【デイリー・コリア・フォーカス】創刊号をお送りいたします
皆さま、アンニョンハセヨ。韓国から徐台教(ソ・テギョ)です。
昨年は身内に不幸があり、新年のご挨拶を控えさせていただいていますが、今年も何卒よろしくお願いいたします。
(なお、そのいきさつは昨年12月30日の下記記事に詳細に記しておきましたので、未読の方はぜひご覧ください)
●「デイリー・コリア・フォーカス」始めます
突然ですが今日から「デイリー・コリア・フォーカス(以下、DKF)」を始めます。
こちらは、月曜日から金曜日までの毎朝、韓国を中心とする朝鮮半島に関するニュースをメールでお届けするものです。
トピックの数は5つ程度で、一般記事や社説、コラムなどを一つあたり400字程度で私が要約しお伝えします。
当面は無料でお届けいたしますので、朝鮮半島理解にお役立てください。
現在は私ひとりでの運営となるため、形式が整うまで試行錯誤があるかもしれませんが、長い目でご覧いただければと思います。
それでは第一回、26年1月6日号をご覧ください。目次は以下のようになります。
1. 韓国、ベネズエラ情勢への対応に苦慮
2. 李在明・習近平会談は順調に終わる
3. 国民的俳優・安聖基(アンソンギ)死去
4. 金正恩氏の一挙手一投足に集まる注目
5. 「尹アゲイン」をゲットー化せよ
6. 今日の時事韓国語
1. 韓国、ベネズエラ情勢への対応に苦慮
1月3日未明に米国により行われた、ベネズエラのマドゥロ大統領の拘束。
グテレス国連事務総長も「国際法の規則が尊重されず、深く懸念する」と表明しているように、主権侵害であるという見方が一般的です。
しかし韓国政府はこれまでのところ、李在明大統領はじめ「邦人(在ベネズエラ韓国人)保護」を第一に掲げ、「国際法違反」といった価値判断を避けている状況です。
外交部(日本で言う外務省)が対応に当たっていますが、4日、報道官は以下のように声明を出しています。
(1) わが政府は最近のベネズエラの状況を鋭意注視している。
(2) わが政府は域内の緊張を緩和するため、あらゆる当事者たちが最大限の努力を傾けることを求め、ベネズエラの国民たちの意志が尊重される中で、民主主義が回復し、対話を通じベネズエラの状況が早くに安定することを望む。
(3) わが政府はベネズエラに滞在中のわが国民の安全確保のために万全を期している。
5日には、外交部でベネズエラ現地在外公館と共に合同状況点検会議がありましたが、そこでも「邦人の保護」に重点が置かれました。
他に財政経済部の主宰の会議では国内の金融市場や実体経済への影響は「限定的」と評価されています。
韓国政府が踏み込んだ発言を避ける背景には、トランプ大統領の機嫌を損ねてはならないという認識があるのでしょう。
トランプ氏に正面きって楯突く場合、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)との交渉推進や、長きにわたりようやくケリをつけた関税交渉、そして悲願の原潜建造といった点に悪影響が出る可能性があります。そうなると、李在明政権の支持率に大きな影響が出ることは必至です。
2. 李在明・習近平会談は順調に終わる
4日から訪中している李在明大統領は5日、北京で中国の習近平首席と首脳会談を行いました。今回は国賓での訪問です。
昨年11月1日に、韓国・慶州(キョンジュ)で行われたAPEC(アジア太平洋経済会議)首脳会議の際に、首脳会談を行って以来となる会談となりました。
大きなテーマは二つありました。
一つは韓中関係の復元です。中国と韓国の関係は、2016年に韓国が国内に米国のTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)を配備して以降、低調なままの状態が続いているとされます。
特に、日米韓の結束を強調し、それを実質的に進めた尹錫悦政権下で関係悪化が進みました。
高市首相の「存立危機事態」発言に対する中国の反応として例に出された「限韓令」の継続がその一例で、今なお韓国文化は中国で十分に拡散できない状況が続いています。この改善、つまり韓中関係を正常なものに戻すことが大切なテーマとなっています。
この点において、今回の会談では知的財産権をはじめとする産業・経済でのMOU(覚書)が結ばれるなど進展があったと、青瓦台(大統領府)は伝えています。
この日、李在明氏は首脳会談を控えた冒頭発言で「今回の首脳会談は2026年を韓中関係が全面復元する元年にする上で重要な契機となる」と位置付けています。
もう一つは、朝鮮半島の平和と安定です。中国が今なお北朝鮮に対し影響力を行使できるという認識の下、「建設的な役割」を求めるものですが、これを中国が行う意志があるとしたと、韓国政府は明かしています。
なお、北朝鮮の非核化に関する公開された発言はありませんでした。
5日晩、李在明大統領のXアカウントに投稿された写真。昨年11月の首脳会談の際、習近平主席にプレゼントされたシャオミ社製のスマートフォンで写真を撮っている。大統領室提供。
李在明大統領は4日の現地韓国人との晩餐会で「私の訪問が両国の新たな30年を設計する里程標となるだろう」と強調しています。
また、前出の冒頭発言では中国との関係を「国権が奪われた時期には、国権の回復のために共に手を取り合い闘った関係」としました。これは大日本帝国による植民地時代を指しての話ですが、なかなか意味深な発言かもしれません。
両首脳ともに、今回の首脳会談で「より多く往来する」という点で共通の視点を示しました。あくまで韓米同盟に軸足を置きつつ、中国との関係を強化する姿勢は李在明政権下で続くことでしょう。
3. 国民的俳優・安聖基(アンソンギ)死去
