【デイリー・コリア・フォーカス】26年7月16日号

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徐台教 2026.07.16
誰でも

皆さま、アンニョンハセヨ。

今日は7月16日、木曜日です。豪雨の後のカンカン照りが、庭の雑草に生命を吹き込んでいます。今年は暇を見つけては草むしりをしてきたので、なかなかいい感じで庭を管理できていたのですが、降参の予感です。「人は自然には勝てない」という名言が脳裏をよぎりました。

今日の目次は以下の通りです。

1. 「自由で往来可能な2国家」が最多、韓国市民の統一ビジョンが最新世論調査で判明
2. 来年の韓国最低賃金は約1170円
3. 今日の時事韓国語「문송」

***

1. 「自由で往来可能な2国家」が最多、韓国市民の統一ビジョンが最新世論調査で判明

韓国市民は、朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)との南北関係をどう捉えているのか。

こんな調査は、年に何度も行われています。

最も信頼度が高いものとして、国策シンクタンク・統一研究院のものが知られています。他には、公営放送KBS(日本のNHK)や、やはり国策機関である民主平和統一諮問会議のものがあります。また、南北関係を進める政府部署・統一部の調査も定期的に行われます。

今日紹介するのは、このいずれにも当てはまらない、一般世論調査会社によるものです。そうとはいえ、信頼度が低いものではありません。しっかりした世論調査会社4社が合同で行う「NBS(全国指標調査)」というものです。

年にいちど定例的に行われており、今年は7月13日から15日まで、全国1000人の回答者から得られた内容を整理しました。

携帯電話への電話面接で行われ、応答率は16.4%、標本誤差は95%の信頼度水準で±3.1%です。これは同じ調査を100回行う場合、95%の確率で±3.1%の誤差の間に結果が収まるということです。

16日に発表された今回の調査で、南北関係に関するもの設問は三つありました。順に見ていきましょう。

(1)あなたは南韓と北韓が今後、どのように生きていくのが良いと考えますか?

「今後の南北の体制」と名付けられたこの項目では、以下のような結果が得られました。

・統一した単一国家:17%
・一つの国家の内に2つの体制:7%
・自由な往来が可能な2国家:41%
・現在と同じ2国家体制:28%
・分からない/無回答:6%

回答を整理したグラフ。左から2020年10月4週、22年7月2週、23年7月3週、24年7月2週、25年7月4週、26年7月3週となっている。赤色が最新のもの。項目は左から「統一した単一国家」、「一つの国家の内に2つの体制」、「自由な往来が可能な2国家」、「現在と同じ2国家体制」、「分からない/無回答」となっている。同調査レポートをキャプチャしたもの。

回答を整理したグラフ。左から2020年10月4週、22年7月2週、23年7月3週、24年7月2週、25年7月4週、26年7月3週となっている。赤色が最新のもの。項目は左から「統一した単一国家」、「一つの国家の内に2つの体制」、「自由な往来が可能な2国家」、「現在と同じ2国家体制」、「分からない/無回答」となっている。同調査レポートをキャプチャしたもの。

上記の画像を見ても分かるように、韓国市民の統一観はこの6年間一貫して、「自由で往来が可能な2国家」が最も人気を集めています。

背景には、現実的な韓国市民の認識があります。韓国市民にとって「統一国家」というのは、朝鮮を吸収することに他なりません。

まず、これが不可能である(=朝鮮は簡単には崩壊しない)という認識が、一般的になった点があります。

さらに2020年以降、新型コロナと朝鮮側の南北断絶路線への変更により、南北関係が根本的に変わった点が影響しています。

一方、「自由で往来が可能な2国家」が、2023年の58%から2026年に41%となっており、これに反比例するように、「現在と同じ2国家体制」が23年の12%から26年に28%へと増加している点にも注目です。

これは統一だけでなく、「自由で往来が可能な未来」への期待・認識が、次第に低下している状況を示しています。「今のまま変わらないのでは」という、一種の諦めのような認識が増えつつあると言えるでしょう。

***

年代別には、若者層であるほど「現在と同じ2国家体制」への傾きが強くなっています。

18〜29歳では40%と、「自由で往来が可能な2国家」の32%よりも高いのが特徴です。30〜39歳では37%で同率でした。明るい未来像を持てていないということです。

