【デイリー・コリア・フォーカス】26年1月20日号
皆さまアンニョンハセヨ。韓国から徐台教です。
「デイリー・コリア・フォーカス」1月20日号をお送りいたします。
今月6日に日刊ニュースレターを始めて以降、少なくないメッセージをいただいております。
応援や要望といった嬉しい内容のもので、読むのが楽しみです。しかし、返信が全く追いついていません。一つ一つお返ししているので、少し気長にお待ちいただけると幸いです。
さて、今日の目次は以下の通りです。
あれ、三つ?と思われるかもしれません。
本来は五つでしたが、一つ目の記事が重過ぎて分量が増えたため、三つに減らしました。
現時点で「デイリー・コリア・フォーカス」用にストックしてある内容が八つあります。
少しずつ公開していきますね。
1. 「捕虜より自決」露ウ戦争で北朝鮮軍はどう戦ったか
2. 裁判所襲撃から一年、反省なき実行犯たち
3. 今日の時事韓国語「칼바람」
1. 「捕虜より自決」露ウ戦争で北朝鮮軍はどう戦ったか
私がふだん購読しているリベラル系日刊紙『京郷新聞』で20日、「ロシア・ウクライナ戦争、北韓軍派兵一年」という新連載が始まりました。
韓国で最も有名な国際紛争を専門とするジャーナリスト、キム・ヨンミさんによるウクライナ取材を土台にしたものです。全5回の連載が予定されているとのこと。
22年2月のロシアによるウクライナ侵攻から始まった戦争ですが、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)はこの戦争に24年12月から参戦しています。
根拠となるのは、24年6月にロシアのプーチン大統領と金正恩総書記が平壌で署名した「包括的戦略パートナーシップ条約」です。
この第4条に以下の様な内容があります。翻訳は北朝鮮の国営朝鮮中央通信によるものです(強調は私)
「双方のうち、一方が個別的な国家、または複数の国家から武力侵攻を受けて戦争状態に瀕する場合、他方は国連憲章第51条と朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の法に準じて遅滞なく自国が保有している全ての手段で軍事的およびその他の援助を提供する」
「国連憲章や法に準じて」という要件があるものの、第4条はいわゆる「自動介入」と見なされ、締結当時、大きな話題となりました。
ウクライナ軍は24年8月、ロシア領クルスク州の一部を占領しました。戦線の分散や、ロシアに対する交換カードとする目的からでした。
北朝鮮軍は、ここに派遣されたのです。
ロシアからはウクライナにより同州が武力侵攻されたと見ることができるからで、第一陣として1万3000人の北朝鮮軍がロシアに送られ、24年12月から戦場に姿を現します。
それから1年、戦場でウクライナ兵、ロシア兵が見た北朝鮮兵士の様子はどうだったのかが、冒頭の記事で赤裸々に語られています。
力の入った記事です。筆者撮影。
まず、クルスク州を占領したウクライナ軍の精鋭部隊第80空中強襲旅団所属の兵士は、初期に北朝鮮軍がウクライナ軍のドローン攻撃により大きな被害を受けたとします。
しかし戦線投入から2~3か月で、北朝鮮軍はこれに対する対策を身につけ「少しずつ進化した」(ウクライナ兵の発言)といいます。
また、戦場で北朝鮮軍と最も熾烈な戦闘を繰り広げたという、ウクライナの第225独立突撃大隊の下士官は、草むらに偽装したまま1.8キロを匍匐(ほふく)前進し、ウクライナ軍前方50メートルに現れ急襲した北朝鮮軍の練度の高さに言及しました。
キム記者が取材した、ウクライナ軍の捕虜となったロシア兵も、北朝鮮兵士がロシア兵よりも激しい訓練をしていたと証言します。
その苛烈さは、ロシア軍の教官も模範にするほどだったそうです。あるロシア軍捕虜は北朝鮮兵士が勇猛にたたかう姿を「ターミネーター」に例えています。
一方で、捕虜になる選択をせず、自決を選ぶ北朝鮮兵士の姿もまた、ウクライナ軍に強い印象を残したようです。
記事では前出の第225独立突撃大隊による、その詳細な証言を取り上げています。
負傷で動けない状態で、手榴弾を使いウクライナ兵を道連れにしようと自爆した兵士、生け捕りにされたものの腕の血管をみずから食いちぎり自決した兵士がいたといいます。
このような北朝鮮兵士の姿をウクライナ情報総局の報道官は「完全に洗脳された人たち。こんなに洗脳がひどいとは思わなかった」と評しています。
この報道官はさらに、北朝鮮軍がいかに危険な存在であるかを強調します。
「目標から400メートル離れた地点に着弾する」ミサイルもロシアの技術者により改良されたとし、「この新型が北朝鮮の倉庫に備蓄されている」と指摘します。
