【デイリー・コリア・フォーカス】26年7月7日号

皆さま、アンニョンハセヨ。
今日は7月7日、火曜日です。七夕ですね。
韓国にも織姫と彦星が登場する七夕があります。ちょうどいい投稿をXで見かけたので、貼り付けておきます。
ただし、韓国の七夕は旧暦なので、この投稿は正確ではありません(笑)。

韓国観光公社のXをキャプチャ。
ということで、今日の目次です。
1. 「韓国側では同意が約7割」日韓共同経済圏へ高まる期待
2. フェイクニュースへの罰則強める法が施行…「言論の萎縮につながる」憂慮
3. 今日の時事韓国語「고배」
1. 「韓国側では同意が約7割」日韓共同経済圏の必要性を問う世論調査が話題…日本は?
まずは、なかなか興味深いニュースからです。
142年の歴史を持ち、韓国の経済界を代表する組織のひとつ「大韓商工会議所」が委託し、韓国の世論調査機関が実施した世論調査によると、韓国と日本双方の市民の多くが、日韓が「経済共同体」を構成することに賛成しているとのことでした。
今日7日、「大韓商工会議所」が発表した内容によるもので、韓国各紙が報じています。なお、私はこのプレスリリースを受け取っておらず、いつ行われた調査なのかは、今も分かりません。おそらく最近おこなわれたものと思われます。
私は日ごろ、世論調査に関する記事を書く際にある原則を設けています。それは、▲記事用に省略された設問内容ではなく、実際の設問内容を引用すること、▲いつ行われた調査であるのかを正確に記すこと、▲誤差の範囲について説明すること、といったものです。
しかし今回の世論調査については、このいずれも不明です。分かっているのは、韓国側500人、日本側500人にそれぞれ聞いたという点だけです。こうした前提で、韓国メディアを参考に書いていきます。
まず、「EU(欧州連合)と同じ形態の韓日経済共同体の推進」についての設問では、韓国側では「早くに推進する必要がある」17.2%、「中長期的に推進する必要がある」52.6%、「必要性には共感するが、基本的には反対」20.6%、「必要性に共感せず積極的に反対」9.4%でした。
この結果から、「韓国の国民の69.8%が賛成している」と大韓商工会議所は発表しているようです。なお、日本側の回答では「59.8%が賛成の意思を明かしている」とされ、その内訳は分かりません。
また、日本側の回答者のうち、最近5年以内に韓国を訪問したことのある層が経済共同体に賛成した比率は74.5%で、訪問経験のない層では45.4%が賛成していたそうです。