理念別に見てみましょう。

自身を「進歩」とした層は「統一した単一国家」20%、「自由な往来が可能な2国家」46%、「現在と同じ2国家体制」19%となっています。

他方、自身を「保守」とした層は、「統一した単一国家」13%、「自由な往来が可能な2国家」36%、「現在と同じ2国家体制」39%と、差があります。

これは、保守層にとって、現在の状況が「行き詰まり」と受け止められていると読み取ることができます。

繰り返しになりますが、韓国の人々にとっての統一は、韓国が無くなることを意味しません。

朝鮮も無くならない以上、今のまま(2国家)でいく他にはないのですが、その内容について進歩派層は「今よりも良い関係になる」ことに肯定的であると整理できるでしょう。

(2)あなたは現在、分断国家として暮らしている南韓と北韓が、必ず統一すべきと考えますか。

「統一への認識」と名付けられたこの項目では、以下のような結果が得られました。

・統一せず現在の状態で暮らしても良い:63%
・必ず統一すべきだ:33%
・分からない/無回答:5%

回答を整理したグラフ。赤線が「統一せず現在の状態で暮らしても良い」、灰色が「必ず統一すべきだ」、点線が「分からない/無回答」。左から2022年7月2週、23年7月3週、24年7月2週、25年7月4週、26年7月3週となっている。最下段は灰色が「尹錫悦政府」、黒色が「李在明政府」。同調査レポートをキャプチャしたもの。

回答を整理したグラフ。赤線が「統一せず現在の状態で暮らしても良い」、灰色が「必ず統一すべきだ」、点線が「分からない/無回答」。左から2022年7月2週、23年7月3週、24年7月2週、25年7月4週、26年7月3週となっている。最下段は灰色が「尹錫悦政府」、黒色が「李在明政府」。同調査レポートをキャプチャしたもの。

上記の画像にあるように「統一せず現在の状態で暮らしても良い」という回答が高い水準で推移しています。昨年よりも6%ポイント上昇しています。

年代別には、18〜29歳までが71%、20歳〜39歳が74%、40〜49歳が66%と、若い層で統一への認識が低くなっています。

一方、60〜69歳と70歳以上では「統一すべき」が41%と、18〜29歳の21%の倍近くありました。

「若者層では統一への思いが淡泊になっている」という特徴が確認できる内容となりました。

理念別では、自身を「進歩」とした層の39%が「統一すべき」を、58%が「現在の状態」を選び、「保守」層の同28%、同69%と差が出ました。

これも「統一への思いは進歩派の方が強い」という特徴に沿った内容となっています。

(3)北韓に対する人道的支援はどのように推進されるべきと考えるか

「北韓に対する人道的支援」と名付けられたこの項目では、以下のような結果が得られました。

・政治、軍事的な状況によって異なる形で推進:56%
・政治、軍事的な状況に影響を受けず推進:31%
・分からない/無回答:13%

回答を整理したグラフ。赤線が「政治、軍事的な状況によって異なる形で推進」、灰色が「政治、軍事的な状況に影響を受けず推進」、点線が「分からない/無回答」。左から2020年10月2週、点線を挟んで22年6月3週、23年6月4週、25年6月4週、26年7月3週となっている。最下段は灰色が順に「文在寅政府」、「尹錫悦政府」、黒色が「李在明政府」。同調査レポートをキャプチャしたもの。

回答を整理したグラフ。赤線が「政治、軍事的な状況によって異なる形で推進」、灰色が「政治、軍事的な状況に影響を受けず推進」、点線が「分からない/無回答」。左から2020年10月2週、点線を挟んで22年6月3週、23年6月4週、25年6月4週、26年7月3週となっている。最下段は灰色が順に「文在寅政府」、「尹錫悦政府」、黒色が「李在明政府」。同調査レポートをキャプチャしたもの。

ややこしい設問です。「異なる形」というのはいわば、支援に条件をつけるものです。「影響を受けず推進」というのが、いかなる時にも人道的支援を行うという立場になります。

年代別に見ると、若者世代では「異なる形」を好む傾向が明らかです。18〜29歳では67%、30〜39歳では70%にのぼります。

一方、「影響を受けず推進」という人道的な立場は、年配層に多い傾向があります。

50〜59歳では37%、60〜69歳では45%、70歳以上では34%と、平均の31%を上回りました。

一般的に「年配層であるほど保守的」と言われ、人道支援への思いも消極的と思われがちですが、この結果からは朝鮮住民の人道的状況に関心を持つ、年配層の姿が浮かび上がってきます。

もっとも、「異なる形」の中には、「良い時にはたくさん支援しよう」という考えも入っているようです。文在寅政府の時に65%となっていることから分かります。

(4)北韓は敵対と警戒の対象であると考えるますか?和解と協力の対象であると考えますか?

「北韓の対象認識」と名付けられたこの項目では、以下のような結果が得られました。

・北韓は和解と協力の結果である:49%
・北韓は敵対と警戒の対象である:42%
・分からない/無回答:8%

回答を整理したグラフ。赤線が「北韓は和解と協力の結果である」、灰色が「北韓は敵対と警戒の対象である、点線が「分からない/無回答」。左から2020年10月2週、21年5月2週、22年6月3週、23年6月4週、25年6月4週、26年7月3週となっている。最下段は灰色が順に「文在寅政府」、「尹錫悦政府」、黒色が「李在明政府」。同調査レポートをキャプチャしたもの。

