アジア大会で相次ぐ運営側失態、李大統領の会見詳報、時事韓国語「의존」

皆さま、アンニョンハセヨ。9月21日、月曜日です。日本は水曜日まで大型連休と聞きました。韓国は木曜から日曜日まで、秋夕(チュソク、旧盆)の連休です。
先週金曜日は、ニュースレターをお送りできず失礼しました。記者会見といくつかの約束が重なる中、午後からは、日本から韓国に研究旅行に来た中央大学の学生さん約20人に、朝鮮半島問題についてお話しする機会がありました。
朝鮮半島問題とは何か?
そもそも「朝鮮半島問題」とはなんでしょうか。南北分断と対立、未だ終わらぬ朝鮮戦争、冷戦構造、核問題いった、朝鮮半島を取り巻く複雑な諸問題を指すものです。これらが解決する未来を箇条書きにするとこうなるでしょう。
・朝鮮戦争の停戦協定から平和協定への転換
・米朝、日朝国交正常化
・朝鮮(朝鮮半島)の非核化
・朝鮮(北朝鮮)への経済制裁解除
・南北の往来自由化
問題は複雑に絡まりあっており、上記の5つのゴールは、それぞれを少しずつ同時に進めていくイメージとなります。最終的に5つが同時に達成されるイメージです。
言うまでもなく、この過程には政治・外交的に知恵と忍耐が必要です。
しかし、朝鮮の非核化が非現実的となった今、30年来維持されてきたこの枠組みが崩れ去りました。今は新たに朝鮮半島の未来のビジョンを組み立てる時期です。
終わった後に、皆で食事会に行き、学生さんたちと様々な話を交わす中でニュースレターを書く時間が取れなかった次第です。
実はまだ、ニュースレターの位置付けに悩んでいます。
「毎日届いて楽しい」という声と、「こんなにたくさん毎日は読めない。週2回くらいで十分ではないか」という声を、同じくらい多くいただいています。
私の基本的なスタンスとして、「今起きていることを正確に知る」上に、「新たな発見を付け足す」というものがあるのですが、ニュースレターは前者に相当します。
つまり、「薄く広い理解」がその次の「深い理解」には欠かせないというものです。この前提の下、10月からは、ニュースレターの発行方法を変更します。
月曜日は朝鮮半島情勢、火曜日は韓国政治社会といったように、曜日毎にテーマを決め、その内容についての「一週間のまとめ」という形でお届けします。字数は短めで、各号1500〜2000字程度です。
メインのコンテンツは、どこまでも「コリア・フォーカス」独自の報道です。
これについては、私(徐台教)が積極的に取材に行きます。特に映像取材(インタビュー)に力を入れ、そのコンテンツを蓄積していきます。朝鮮半島問題をより臨場感をもって捉えられるよう、現場を伝えます。
ということで、今日の内容です。
(1)「日本は大丈夫か?」アジア大会で相次ぐミスに、驚く韓国社会
(2)李在明大統領の記者会見、韓国メディアの評価は「これから」
(3)今日の時事韓国語「의존」
1. 「日本は大丈夫か?」アジア大会で相次ぐミスに、驚く韓国社会
愛知・名古屋アジア大会が、韓国で話題を呼んでいます。
ただし、良い意味での話題ではありません。韓国メディアが相次いで報じているのは、大会運営をめぐる不手際です。
最も大きく報じられたのが、男子ホッケーの韓国対バングラデシュ戦で起きた、国歌の取り違えでした。
韓国メディアによると、18日、韓国の選手たちは国旗に向かって胸に手を当て、国歌の演奏を待っていました。
しかし、流れてきたのは韓国国歌ではなく、北朝鮮国歌でした。北朝鮮国歌はおよそ1分間流れ、会場は静まり返りました。結局、韓国国歌が流れたのは、両チームの選手が試合前の握手を始めてからでした。
試合は韓国が5対0で勝ちました。それでも、試合結果以上に注目を集めたのが、この国歌の取り違えでした。
韓国のスポーツ団体を統括し、国際大会に代表選手団を派遣する「大韓体育会」は大会組織委員会に抗議文を送り、経緯の説明と公式謝罪、再発防止策を要求しました。組織委員会はその日の夜、正式に謝罪しました。