大韓商工会議所の崔泰源(チェ・テウォン)会長。韓国の財界2位のSKグループを率いる人物でもある。熱心な韓日経済共同体推進論者としても知られる。大韓商工会議所より引用。
次に、観光分野です。
「韓日の観光協力の拡大」については、韓国の76.8%、日本の58.0%が賛成したそうです。
また、「旅券無しで、住民登録証などの身分証だけで両国を行き来できるようにする方案」については、韓国側の60.4%、日本側の44.8%が賛成しているとのことです。旅券もビザもいらない方式です。「反対」という回答は韓国32.8%、日本35%だったそうです。
なお、日本の共同通信にあたる聯合ニュースの記事では「韓国の国民」60.4%、「日本の国民」44.8%と書かれています。
報道資料をコピペしているのでしょうが、正確には「韓国側の回答者」、「日本側の回答者」とすべきでしょう。大企業に弱い(?)韓国メディアらしい記述です。
一方、韓日版のシェンゲン条約といえる「ビザの相互認定制度」、つまり、日本に入国できるビザを持っている外国人が、韓国も訪問できるようにする制度ですが、これについては韓国側が賛成50.0%・反対45.2%である反面、日本側では賛成34.6%・反対38.6%と反対が上回りました。
聯合ニュースによると、両国の賛成理由としては「外国人観光客増加による内需の活性化への期待」があり、反対理由としては「外国人の不法滞在・就業者増加への憂慮、国内の治安への不安および犯罪の増加」があったそうです。
なお、これもやはりプレスリリースにあるようですが、昨年7月に大韓商工会議所による研究の結果、「ビザの相互認定制度」が導入される場合、韓国への訪問者が184万人上乗せされるとのことです。
記事として公開されているのはここまでです。
明日、具体的な資料を手に入れるので、その後記事を書き直しますが、いずれの項目においても、韓国が日本との関係強化に肯定的であるのが印象深いです。
なぜでしょうか。それはやはり、閉塞感ではないかと思います。
2025年、日本を訪れた韓国人は延べ945万人にのぼります(日本→韓国は365万人)。
二大政党制、保守と進歩の対立、南北分断、首都圏一極集中といった息苦しさ、拡張性に限界のある韓国の状況を改善(打破)する一つの方策として、日本を念頭に置いているのではないでしょうか。
あくまで想像ですが、私自身、そうした思いがあるのは事実です。
2. フェイクニュースへの罰則強める法が施行…「言論の萎縮につながる」憂慮
韓国では今日7日から、「情報通信網の利用促進および情報保護などに関する法律」の改正案が施行されました。
韓国メディアでは一般的に、この改正案に「不法・虚偽・操作情報の流通防止のための」という枕詞が付けています。このため、韓国では「虚偽操作情報根絶法」とも略されていますが、本記事では「改正情報通信網法」とします。これでも長いですね。
さて、この法律については、韓国記者協会や私も所属するソウル外信記者クラブ(SFCC)などが相次いで、憂慮する声明を出しています。どういうことでしょうか。
改正案の中身から見ていきます。
その骨子は「故意に虚偽の事実を広めたり、造作(でっちあげ)された情報を流通させる行為に対し、懲罰的な損害賠償責任を負わせる」(ハンギョレ)というものです。
また、「そのような掲示物に対し、プラットフォームが削除・遮断できるようにする」(京郷新聞)内容も含んでいます。
いわゆるフェイクニュースへの対策としての法律で、今年1月に法律が改正されました。半年間の猶予期間を置いて、7日に施行された次第です。なお、同法は与党・共に民主党主導の下で作られています。
法案の特徴としては、流通が禁止される「不法な情報」の範囲が広がった点にあります。
まず、「嫌悪表現」が新たに追加されました。法案ではこの部分を以下のように整理しています。
公然と人種、国家、地域、性別、障害、年齢、社会的な身分、所得水準または財産の状態を理由に、特定の個人や集団(該当する集団に所属する個人を含む)に対する、次の各目のどれか一つに該当する内容の情報
カ. 直接的な暴力や差別を扇動する情報
ナ. 憎悪心を深刻に助長し、特定の個人や集団の人間としての尊厳性を顕著に毀損する情報
もう一つは、「虚偽・造作情報」です。これは同法で以下のように定義されます。
誰しも次の各号に該当する事実を知りながらも、損害を与える意図、またた不当な利益を得る目的で、他人の人格権や財産権、または公共の利益を侵害する情報として、次の各号のどれか一つに該当する情報(以下、“虚偽造作情報”とする)を情報通信網を通じ、流通させてはならない。ただし、風刺とパロディは除外する。
1. 内容の全部または一部が虚偽である情報(以下、“虚偽情報”とする)
2. 内容を事実として誤認するよう変型された情報(以下、“造作情報”とする)
そして法案では、言論社(メディア)やユーチューバー、インフルエンサーなど、こうした情報を「掲載する人物」に対し、こうした情報による損害に基づく損害賠償を求めることを可能にしています。
また、大規模プラットフォームといった、こうした情報を「流通させるサービス提供者」に対し、申告(意見申し立てや指摘)がある場合には、該当情報を削除するといった措置を求めています。
ここまで見る場合、真っ当な法律に見えます。人格を傷つけ、虚偽をばらまくような情報が社会を傷つけ、儲けを生み出すいびつな状況はどう見ても問題です。
フェイクニュースが儲かるというのは、日本にいる読者の皆さんも納得でしょう。こうした動きに一刻も早く対処が望まれます。
しかし一体なぜ、メディア団体をはじめ、韓国の代表的なアドボカシー(政策提案)NGO「参与連帯(PSPD)」といった、与党や李在明政権と同じ進歩陣営までこぞって反対しているのでしょうか。
それは、「嫌悪・虚偽・造作」といった判別において、政府の恣意的な判断が入る可能性があるためです。
特に、上記の判断を行う際に、大統領直属機関の「放送メディア通信委員会」の影響がどこまで及ぶのかが争点となっています。
同委員会みずからが今月3日の報道資料の中で明かしているように、「サービス提供者(ポータルサイトなど)」が情報を判別するとしていますが、その際に、ファクトチェックを行う「事実確認団体」と協力することになっています。
これは同委員会とは無関係であるため、「政府の判断が入る可能性」がないと否定します。しかし、これらの団体が政府から補助金を受け取っている場合はどうするのか、影響がないと言えるのかという疑問は残ります。

