【デイリー・コリア・フォーカス】26年2月25日号

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徐台教 2026.02.25
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。

少し遅れましたが、今日も元気に韓国から「デイリー・コリア・フォーカス」2月25日号をお送りいたします。

今、韓国で封切られている映画のうち、観たい映画が三つあります。

一つ目は時代劇で『왕과 사는 남자(邦題:王の番人)』です。1400年代の話で、王位を追われた世宗大王の孫・端宗(タンジョン)が幽閉先の村で起こる出来事を描いたものです。

2月4日の封切りから20日間で600万人もの観客を動員し、ひさしぶりの大ヒット韓国映画として大いに注目されています。

『왕과 사는 남자(王の番人)』のバナー。

『왕과 사는 남자(王の番人)』のバナー。

二つ目は『휴민트(ヒューミント)』です。こちらは南北の諜報員が激突するスパイアクション映画です。この題材でリュ・スンワン監督とくれば、必見ですよね。2月11日に封切りられ、現在、観客動員163万人と苦戦中です。損益分岐点は400万人とありました…。

『휴민트(ヒューミント)』のバナー。

『휴민트(ヒューミント)』のバナー。

三つ目は『신의악단(神の楽団)』です。これは昨年12月31日に封切られたもので、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の国家保衛省が外貨集めのため(?)に、賛美歌を歌う楽団を作る話…というのですが、正直分かりません。私は基本的に観たい映画がある場合、事前の情報を最小化するタイプなのです(笑)。

しかし信条として、いわゆる「南北もの」の映画はすべて観るようにしているため、候補に入っています。また、口コミで評判が広がり、22日現在で134万人の観客を動員している点でも気になるところです。なお、日本でも4月3日に公開が決まっているようです。

『신의악단(神の楽団)』のバナー。

『신의악단(神の楽団)』のバナー。

2月は大変で、映画を観る余裕と時間がありませんでしたが、上記三作は必ず観に行きます。三作とも間違いなく日本でも公開されると思います。

というわけで、今日の目次です。

1. 金正恩氏の妹・金与正氏が「昇進」
2. 李在明大統領が「農地への投機」取締り開始
3. ロシアのウクライナ侵攻から4年、ソウル市内の露大使館に「勝利」の垂れ幕
4. 光州「旧全南道庁」の復元工事終わる…約2年半ぶりに再公開
5. 今日の時事韓国語「경자유전」

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1. 金正恩氏の妹・金与正氏が「昇進」

北朝鮮では昨日の時点で、朝鮮労働党第9回党大会が今なお続いています。

今回の党大会の特徴としては、北朝鮮メディアから出てくる情報が少ない点が挙げられ、専門家たちも分析に苦労しているようです。

そんな中、金正恩氏の妹、金与正(キム・ヨジョン)氏のに注目が集まっています。

従来の朝鮮労働党副部長から、部長へと昇進すると同時に、党中央委員会政治局の候補委員に返り咲きました。この「部長」について、韓国メディアは「長官級」と称しています

なお、昇進前は宣伝扇動部の副部長とされてきましたが、新たな部署がどこなのかは明らかにされていません。

今回の人事について、統一研究院の専門家ホン・ミン氏は『京郷新聞』へのインタビューで「金与正氏の活動範囲は既に政治局の常務委員を超えている」と指摘します。政治局の常務委員というのは、委員長の金正恩氏を含め5人で構成されています。

ホン氏はさらに、「その間は年齢が若かったため高い職責を与えることができなかったが、38歳となり制度的な立場を作ってあげたもの」と分析しています。

金与正氏。8年前に韓国に来た時よりも、ずいぶん痩せた印象です。朝鮮中央通信より。

金与正氏。8年前に韓国に来た時よりも、ずいぶん痩せた印象です。朝鮮中央通信より。

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金与正氏がどの分野を受け持っているのか。

本ニュースレターでもお伝えしたように、「民間人によるドローン事件」について遺憾表明した鄭東泳(チョン・ドンヨン)長官に呼応するメッセージを出すなど、金与正氏は最近も韓国への対応の最前線に立っています。

これに関し、韓国の専門家ヤン・ムジン北韓大学院大学碩座教授は地上波『KBS』に対し、「対南・対米担当の責任者もしくは、新しい対南部署の責任者である可能性がある」とコメントしています。

なお、再三強調してきたように、今回の党大会において、韓国では「敵対的二国家」が党規約にどう位置づけられるのかに注目が集まっていました。現在まで、この部分への北朝鮮国営メディアの言及は一切ない状態です。

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2. 李在明大統領が「農地への投機」取締りを開始

「わが国の農地管理が、あまりにもメチャクチャですよね。投機の対象になってしまいました。憲法に『耕者有田』と書いておきながら、法律を作りあらゆる方式ですべて違憲行為をしているのでしょう。それをまた正常に戻すべきです」

以前お伝えしたように、毎週火曜日には青瓦台(大統領府)で国務会議(閣議)が行われます。

この場では李在明大統領が待ってましたとばかりに、色々なことを話すのが常ですが、24日の同会議で李大統領は上記のように切り出しました。

憲法121条にはこうあります。「国家は農地に関し、耕者有田の原則が達成できるよう努力しなければならず、農地の小作制度は禁止する」。

李大統領の発言は、農業をしない場合には農地の所有を禁ずるという原則があるにもかかわらず、実際には農地の所有が許されている点を問題視するものです。

李大統領の発言を伝えるMBCニュース。同ニュースをキャプチャ。

李大統領の発言を伝えるMBCニュース。同ニュースをキャプチャ。

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どういうことでしょうか。

地上波『MBC』によると、現行の法律では、農地の効率的な利用をうながすため、直接農業をせずとも農地を所有し、これを他人に貸せる「例外」が「制限的に許されている」というのです。