また「露ウ戦争で現代戦を学んだ北朝鮮兵士は、北朝鮮に戻り教官になる可能性がある」とし、「戦争の経験が北朝鮮の周辺国において大きな脅威となる」点を取り上げました。
第一弾はここまでです。
告白すると、非常に読むのが苦しい記事でした。
特にどうしても死にゆく北朝鮮兵士のことを想像してしまいます。今まで捕虜となった北朝鮮兵士は2人しかいませんでしたが、20歳と26歳という若者でした。
一方で、やはり現地に行ってこそ取材できる内容だとも思いました。
韓国籍保持者のウクライナへの渡航は全面禁止されており、無断での渡航は違法です。
キム記者は特別な許可を得て行ったのでしょうが、こういう取材をしなければと改めて思った次第です。今はもう少し我慢です。
2. 裁判所襲撃から一年、実行犯たちの今
一年前の25年1月19日未明、ソウル西部裁判所が襲撃に遭いました。
この日、同裁判所が尹錫悦氏への拘束令状を発付したためで、早くから裁判所を取り囲んでいた尹錫悦支持派市民の一部が暴徒と化しました。
彼らは入口を破壊し裁判所に侵入、尹錫悦の記録を消すためにサーバーやPCといった機器を破壊しようとし、令状担当裁判官の名を呼びながら裁判所建物を捜索します。裁判所に火を放つ人物の姿もありました。
裁判官は既に建物を出ていた後でしたが、残っていた職員は大きな恐怖にさらされました。
この過程で警察官50人あまりも負傷しました。血を流す警察官の姿は衝撃的でした。被害金額も約7000万円に達しました。
この一部始終は、襲撃した側により、YouTubeで生中継されるというおまけつきでした。
裁判所はソウル都心の麻浦区に位置し、はす向かいは麻浦警察署です。韓国の憲政史上、前代未聞の出来事であり、司法への武力行使が認められる場合に、社会は麻痺します。
政府と警察は「厳罰をもってこの大事件に臨む」と、カメラの前で何度も宣言しました。
左の大きな建物がソウル西部地方裁判所。写真は、昨年1月19日午後1時に筆者が撮影したもの。襲撃から数時間後であったが、現場はなお騒然としていた。
あれから一年、地上波『MBC』が19日に報じたところによると、この日まで141人が起訴されているとのこと。その半数は20代、30代の青年男性でした。
うち、判決が確定したのは63人で、実刑を受けたのは33人に過ぎないといいます。その中の約70%が懲役1年から2年未満、懲役2年以上の判決を受けたのは「10人だけ」と伝えました。
最も重い罪に問われたのは、放火を試みた人物で懲役5年の刑が確定したそうです。
また、執行猶予は29人、1人は罰金刑とのことでした。
執行猶予となった人物のほとんどは、「初犯」が情状酌量の理由となっているそう。
さらに『MBC』では、昨年1月の尹錫悦氏の身柄拘束をめぐる混乱期に有罪となった人物たちが、今も極右集会に参加し、市民を扇動する様子を取材しています。
彼らによって、前科は「勲章」でしかないようです。彼らは1980年5月の「5.18光州民主化運動も、当時は暴動だった」とうそぶき、反省する様子を全く見せていないとします。
こうした若者たちの背景には、尹錫悦一党の刑事裁判を弁護する弁護士たちの「妄言」も一役買っていると『MBC』は指摘します。裁判所襲撃を1919年の「3.1独立運動」に例える弁護士もいます。
報道ではこうした動きの出発点は、尹錫悦氏の「内乱」であったとし、それに対する断罪は一か月後に迫っているとしました。
2月19日にある、「内乱の頭目」裁判の一審判決のことです。
最高刑である「死刑」の宣告が欠かせない理由が、ここにも存在します。
なお、韓国は1997年12月以降、死刑が執行されていない「実質的死刑廃止国」です。
3. 今日の時事韓国語「칼바람」
今日は二十四節季で「大寒」にあたる日です。
その名にたがわず、韓国では歴代4番目となる強さの寒波が押し寄せています。日本でも同様で「最強・最長の寒波到来」というニュースが並んでいます。
私が住んでいる金浦も現在はマイナス7度、風があるので体感温度はマイナス10度を超えます。水曜日には首都圏の体感温度はマイナス24度になるといいます。
そこで今日の時事韓国語は「칼바람」。
「カルバラム」と読みます。칼(カル)は包丁や刀といった刃物、바람(パラム)は風です。
つまり、刃物のように顔や身体に突き刺さるほど、冷たい風を表現する言葉です。
気になって北朝鮮の天気も調べてみました。当然ですが南側よりも寒いですね。
今日は以上です。
皆さま、寒さにはくれぐれもお気をつけください。
心だけでも温かい一日となりますように。アンニョンヒケセヨ。(徐台教)
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