「放送メディア通信委員会」のトップページ。左側のバナーには「情報通信網法に関する誤解をただします」と書かれている。政府が気にしているのが分かる。7日午後キャプチャ。
一方で「参与連帯」は、同委員会がこれまで政権の走狗となり、メディアの報道を「有害」と判断してきたことを指摘しながら、今回の法案により、より広範囲に同委員会の影響が及ぶのではないかと危惧しているのです。
さらに、結果として「サービス提供者」が情報の取捨選択を行うことができるようになる点や、記事の対象となった有力政治家や政党から「申告」が相次ぐことが、メディアへの圧力につながるといった問題が存在するのです。「申告」は誰でもできる点も問題です。
なお改正法では、虚偽と分かっていながらも故意に情報を発信したり、不当な利益を得る目的があったというような「前提」を問うています。
そうとはいえ、韓国で過去、独裁・権威主義的な政権がメディアの報道に不当に干渉してきたことを想起させることから、改正法は「メディアを萎縮させる」と解釈されています。
こうした問題点は昨年末に同法が国会で採択される当時から指摘され、「何が嫌悪・虚偽・造作情報に当たるかのガイドラインをより詳細に定めるべき」とされきてきましたが、半年間、放置されたまま法の施行に至りました。
例えば、メディアによる問題提起を受けた政治家や企業などが、損害賠償裁判で負けることが分かっていながらも、「口封じ」のために裁判に乗り出すことをどう防止するのかという点も、何ら補完されませんでした。
同法への批判は「政府による検閲」という事実に基づかないものから、「表現の自由を萎縮させる」もしくは、「メディアによる問題提起機能を低下させ、国民の知る権利に悪影響を与える」という妥当なものまで多岐にわたります。実際に、複雑な議論となっています。

声明文の内容を伝える韓国記者協会のHP。「情報通信網法、言論の萎縮は不可避…保護装置を補完すべき」とタイトルにあります。7日キャプチャ。
冒頭の韓国記者協会の声明文では、「法の目的が正当であっても、その執行過程で言論と市民の自由な批判と監視機能を萎縮させる結果を生むならば、民主主義の根幹を毀損する可能性がある」と言及しています。
さらに、「虚偽情報に対する対応は、憲法的な基本権と民主主義の土台の下に行われるべきで、過度の規制は、別の副作用を生む可能性がある点を決して看過してはならない」とも指摘します。
いずれにせよ、法案は施行されました。
今後、様々な問題点が提起され、対処もされるでしょう。しかし、長々と書いてきた問題を「与党が黙殺してきた」という事実は動きません。長期的に見る場合、与党の足を引っ張る結果となるでしょう。より議論を重ねるべきでしたが、残念です。
なお、「カカオトークの内容も罰則の対象」といった陰謀論が出回っているので、だまされないようお気をつけください。
3. 今日の時事韓国語「고배」
「コベ」と読みます。漢字では「苦杯」となります。
6日(現地時間)、カナダのマーク・カーニー首相は、同国の次世代潜水艦導入事業における優先交渉対象者を、ドイツのTKMS(ティッセンクルップ・マリン・システムズ)とすると明かしました。
総額6兆円以上とされる同事業については、韓国のハンファオーシャンが最後まで競っていました。韓国政府が全面的なサポートを行っていたため、落選の一報を韓国の各メディアは「苦杯」という言葉で表現していました。
これについては、李在明大統領はじめ、青瓦台、防衛事業庁などが相次いでコメントを出すなど、防衛産業が国家基幹産業として根付いている韓国の有り様を浮き彫りにしています。
折しも李大統領が兵器の売り込みのために、トルコで行われるNATO首脳会談に参加するとしています。
今回の落選の背景には、ドイツとカナダという「NATOつながり」が優先されたという分析があります。これを受け韓国メディアではさっそく「NATOで契約を取るためにはどうすればよいのか」という論調が盛んです。
しかし果たしてそれでよいのでしょうか。韓国はどこに向かっているのでしょうか。一度胸に手を当てて考えてみるべきでしょう。カネカネカネの社会です。これについては別途まとめます。
今日は以上です。5000字を超えてしまいました。
今はニュースレターと並行して、今後どのように仕事を進めるべきかの計画を、練りに練っています。
私自身の専門分野である「朝鮮半島問題」を掘り下げること(これについては世界屈指と呼ばれるほどになりたい欲望があります)と、メディアとしての「コリア・フォーカス」の役割を拡大すること(平和を実現することです)の間で、毎日、身もだえするほど悩んでいます。
しかし今は、クラウドファンディングを通じ、この両方を実現するというのが目標です。毎日、宣伝ばかりで恐縮ですが、クラウドファンディングへのご支援と拡散をよろしくお願いいたします。
それではまた明日、お送りいたします。
アンニョンヒケセヨ。ありがとうございます。(徐台教)
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