8年以上直接耕作した後や、相続により農地を取得しこれを3年以上所有した場合には、一定の規模で週末農業(都会に住むものが農地を借りて週末に農業を行うことをこう呼ぶ)や農業体験用として、土地を貸せるそう。

この制度を利用し、農地が投機の対象になっていると指摘しました。投機筋が開発が近いと見られる土地にある農地を買い占め、貸し出すことで維持しているということでした。

やはり『MBC』によると、全国の農地の平均価格が1平方メートルあたり5万3000ウォン(約5700円)であるにもかかわらず、首都圏の農地は18万4000ウォン(約2万円)であると指摘しています。

また、2021年の時点で違法な農地貸し出しが33%にのぼり、全国の農地の47%が賃借農地であるそうです。

この日、李大統領は「農業をすると言って(土地を取得し)放置する場合」には、「まずは課徴金、次に強制売却命令」があると強調し、管轄する農林畜産食品部に調査を命じました。

李大統領による今回の一連の言及の基には、やはりこの日発言したような、「この国(韓国)のすべての問題の源泉は不動産問題である」という認識があるようです。

この認識は確かにその通りですが、一方で、歴代の大統領が誰も手を付けることができなかった部分です。

先にお伝えした「多住宅者」への譲らない態度と合わせ、李大統領は就任一年目から、最も困難な問題に切り込んでいます。

矢継ぎ早に切り込むことで、世論から乖離する点が憂慮されますが、今のところはうまくいっているようです。

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3. ロシアのウクライナ侵攻から4年、ソウル市内の露大使館に「勝利」の垂れ幕

24日は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻から4年を迎える日でした。

この日を控え、韓国では一つの「騒ぎ」が起きていました。ソウル市内の一等地にある駐韓ロシア大使館に「勝利はわれわれのものだ」という大きな垂れ幕が掲げられていたためです。

韓国外交部の抗議にもかかわらず、一週間あまりロシア側が「一般的な慣行である」と粘り、24日になってようやく撤去されました。

垂れ幕の撤去を伝える聯合ニュース。

垂れ幕の撤去を伝える聯合ニュース。

『ハンギョレ』によると韓国外交部はロシア大使館関係者を呼び、「ロシアによるウクライナ侵攻が違法であり、北朝鮮とロシアの軍事協力は国連憲章と安保理決議違反である点など」を挙げ、垂れ幕の撤去を要請していたそうです。

なお、ロシア大使館側は、24日に大使館周辺で予定されていた行進なども中止したそうです。

韓国政府は今、NATOによる「ウクライナ優先要求リスト(PURL)」への参加をめぐり、NATOと交渉を続けているとされます。ロシア外交部は韓国がこれに参加する場合には「報復」を予告しており、両国の関係は緊張しています。

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4. 光州「旧全南道庁」の復元工事終わる…約2年半ぶりに再公開

1980年5月18日から27日にかけて、光州(クァンジュ)市民が民主化を求め立ち上がり、そして戒厳軍に激しく鎮圧されました。

この過程で少なくとも160人以上が戒厳軍により死亡しますが、一連の光州市民の勇気ある行動は韓国民主化を引き寄せました。『5.18光州民主化運動』です。

当時、市民軍が最後まで立てこもったのは、全羅南道道庁でした。その後、光州市は特別市となり、全羅南道庁は別の地域に移される過程でこの建物は「旧全南道庁」となりました。

08年以降は「国立アジア文化殿堂」の一部として「民主平和交流院」となり、『5.18』に関する展示が行われるなどしていましたが、中途半端な印象は否めませんでした。

工事中の旧全南道庁。黒い幕で覆われている。25年5月18日筆者撮影。

工事中の旧全南道庁。黒い幕で覆われている。25年5月18日筆者撮影。

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そしてついに、この旧全南道庁は全面リニューアルに入ります。周辺の五つの建物と共に、1980年5月当時の姿に戻す大工事です。工事は長期にわたって行われていましたが、この度ようやく終わり、24日にメディアに公開されました。

地元の『光州MBC』によると、旧全南道庁をはじめ遺体安置所として使われた尚武館などもすべて、当時の姿に復元されています。復元過程で旧全南道庁に見つかった35の弾痕(戒厳軍によるものです)の場所も明示されています。

24日、工事終了を伝える『光州MBC』ニュース。復元された様々な建物が出てくるので、ご興味あるか方はどうぞ。クリックで該当ニュースのHPに飛びます。

24日、工事終了を伝える『光州MBC』ニュース。復元された様々な建物が出てくるので、ご興味あるか方はどうぞ。クリックで該当ニュースのHPに飛びます。

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一連の建物は2月28日から4月5日まで、試験運用されたのち、5月に正式に開館するとのことです。私も近々行って、見てこようと思います。

なお『5.18光州民主化運動』についてはこの記事(何度も紹介していますが)をご参考ください。

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5. 今日の時事韓国語「경자유전」

「キョンジャユジョン」と読みます。漢字では「耕者有田」。2番の記事で登場し、憲法にもある言葉です。はじめて知りました。

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今日は以上です。

明日からは福岡です。27日には長生炭鉱に足を伸ばす予定です。

また色々とお伝えしていきますね。

いつもお読みいただきありがとうございます。(徐台教)

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