【デイリー・コリア・フォーカス】26年9月11日号:世論調査で読む韓国社会のLGBTQ+への意識、今日の時事韓国語「서울대학교」

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徐台教 2026.09.11
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。今日は昼間、ソウルの中心・光化門(クァンファムン)に行ってきました。仕事上必要なランチの約束のためでした。相手と別れ、本屋に寄った後、ふと思いだし近所の「在日韓国人記念館」に足を延ばしました。

植民地時代に日本へと渡り、成功を収めた後、祖国に新韓銀行を作った、故李煕健(イ・ヒゴン)さんの名を冠する、李煕健韓日交流財団が運営するものです。在日コリアンの歴史や韓国への様々な寄与が、パネルやディスプレイと共に整然と展示されています。

じっくり見るのは初めてでした。昨日から個人的にショックを受けることがいくつがあり、鬱屈としていたのですが、見ている内に頑張ろうという気になりました。張本さんに関する、様々な訃報記事を通じても同じ思いを抱きました。前に進むしかないのでしょう。

↑こちらは李煕健韓日交流財団の、記念館を紹介するページです。位置などが出ています。

こちらは印象的だった、張本さんに関する記事2本です。上は辺真一さん、下は布施祐仁さんによるものです。いずれも無料で全文読めるのでぜひどうぞ。

今日の内容は以下の通りです。

(1)世論調査で読む韓国社会のLGBTQ+への意識…際立つ若い女性の受容、根強い抵抗も
(2)今日の時事韓国語「서울대학교」

また、今日から新たに植田祐介さんがニュースレターの書き手として合流します。ケニアのLGBTQ+難民と日本を結ぶブランド「AKATALE」店主であり、韓国で大学を卒業し、通訳・翻訳・ライター経験も豊富な方です。

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1. 世論調査で読む韓国社会のLGBTQ+への意識…際立つ若い女性の受容、根強い抵抗も

「同性愛に対する社会的偏見や嫌悪が現実において完全に消え去ったかというと、現実には必ずしもそうではないと思う」

文在寅(ムン・ジェイン)元大統領は先月28日、クィア文学で有名な朴相映(パク・サンヨン)氏との対話で、このように語りました。自身の営む平山書店のYouTubeチャンネルでのことでした。

そして最近、これを裏付ける調査結果が発表されました。

世論調査機関・韓国リサーチが今月8日に公開したものです。「LGBTQ+に対する自分と韓国社会の受け入れ、認識、LGBTQ+の社会活動、職業参加認識」という調査で、今年5月、全国の18歳以上1000人を対象にインターネットで行われました。

いくつか代表的な設問を見ていきましょう。

まず「身近な人のカミングアウトを受け入れられるか?」という問いに対して、職場の同僚の場合は49%、親しい友人では47%でした。

一方で、自分の子どもは36%、親は34%、恋人は25%、配偶者は24%と、家族やパートナーでは「受け入れる」という回答は少なくなります。女性は同年代の男性より受容度が高く、18~29歳女性では同僚77%、友人74%、子ども61%に達しました。

次に「LGBTQ+に対する感情」の問いでは、ゲイに対しては「どちらでもない」が50%で最も多かったものの、「敵対的だ」が42%で、「好意的だ」は7%にとどまりました。

トランスジェンダーに対しては同様に、「どちらでもない」54%、「敵対的だ」38%、「好意的だ」8%、バイセクシュアルも同じく、52%、37%、11%、レズビアンは57%、33%、10%という結果でした。

いずれも「好意的」は10%前後と低い水準で、「敵対的」の3分の1以下となります。

ただ、年齢、性別で見ると大きく異なります。

18歳から29歳の女性で「好意的」と答えた人は43%に達しました。一方で同年代の男性で「好意的」とした人は14%でした。

宗教別に見ると「好意的」と答えた人はプロテスタントで5%で最も低く、次いで仏教の10%、無宗教の15%、カトリックの19%という結果になりました。政治的に進歩(リベラル)は19%、中道、保守はそれぞれ10%でした。

また、「LGBTQ+の知人がいる」と答えた人の中で「好意的」と答えた人は40%にのぼりました。なお、「LGBTQ+の知人がいるか?」という問いには12%が「いる」と答えています。

クィア文学で有名な朴相映(パク・サンヨン、左)氏と対談する文在寅元大統領。平山書房のYouTubeをキャプチャ。クリックで該当動画にリンクします。

クィア文学で有名な朴相映(パク・サンヨン、左)氏と対談する文在寅元大統領。平山書房のYouTubeをキャプチャ。クリックで該当動画にリンクします。

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続いて「韓国社会が同性愛を受け入れるべきだ」という設問への賛成回答は同性愛34%、バイセクシュアルは35%、トランスジェンダーは38%でした。

この設問では特に、若年層の男女差が大きく、「受け入れるべき」は18~29歳女性の72%に対し、男性は25%でした。

進歩層では54%、LGBTQ+の知人がいる人では65%が受容を支持する一方、保守層の62%、プロテスタント信者の63%は「受け入れるべきでない」と答えています。

また、トランスジェンダーの受け入れは18~29歳全体では31%にとどまり、50代の52%を下回っています。若いほど一律に寛容という構図ではありません。

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職業による差も鮮明です。

職業ごとの「LGBTQ+が就いてもよい」とする回答数は、動画配信者などのコンテンツ制作者65%、企業経営者64%、芸能人62%でした。大学教員は51%でしたが、中高教員は37%、小学校教員と大統領は各35%に下がっています。

