【デイリー・コリア・フォーカス】26年7月20日号

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徐台教 2026.07.20
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。

今日は7月20日、月曜日です。明け方のW杯決勝戦をご覧になった方も多いかと思います。私は朝4時に起きられず後半から見ましたが、睡眠不足で一日じゅう、身体が重かったです。

私も中学生までサッカー少年でした(あまり上手ではありませんでしたが)。そんな話を今日、仕事の用事で会った人物としていたら、自身が組織しているチームでぜひ一緒にやろうという誘いを受けました。

今は5分も走れないような気がしますが、やってみようかなと思っています。

こんな話はどうでもよいので、本論に入ります。今日の目次は以下の通りです。

1. 韓国の出生率は‘わずかに回復’も、不平等の影がくっきり
2. 今日の時事韓国語「수마」

その前にいくつか…まず、発足から2年目を迎えた李在明政府は、今はややピンチというか、ネジを巻き直す時期に来ているようです。

尹錫悦前大統領による非常戒厳という、文字通りの国家的危機を経て昨年6月に就任した李大統領は、特有の迅速で細かい仕事ぶりを続けてきました。

「実用主義」、「市場主義」を掲げ国内市場に宥和的な態度を見せました。世界的なAIブームも相まって株価指数が三倍となりました。

その傍ら、不動産市場を締め上げることで、不動産市場から株式市場への‘マネームーブ(資金移動)’を推進し、企業への投資を増やすという成長ビジョンを示しました。

しかし今、乱高下する市場により損をする者が増え、不動産価格は高騰し賃貸で住む庶民に影響が出るなど、政府のブレーンである青瓦台(大統領府)の金容範(キム・ヨンボム)政策室長が謝罪に追い込まれるまでになりました。同氏は不動産政策の再設計を明かしています。

19日、釜山で開会したUNESCO世界遺産委員会の開会式で演説する李在明大統領。青瓦台提供。

19日、釜山で開会したUNESCO世界遺産委員会の開会式で演説する李在明大統領。青瓦台提供。

そもそも、李在明政府の最大の成果としては、非常戒厳という危機から国家を正常化させた点があります。外交的にも最低限の安定を取り戻し、態勢を立て直しました。

しかし、先の統一地方選を通じ、2028年の総選挙(国会議員総入れ替え選挙)、2030年の大統領選が楽勝ではないという機運が広がっているのも事実。また、不平等や格差、差別といった慢性的な社会問題には手を付けられていません。

一方で検察改革という、故盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権以来、20年にわたる課題にはようやくケリがつきそうでしたが、もう一山ありそうです。

検察は裁判を担当する「公訴庁」として生まれ変わる予定ですが、「補完捜査権」の存置をめぐる大激論が起きており、その本質がどこにあるのか雲行きが怪しくなっています。

さらに、先日お伝えしたように成功時には政権の「レガシー」となるであろう「三大メガプロジェクト」も、市民社会の強い反対に直面しています。

特に米国をはじめ既に世界各地で問題となっているデータセンターの設置がプロジェクトに含まれていることから、市民と政府・企業の直接的な対峙が起きるのは時間の問題です。

この一年間の李在明政府の動きを追ってきましたが、目が回る思いです。大統領は「時間が足りない」とモーレツに働いていますが、その場合にはどうしても「すぐにできる」仕事にエネルギーが集中します。この部分を指摘する専門家の声が、最近とみに目立ちます。

つまり、ここで一旦スピードを落とし、どういう社会を目指すのか考え直すべきではないかという指摘です。「経済成長をもって雇用を増やし不平等を減らす」というような話ではなく、社会が進めべき方向を定める必要があるというものです。

これについて、広く社会的合意を形成できると良いのですが…最大野党・国民の力の迷走が続いている中では、これも難しいため、悩ましいところだと思います。

***

横道に逸れたついでに…昨日(19日)は、政治家・呂運亨(ヨ・ウニョン、1886〜1947)の命日でした。79周忌です。「韓国の政治家」ではないところが、呂運亨たる所以です。

