【デイリー・コリア・フォーカス】26年9月4日号:韓国、ホルムズ海峡へ派兵か…李大統領は慎重な態度くずさず

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徐台教 2026.09.04
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。編集長の徐台教です。今日は韓国からお送りいたします。

昨日は余りにもハードな日程でニュースレターに全く手が出ませんでした。それでも今回、無事にクラウドファンディングの資金を受領したことで、今後のリニューアルに勢いをつけていきます。

(1)韓国、ホルムズ海峡へ派兵か…李大統領は慎重な態度くずさず

・韓国の「転身」

昨夜(3日夜)、衝撃的なニュースが飛び込んできました。韓国の地上波テレビSBSのスクープで、韓国政府がホルムズ海峡への派兵準備に着手しているというもの。いくつかのメディアも短信で報じました。

同局は「海軍の戦力をホルムズ海峡に派兵するために具体的な準備をしている」(海軍核心関係者)と伝え、派遣戦力にも言及しました。

「P-8 ‘ポセイドン’海上哨戒機、海軍の軍需支援艦、爆発物処理班」というものです。

これらを現地に派遣するためには、中継地が必要で、現地でも補給支援が必要となりますが、これについても「協議が行われている」と具体的な内容が続きました。

韓国軍の派遣に向けた手続きも進んでいるとしました。国家安全保障会議(NSC)の決定と、国務会議(閣議)での議決、さらに国会の同意が必要となりますが、「早ければ今月中に国会に同意案を提出する」と、同局は伝えました。

これまで米国によるイラン攻撃から一貫して距離を置いてきた韓国政府の「転身」は、韓国社会において、大きな驚きと共に受け止められました。

***

・規模は約150人

ひと晩明けた4日、韓国はこのニュースで持ち切りでした。青瓦台(大統領府)、国防部、国会などで様々なメディアが取材を続け、全容が明らかになりつつあります。

4日晩の地上波テレビでは、全局がメインニュース番組のトップでこの一件を詳細に報じました。

これらによると、韓国軍の派兵案は「P-8 ‘ポセイドン’海上哨戒機1機、海軍の軍需支援艦1隻、爆発物処理班(EOD)1個チーム」というもの。規模は約150人というものでした(SBSなど)。

それぞれの役割としては、▲哨戒機はホルムズ海峡における艦艇(水上艦・潜水艦)の長時間の監視、▲軍需支援艦は後方支援と補給、▲爆発物処理班は機雷除去、を担うことになるとのことです。

SBSは「既にどの哨戒機と艦艇を派遣するか決めた」という軍関係者のコメントを引用しながら、「ホルムズ海峡内のどこに基地を置くのか」が残る課題であるとしました。

別の地上波MBCや日刊紙・朝鮮日報などでは、派遣される軍需支援艦は海軍に一隻しかない「ソヤン(昭陽、排水量約2万トン)艦」と伝えています。

「作戦基地は、イランの攻撃範囲の外でありながらも、ホルムズ海峡内の作戦区域と近くなければならない」という軍関係者の証言。SBSニュースをキャプチャ。

「作戦基地は、イランの攻撃範囲の外でありながらも、ホルムズ海峡内の作戦区域と近くなければならない」という軍関係者の証言。SBSニュースをキャプチャ。

やはりSBSによると、韓国政府はこうした派兵案を既に、米国や英国、フランス政府などと共有しているとします。小規模部隊であることから、他国との連携が欠かせないという事情があるようです。

なお、派兵までのスピード感については、いくつかのメディアで「2か月以内」としています。

これは2003年9月、米国からイラクへの戦闘兵力の追加派兵を求められた際に、国内意見の調整や米側との派兵内容の交渉、国会での同意まで半年近くかかったことを考えると、異例の早さと言えるでしょう。

当時は平和維持・再建を任務とする約3600名が派遣されましたが、今回の派兵も「非戦闘員」という基調を維持するものと見られます。

・背景には米国との関係

韓国メディアは、今になって突如、政府が派兵を決めた背景に注目しています。

そうでなくとも、今年3月、トランプが同盟国などに派兵を要求した際には「韓米間で緊密に疎通し、慎重に検討し判断していく」と避けていました。私も当時、ニュースレターに「戦闘中の地域には送れないだろう」という専門家の見方を紹介しています。