それでも18~29歳女性では全職業で受容度が最も高く、大統領59%、小学校教員56%と過半数を占めました。

一方、プロテスタントでは大統領23%、小学校教員21%にとどまっています。調査は、若い女性の相対的な受容の高さとともに、親密な関係や子どもの教育に関わる場面では、なお受容が限られる現状を示しています。

世論調査レポートの一部。2022年から26年までの、LGBTに対する感情をまとめたもの。だいだい色が「好意的」、灰色は「中間」、緑色が「敵対的」。一定の数値で推移しているのが分かる。韓国リサーチより引用。

世論調査レポートの一部。2022年から26年までの、LGBTに対する感情をまとめたもの。だいだい色が「好意的」、灰色は「中間」、緑色が「敵対的」。一定の数値で推移しているのが分かる。韓国リサーチより引用。

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そんな中で、9月12日に大邱(テグ)市内中心部で第18回大邱クィア文化祭が行われます。

当事者団体、政党、労組、宗教団体、独立した人権擁護機関である国家人権委員会など51団体がブース出展し、17時からは市内中心部でパレードが行われます。

プロテスタント団体などは裁判所に開催禁止仮処分申請を申し立てていましたが、大邱地裁は10日、これを棄却しました。

今年6月に開催されたソウルクィア文化祭には主催者による推計で17万人が参加しましたが、大邱は多く見積もっても4000人程度で、当日はプロテスタント団体などによる激しい妨害が予想されています。(植田祐介)

・植田祐介の今日のひと言

昨日、韓国の清州空港を経て光州にやってきました。11月15日まで開催中の光州ビエンナーレを見るためです。

ところが会場は、開幕前から思わぬ波紋に揺れていました。「台湾館」という名称をめぐって中国当局が激しく反発し、駐韓中国大使が全南光州市長に遺憾と憂慮の意を伝えるなど国際問題にまで発展。抗議として、参加予定だった中国のアーティスト19人が撤収してしまったのです。

ビエンナーレの特別展は国・機関ごとに展示館を設ける枠組みで運営されており、今回はその区分の立て方自体に問題があったのではないか、との指摘も上がっています。

平和の少女像などの展示をめぐって極右勢力の激しい攻撃を受けた2019年のあいちトリエンナーレを引くまでもなく、アートと政治は切り離せない関係にあります。それでも今回の件は、展示の見せ方を工夫しさえすれば避けられたのではないか、と思えてなりません。

なお、今回のビエンナーレで芸術監督を務めるのは、シンガポールのアーティスト、ホー・ツーニェンです。植民地主義を問う作品を数多く手がけてきた彼は、あいちトリエンナーレ2019でも旧旅館・喜楽亭を会場にした映像インスタレーション「旅館アポリア」を出展し、話題を呼びました。

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2. 今日の時事韓国語「서울대학교」

「ソウルテハッキョ」と読みます。日本語ではソウル大学校、つまりソウル大のことです。日本の東大にあたる、言わずと知れた名門校です。

こんなソウル大学が先月12日、韓国の防衛企業「ハンファ・エアロスペース」と協定を結びました。同社はロケット「ヌリ号」の開発や、「K9自走砲」への世界的な高評価で知られます。

「Kー防産」の世界進出を国家ぐるみで進める、韓国の看板企業のひとつです。

聯合ニュースなどによると、協定の中身は「国防のためのAI(人工知能)研究強化」で、インフラ構築を共に行うというものです。

具体的にはハンファ社がソウル大に「ハンファAIフロンティア館」を建て、国防AI研究のための寄付金を造成するとのこと。東大と三菱が手を結ぶようなものです。

ハンファとの協力を知らせるソウル大のお知らせ。今月8月26日のもの。同大HPをキャプチャ。

ハンファとの協力を知らせるソウル大のお知らせ。今月8月26日のもの。同大HPをキャプチャ。

私も今日、リベラル紙・京郷新聞に掲載されたコラムを読んで初めてこの事実を知りました。それと同時に、日本学術会議が2017年に、軍事研究に反対する声明を出したことを思いだしました。

韓国のどの程度の大学が防衛企業(より正確には軍需企業ですよね)と協力しているのか、調べてまたしっかり記事を書きたいものですが、ソウル大のこんな動きは全く注目されていません。

先のコラムは、「武器輸出はよいのに、なぜ派兵はダメなのか」と鋭い質問を投げ掛けていました。「武器により遠くの地で無辜の人が死ぬのはよいが、自分の子どもが死んではいけないというのか」という鋭い問いです。

その上で、今回の一件のように、戦争に慣れていくような動きへの警戒を呼びかけました。戦争に巻き込まれない知恵を支えるのは、大学と言論メディアであるという結論です。

非常に得心がいくコラムでした。韓国は朝鮮戦争が休戦状態にあり、徴兵制があるなど、戦争への距離感は日本よりも遥かに近いという特徴があります。

だからこそ、戦争に慣れない努力が必要なのでしょう。リンク(韓国語)を貼っておきます。最近は翻訳ソフトで大分読めるので、ぜひチャレンジしてみてください。

なお、今日発表された「韓国ギャラップ」社による定例世論調査では、「ホルムズ海峡への派兵」について、反対55%、賛成32%でした。与党・共に民主党支持者の69%が反対しています。(徐台教)

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今日はここまでです。南北軍事境界線に関する記事を書くつもりでしたが、分量を考え(ここまでもう4000字です)、次号に回します。

週末には、新たな書き手の公募を始める予定です。このニュースレターは、コリア・フォーカスの「入り口」として、今後も力を入れていきます。拡散にご協力ください。

それでは皆さま、良い週末を。今週もありがとうございました。アンニョンヒケセヨ。

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