国歌取り違えのニュースを伝える、地上波MBC。キャスターの表情が全てを物語っています。「愛国歌の代わりに北韓の国歌を演奏…アジア大会はどうしちゃったの?」とあります。同局をキャプチャ。
しかし、不手際はこれだけではありません。今回の大会では専用の選手村を造らず、選手たちはホテルやクルーズ船、コンテナ型の仮設宿舎に分かれて滞在しています。韓国メディアは「部屋が狭く、暑い」といった不満の声を伝えています。
空港からの輸送も混乱しました。韓国選手団の一部は5時間以上足止めされ、インド選手団は宿泊先が決まるまで14時間待たされました。一部の選手は空港の床で眠ったと伝えられています。
韓国メディアには、インドメディアの「『日本は完璧』という神話は、すでに崩れた」との評価を紹介する記事もありました。
食事にも批判が出ています。紙容器に少量のご飯と野菜、数個のおかずが盛られた写真がSNSで拡散。「選手食堂ではなく、街角の無料給食所のようだ」「たんぱく質が足りない」との声が上がり、外の店で食事を買う選手もいると報じられました。
韓国サッカー代表を乗せたバスが、競技会場ではなく野球場へ向かうミスも起きました。さらに、クルーズ船の歓迎行事に、朝鮮出兵を命じた豊臣秀吉を演じる人物が登場したことも、韓国では驚きをもって受け止められています。
そして、混乱は開幕後も続いています。
20日、日本との決勝を控えた男子バスケットボール韓国代表は、午前10時台に来るはずだった練習用の車両が、説明もないまま現れず、予定していたシュート練習を中止しました。
12年ぶりの金メダルがかかった、日本代表との大一番を前に起きたこのトラブルを、韓国のSBSは「理解しがたい出来事」と伝えています。なお結果は、韓国の勝利に終わりました。
ちなみに21日、空港に向かう帰りのバスも遅れたそうです。ネット上ではこんな話題で持ちきりです。
大会は始まったばかりです。韓国メディアの報道からは、日本国内のニュースだけでは見えにくい、大会のもう一つの姿が浮かび上がります。(朴眞煥)

男子バスケの決勝戦を伝える地上波SBSニュース。「呆れたノーショーにも、完璧な優勝、12年ぶりの金メダル」とあります。同局をキャプチャ。
・朴眞煥のきょうの一言
私は日本でメディアの仕事をしています。外国人だからこそ、ときに一歩引いた目で日本の報道を見ることがあります。
国内ニュースと海外ニュースでは、見方が違うのは当然です。それでも、ニュースとして扱うかどうかの基準まで変わっていいのか。今回の報道を見ながら、自分自身は同じ基準でニュースを選んできたのか、改めて省みました。
2. 李在明大統領の記者会見、評価は「これから」
先週金曜日の18日午前、李在明大統領による記者会見がありました。支持率下落が続く中、挽回を狙ってのものです。予定していた午前10時から30分遅れで始まる異例の事態となりました。原因はギリギリまでメッセージを整えていたとのことです。
当日、参加した日本メディアの先輩記者に雰囲気を聞いたところ、「笑顔がまったく無かった。これまでの会見よりも明らかに緊張していた」とのことです。実際に、会見
・冒頭発言は約20分 沈痛な面持ち
会見は李大統領の冒頭発言から始まりました。「尊敬し愛する国民の皆さん」から始まるもので、約20分のあいだ続きました。
「就任後から472日間、死力を尽くしてきたが、(今年6月の)地方選挙以降の突然の失望と心配に直面し、慌てたのが事実」という旨を述べていましたが、偽らざる心境でしょう。支持率がこんなにも下がるとは、誰も予想できない展開だったからです。

この日の会見のスローガンは「国民の思い、国民の生活をより気にかけていきます」でした。青瓦台提供。
そんな中、李大統領が選んだのは「国民」でした。
「多くの時間をかけて熟考し省察した結果は『国民はいつも正しい』というものでした。すべて私の不足のためです。あまりにも多い課題の前に、心が急いて、たくさんの方達の気持ちをしっかりと慮ることができませんでした」
この一文が雄弁に語るように、記者会見というよりも、謝罪会見と呼んだ方が正しい内容が並びました。「失敗はすべて自分のせい」という立場を貫きながら、合間合間で韓国の「社会大改革」への意欲を明かしていきました。
「改革の方式と速度、そして統合の幅をどのように調査させるのか絶え間なく悩んできた」といった形です。
さらに、進歩陣営内部で内紛が起きている点に言及しながら、その責任も自分にあるとし「より多く耳を傾け、疎通し、手を差し伸べる」と刷新を誓っていました。
冒頭発言には、事前に注目された内容も含まれました。ずばり、連任についてです。
改憲により5年一期の大統領の任期を4年二期に変更する際、現職の大統領には適用されないと憲法に定めていますが、李大統領は自身にも適用させようとしているという疑惑を、野党はじめメディアが提起していました。
これについてこの日、「連任する考えはまったく無い」と述べたのでした。
一方で、「5·18光州民主化運動(1980年)」と「釜馬民主化抗争(1979年)」の精神を継承する内容を前文に入れることなど、改憲への意志もまた明確にしました。
・質疑応答通じ「公訴取消」も否定
冒頭発言の後には、質疑応答が約80分のあいだ続きました。
事前に質問を受け付けることはせず、ぶっつけ本番で17人の記者が質問しました。いくつか取り上げてみます。
まず、最も重要な「公訴取消」についての意見を問うものがありました。李大統領はこれをきっぱりと否定しました。そればかりか、与党が発議している特別検察法について、特別検察官に公訴取消権を与える部分を削除するよう求めました。
こうして、「連任」と「公訴取消」を否定するという、会見前から注目された二つの課題を李大統領は無事に(?)クリアしました。