5日朝、国民的俳優・安聖基(アンソンギ)さんが亡くなったという悲報が韓国を覆いました。74歳でした。
安聖基さんと言えば、子役時代から約70年にわたり映画界で生きてきた俳優であり、その歩みが韓国映画史の一つとなっている人物です。日本のSNSでも哀悼の言葉が多く見受けられましたが、韓国映画の「顔」と言える数少ない人物の一人でした。
日本語でも良い記事があったので、リンクしておきます。
安聖基さんと言えばそのはにかんだような微笑が印象的ですが、厳しい現代史を歩んだ韓国社会の中で、ああした顔で笑う存在というのは、それだけで貴重だったのかもしれません。
特に殺伐さが激しくなる一方の現在ではなおさらで、その点が死去を惜しむ大きな声につながっているのではないでしょうか。
いくつも名作がある方ですが、一般的な映画鑑賞者である私のイチオシは『ラジオスター』(06年)です。公開時に韓国の映画館で観たのですが、近日中に見直す予定です。人の死は寂しいですね。
写真は、釜山国際映画祭のFacebookアカウントからの引用です。
4. 金正恩氏の一挙手一投足に集まる注目
ベネズエラ・マドゥロ大統領の拘束を受け、真っ先に北朝鮮の金正恩氏のことが思い浮かんだ方も多かったことでしょう。
同じようなこと、つまり敵の大将を討ち取る「斬首作戦」と呼ばれるものを、米韓が準備していることを知らない者はいないからです。
すぐに北朝鮮も反応しました。
4日、国営の朝鮮中央通信によると、外務省の報道官は「これまで国際社会が長いあいだ数多く目撃してきた、米国の不逞の輩的で野獣的な本性を今一度、明確に確認できる一つの事例」とこれを位置付け、「ベネズエラで敢行された米国の覇権行為は、最も厳重な形態の主権侵害である」と警戒を強めています。
さらに4日午前、北朝鮮は弾道ミサイルの「発射訓練」を行いました。5日の同通信によると、これは極超音速ミサイルで、金正恩国務委員長も訓練を参観していたとしました。
同氏はこの際に「戦略的な攻撃手段の常時動員性とその致命性を、敵に対し絶えず、そして繰り返し認識させることが戦争抑止力の行使に重要で効果のある方式の一つ」と明かしています。
また、その必要性について「最近の地政学的な危機と多端な(複雑な)国際的な事変が説明している」と述べています。ベネズエラの一件が影響していると読める部分です。
では、ベネズエラでの「斬首作戦」は今後の米朝関係にどんな影響を及ぼすのでしょうか。専門家により見方はまちまちです。
対話は遠のいたという見方の他に、米国の武力使用に圧力を感じた金正恩氏が対話に乗り出す可能性が高まったという視点もありました。
どの見方にせよ、「金正恩氏がこれまでよりも核兵器への執着を強める」という結論は共通しています。
この事は結局、非核化と平和の交換という従来の米朝対話の枠組みが破綻していることを、改めて示しています。どうなるのかは分かりません。
5. 「尹アゲイン」をゲットー化せよ
今日の最後は、コラムの紹介です。5日付けの韓国のリベラル紙『京郷(キョンヒャン)新聞』に掲載されています。同紙の政治部長カン・ビョンハン氏によるもので、タイトルは「‘尹アゲイン’をゲットー化する方法」です。
内容は、李在明大統領が保守派の人士を積極的に登用することで、「尹アゲイン」、つまり尹錫悦前大統領の失敗を認めない勢力を周辺化させていこうというものです。
李在明氏は近ごろ、李恵薫(イ・ヘフン)前議員を企画財政処の長官候補として指名しました。
同処は従来の「企画財政部」が李在明政権下で「財政経済部」と「企画財政処」に分割することで生まれた部署です。08年2月の統合以来、18年ぶりに再び分かれることとなりました。
「財政経済部」は政策樹立を、「企画財政処」は国家発展戦略と予算を編成・執行する部署で、いずれも重要なものです。
長官に指名された李恵薫氏は、最大野党・国民の力で議員を三期にわたって務めた人物で、経済学博士号を持つ経済通として知られる人物です。
国民の力は李恵薫氏をすぐに除名する過敏な対応を見せました。一方、尹錫悦氏の非常戒厳を擁護してきた李恵薫氏は、すぐにこれを過ちと認め謝罪しました。
この人事は、李在明大統領が新年の挨拶で「国民の統合こそが最も重要で至急な課題」であると明かしていることと関係してると見られています。
コラムではこのように、保守派の人士を一人一人ひきはがすことで、強硬に尹錫悦の失敗を認めない勢力を弱体化させようと主張しています。
同様の主張は過去にも、「韓国の民主主義を守る方法」として別の専門家などから提示されていました。
本コラムは強大な人事権を持つ李在明氏が保守派人士の採用に本腰を入れ始めている今、世論を後押しする内容と言えそうです。
6. 今日の時事韓国語「한밤중」
マドゥロ大統領の拘束が行われた時間帯、つまり「未明」を指す言葉です。「ハンバムチュン」と読み、韓国の辞書では「0時を前後する深い夜中」とされます。
時事ではないかもしれません(笑)
今日は以上です。
初めてということで少し長くなってしまいましたが、明日からは分量をコンパクトにまとめます。
なお、今週からオリジナルのYouTubeチャンネルで毎週一度、配信を始めます。
こちらは「ウィークリー・コリア・フォーカス(WKF)」となります。今のところ土曜日(1月10日)を予定しております。またお知らせいたします。
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それでは明日またお会いしましょう。良い一日をお過ごしください。(徐台教)
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