回答を整理したグラフ。赤線が「北韓は和解と協力の結果である」、灰色が「北韓は敵対と警戒の対象である、点線が「分からない/無回答」。左から2020年10月2週、21年5月2週、22年6月3週、23年6月4週、25年6月4週、26年7月3週となっている。最下段は灰色が順に「文在寅政府」、「尹錫悦政府」、黒色が「李在明政府」。同調査レポートをキャプチャしたもの。

上記の画像を見ると、左端の2020年10月2週目から今回まで、両者の回答が拮抗しているのが分かります。

年代別の差異も明らかです。「敵対と警戒」について、18〜29歳は58%、30〜39歳は55%と全年代の中で唯一、平均より高い数値でした。若者であるほど「敵対と警戒」が強い傾向があります。

一方、40〜49歳は「敵対と警戒」31%、「和解と協力」61%、50〜59歳では同27%と同67%と、朝鮮への友好的な姿勢が明確でした。この世代は進歩派支持が7割に肉迫する、特徴ある世代です。

60〜69歳でも「敵対と警戒」40%、「和解と協力」56%と、平均よりも「和解と協力」が高い傾向がありました。

理念別に見ると、自身を「保守」とした層では「敵対と警戒」66%、「和解と協力」29%でした。反面、自身を「進歩」とした層では「敵対と警戒」23%、「和解と協力」74%と対照的な結果でした。

「北韓をどう受け止めるのか」が、韓国の保守と進歩を分ける境目である点は、今なお変わっていないようです。

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今回の調査結果の中で重要な部分として、「自由で往来が可能な2国家」という未来像の人気に陰りが見られる点があります。

もともとこれは、「統一された単一国家」というビジョンに代わるものとして、言い換えると「実質的な統一の形」として2000年以降、共有されてきたものです。

しかし、23年12月の金正恩氏による「南北敵対的2国家」宣言以降、韓国市民にとっては、これすらも難しく受け止められつつあるという事です。

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2. 来年の韓国最低賃金は約1170円

韓国で14日、来年(2027年)の最低賃金が時給10700ウォンになることが決まりました。今日のレートでは約1170円となります。今年よりも380ウォン、3.7%上昇した形です。

決めたは「最低賃金委員会」です。同委員会の公益委員は1万600ウォンから1万860ウォンの間を審議区間として提示しました。これは実質的な政府案です。

一方、勤労者(被雇用者)委員は1万730万ウォンを、使用者(雇用者)委員は1万700ウォンを最終案として提出。投票の結果、1万700ウォンとなりました。

政府機関「最低賃金委員会」HPに掲載されている、2026年適用最低賃金。上から順に、時給、日給、月給となります。同委員会HPよりキャプチャ。

政府機関「最低賃金委員会」HPに掲載されている、2026年適用最低賃金。上から順に、時給、日給、月給となります。同委員会HPよりキャプチャ。

一連の過程について、保守紙・東亜日報と、リベラル紙・京郷新聞は16日付の社説で「問題がある」と指摘しました。

今年は最低賃金委員会が発足して40年目にあたりますが、現在の公益委員9人、勤労者9人、使用者9人という構成では、「意味のある議論が不可能である」(東亜日報)という内容です。

公益委員が政府案を出し、それを勤労者と使用者が受け入れる形では、結局、政府主導となる他にないからです。

フランスや英国のように、独立した団体が調査の上で最低賃金を決めるべきという指摘がありました。それでこそ、信頼度が上がるということでした。

韓国では今年、物価が前年比3%台の上昇を続けています。3.7%上昇は当然と考えることができますが、より良い形で最低賃金を決めるべきという問題意識は重要です。政府は改善策を出せるのでしょうか。

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3. 今日の時事韓国語「문송」

「ムンソン」と読みます。本来は「문송합니다(ムンソンハムニダ)」という言葉ですが、その略語となります。

実は「문송합니다(ムンソンハムニダ)」も略語です。「인문계(インムンゲ、人文系)」と「죄송합니다(チェソンハムニダ、ごめんなさい)」を合わせた言葉です。

つまり「人文系おことわり」という意味です。

この言葉は、理工系が有利な現在の韓国の就職市場を表す言葉です。しかし16日付の京郷新聞によると、大企業「ヒョソン(暁星)」が人文系だけを対象とした採用公告を出したそう。1966年の創業以来はじめてのことと記事にはありました。

背景としては、同社が世界30か国で事業を展開する点や、AI(人工知能)時代において人文学的思考力が重要になっている点があると同記事では指摘しています。

ムンソン、面白い言葉ですね。

京郷新聞の該当記事。クリックで記事ページに飛びます。

京郷新聞の該当記事。クリックで記事ページに飛びます。

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今日は以上です。ちょっと長くなってしまいました。

クラウドファンディングも終了まであと2週間となりました。これまでご支援いただいた方も、また、ご支援を考えている方も、いま一度ご自身のSNSなどを通じ、クラウドファンディングを宣伝していただけると幸いです。

それではまた明日。今日もありがとうございました。アンニョンヒケセヨ。(徐台教)

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