米ソのよる南北分断が続く中、南北それぞれの政府樹立ではなく「統一した独立国家」のために奔走する過程で暗殺されました。敢えて言うならば「民族の政治家」でした。

追慕式の様子。中央の遺影が呂運亨。花輪は李在明大統領と、最大野党・国民の力の張東赫代表。筆者撮影。

追慕式の様子。中央の遺影が呂運亨。花輪は李在明大統領と、最大野党・国民の力の張東赫代表。筆者撮影。

私も追慕式に参加し、なかなか面白い取材をしてきました。記事は明日公開する予定です。

呂運亨という人物が一貫して掲げてきた原則、そしてその開かれた姿勢は、今の韓国社会や朝鮮半島に極めて大きな「響き」を与えるものです。来年は没後80年。政府は大きく追悼行事を開くという話が聞こえてきますが、私も色々と準備を始めています。

***

1. 韓国の出生率は‘わずかに回復’も、不平等の影がくっきり

今日(20日)付の京郷新聞を手に取ってすぐ、この記事が目に入りました。一面の下段にあったものです。

該当記事。

該当記事。

『‘出生率0.8名’反騰の裏に…‘親になる機会’は平等ではなかった』という記事です。題名だけで分かる内容ですが、詳しく見て行きます。

韓国の合計特殊出生率(女性1人が一生で産む子どもの数の平均値、以下、出生率)は2015年の1.24以降、下降を続けてきました。

2023年に0.72となり、「このままでは国家が消滅する」と世界で話題になりました。世界最低の出生率です。その後、2024年に0.75、2025年に0.80と回復基調にあるとされます。

韓国の合計特殊出生率。2014年から2025年まで。2025年は暫定値。韓国政府統計より引用。

韓国の合計特殊出生率。2014年から2025年まで。2025年は暫定値。韓国政府統計より引用。

しかし、京郷新聞が国家データ庁の資料や政府機関の報告書を元に報じたところによると、こんな出生率の上昇は「配偶者がいる30代の女性」が主導しているそうです。

さらに、所得上位30%の集団の出生率は、2023年の0.84から2025年には0.95と上昇した反面、所得下位30%の集団では下落率が鈍化するという形で差があったというのです。

また、「雇用基盤が安定した、職場で健康保険に加入している」集団の出生率の上昇幅が大きいという言及もありました。育児休暇の取りやすさと関係しているということです。

このような内容を元に、記事では「出生率の反騰の裏に、韓国社会の核心的な問題である‘不平等’と‘格差’がかくれていることに気付く」と書いています。

その上で、出生率を高めるための政府の支援が「既婚者・正規雇用の労働者」に焦点を合わせたものだったことを踏まえ、これからは「青年層と低所得層、非婚カップルへの支援策を積極的に行うべき」と指摘しました。

すなわち、「出産直前と直後にインセンティブを与える現在の方式」を脱皮し、「結婚支援と出産支援を共に設計すべき」というものです。

一連の内容は「なるほど」と思う反面、「当たり前ではないか」とも感じるものです。お金があれば子どもを持つという選択肢が増えるのは当然です。

そもそも、国家や社会を維持するために子どもを産む(正確には産ませる、産んでもらうに近いでしょう)という発想からしておかしなものですが、現実的な問題の深刻さから、この部分はもはやすっ飛ばす形で話が進んでいるのが現状です。

記事に登場するある専門家は、今回の「反騰(これもすごい言葉ですが)」が長期的なものであるのかは、今後見極める必要があると指摘しています。

「反騰」の背景には、新型コロナにより遅らせた結婚と出産が今になって行われている点と、母数が多い1990年代生まれが婚姻・出産の時期を迎えている点があります。

出生率の回復をどう、長期的なトレンドにしていくのか。激しい競争と女性差別が存在する社会そのものを変える他にないのでしょう。長いチャレンジとなる他にありません。

***

2. 今日の時事韓国語「수마」

「スマ」と読みます。漢字では「水魔」です。水害を指します。同じような言葉に「화마(ファマ、火魔)」があり、こちらの方がよく使われます。

しかし、気候変動によりここ1〜2年、集中豪雨が目立つようになったからか、今年になって「水魔」という単語が頻繁に聞こえてくるようになりました。

毎年豪雨が襲うことで、復旧する前にふたたび被害を受けるケースが少なからずあるようです。韓国は今月末まで梅雨が続くそうで、これ以上の被害が出ないことを願うばかりです…。

***

今日は以上です。

週末のあいだ、たくさんの方がクラウドファンディングにご協力してくださいました。達成率34%となっています。残り10日間、何とぞご協力お願いいたします。

それではまた明日、お届けいたします。

アンニョンヒケセヨ。ありがとうございます。(徐台教)

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