会見の様子。私も次からは入れるようにします。青瓦台提供。
・「派兵はない」と言明、韓国パッシングも否定
他にも重要な質問が飛び交いました。
喫緊の懸案材料であるホルムズ海峡への派兵については、派兵という言葉の中に非戦闘兵の派遣から、文字通りの参戦まで多くの含意があると指摘した上で、「戦争に関与または介入する派兵はない」と明言しました。
また、米国のトランプ大統領と朝鮮の金正恩委員長の首脳会談の可能性と、実現に向けた韓国政府の努力について聞く質問に対しては「韓半島の平和と安全はいつになく重要だ」としながら、韓国は「北」と疎通・対話するために努力を続けていると明かしました。
その上で、「米朝(原文では北・米)の対話再開は、南北対話の再開よりも遥かに簡単で、それこそが南北対話を可能にする」との見解を述べました。米朝対話が実現するかは判断がつきかねる様子でした。
また「韓国のパッシング」、つまり米朝関係が進み韓国が朝鮮半島問題から置き去りにされることへの懸念については、「米朝関係の進展のためには韓国政府がすべき役割がある」とし、「パッシングの憂慮はしなくともよい」と自信を見せました。
・韓国メディアの評価は
会見では他にも、不動産問題や人事といった課題についての質問も飛びました。いずれに対しても、無難にこなしていました。
ただ私が一点、強く印象に残ったのは、韓国市民に多大な損失を与えた投資商品に対し、「どんな過程で決定されたのか、細部の手続きについては私もまだ把握できていない」と述べた点です。この商品が話題になって時間が経っているにもかかわらず、この回答にはびっくりでした。
韓国各紙の評価はどうでしょうか。各紙社説を見ると、保守紙・朝鮮日報は『連任しないと確認、国民の代わりに支持層にアピールした会見』(20日)と、まずは支持層の分断縫合に力を入れた李大統領の姿勢を批判的に評価しました。
同じく保守紙・東亜日報は19日付で3本の社説を出し、今後の大統領の「実践」を注文しました。
やはり保守紙の中央日報では、19日付の社説で、人事面に注目しました。
「国民が正しい」という李大統領の言葉に従うのなら、「金勝源(キム・スンウォン)法務部長官候補の任命撤回が必要だ」と指摘しました。なお同氏は記者会見の翌日19日、自ら法務部長官候補を辞退しました。
リベラル紙・京郷新聞は不動産問題への認識の甘さ、前述したような投資商品についての説明不足を指摘しながら、「謙虚な姿勢で国政に臨むよう」注文しました。
最後はリベラル紙・ハンギョレです。
同紙は19日付の社説で「一度の会見で国民の信頼を一気に取り戻したり、支持率が大きく反騰しない。しかし少なくともこの日の会見を通じ、李大統領が国民の声を恐れている点は国民に伝わったと思う。これからも今日の謙虚で傾聴する姿勢を無くさず、実質的な政策課題で一つずつ成果を出すならば、国民もふたたび心を開いてくれるだろう」と、励まし(?)ました。
その上でこれからは「民生の改善」、つまり国民の生活の実質的な改善こそが重要だと強調しました。(徐台教)
3. 今日の時事韓国語「의존」
「ウィジョン」と読みます。漢字では「依存」です。
今日付の京郷新聞一面に、今年2月、米軍がイランの小学校を誤爆した背景に、過度のAI依存があったという記事がありました。
米軍だけでしょうか。もはやすべてのテキストにAIの影響を疑う時代になってしまいました。悲惨です。私が動画取材に力を注ぐとした背景もここにあります。

今日は以上です。それではまた明日お届けします。ありがとうございます。残る連休も安寧にお過ごしください。アンニョンヒケセヨ。
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