そうした中、MBCでは、「日本ですら派兵は不可能と言っている」とし、戦争の終了後にようやく機雷除去艦を送れるという日本の立場を引き合いに出しています。

他にも、主要国が「参戦とは一線を引いている」とし、米軍機の領空通過を遮断したスペインや、米軍の爆撃機の補給を拒否したイタリアの例などを挙げています。

さらに、米国民の63%がイランとの戦争に反対している中、やはり派兵を決めた背景にはトランプ大統領と米政府の圧力があると結論付けています。

特に最近になって、サムスン電子やSKハイニックスといった、韓国の半導体企業の米国への投資を求めるラトニック商務長官の発言を紹介するなど、韓国政府と米国政府の「すきま風」を取り上げているのです。

「派兵は不可」という日本の姿勢を紹介するMBCニュース。同ニュースをキャプチャ。

「派兵は不可」という日本の姿勢を紹介するMBCニュース。同ニュースをキャプチャ。

・李在明大統領は慎重、進歩派内から反対も

相次ぐ報道の中、李在明大統領は特に慎重な姿勢を見せています。

各メディアによると李在明大統領は4日、韓国の市民社会団体関係者との懇談会の中で、ホルムズ海峡への韓国軍派遣について「まだ進捗はない」と述べたとのこと。

この席で李大統領は「ホルムズ海峡の平和で自由な航行は、韓国経済と国民の利益にとても重要だ」とし、韓国政府が最優先に考慮すべきは米国の要求ではなく、韓国の資源と商船の安全確保であるとしたとのことです。

この辺の言及からは、米国に引きずられる印象を国民に与えたくないという、李大統領の姿勢が透けて見えます。

また、安全確保の方法については、「英国やフランスなど欧州の国家とも議論している」とし、「どのような方式で参加するか、参加しないかを含め、最終的な決定は下していない」と明かしたそうです。

特に「派兵」という断定的な単語について、「まだ適切ではない」と述べたとMBCなどは伝えています。

4日、韓国の市民社会団体関係者との懇談会で発言する李在明大統領。青瓦台提供。

4日、韓国の市民社会団体関係者との懇談会で発言する李在明大統領。青瓦台提供。

こんな態度は、ニュースレターでもお伝えしているように、40%前後と一時期より下がった支持率への影響を恐れてのものと推察されます。

韓国の進歩派政権には04年に、当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府がイラク戦争に派兵した際の経験が、一種の反面教師となっています。この時、政権支持層の一部は離脱し、完全には戻ってこなかったからです。

実際に、進歩派も分裂の兆しを見せています。

祖国革新党(議席12)は「尹錫悦政府ですらウクライナ戦争に派兵しなかった」(所属する金峻亨議員)、進歩党(議席4)は「米国の戦争に参加する理由がない」と、共に反対の姿勢を明確にしています。

一方、米韓同盟を何よりも重視する保守派の最大野党・国民の力の院内代表(国対委員長に相当)は、「米国の信頼を失った後に派兵検討に着手したのは明らかな失機」だとし、政府に対し「米韓関係の現状を透明に公開せよ」と迫りました。

・今後は「イバラの道」か

与党・共に民主党は、党としての立場を明らかにしていません。これは政府が公式に派兵案を決定・発表していないからで、政府への配慮が見受けられます。

一方で、党内の一部からは強い慎重論が出ており、一筋縄ではいかない可能性もあります。同党は国会で議席の過半数を占めているため、派兵同意案を通すことができますが、現地で戦闘に巻き込まれる場合には、世論の逆風にさらされることとなるでしょう。

まさに前門の虎、後門の狼といった形です。政府にとっては正念場となるでしょう。なぜ派兵するのか、説明を尽くす姿勢が必要です。(徐台教)

***

今日はここまでとなります。衝撃的な派兵の一報だったため、細かく書いてみました。

それにしても、メディアの運営(その第一歩ですが)と記事執筆の二つを同時に行うのは、なかなか大変です。頭の切り替えが大変です。そうとはいえ、今よりも社会で大きな影響力を持つためには欠かせないプロセスです。なんとか乗り越えていきます。

また週明けにお目にかかります。来週からはお昼の定刻(おそらく12時)の配信となります。皆様におかれましては、良い週末をお過ごしください。韓国の晩もすっかり秋の気配です。

それでは、アンニョンヒケセヨ。ありがとうございます。(徐台教)

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