【デイリー・コリア・フォーカス】26年10月8日号[韓国政治社会]:映画をめぐり拡散する陣営対立、兵役免除は時代遅れ?、若者の不安など

皆さま、アンニョンハセヨ。今日は10月8日、木曜日です。今日のメイン執筆者は朴眞煥(パク・ジンファン)さんです。
今日の目次は以下の通りです。
(1)李大統領の支持率は30%台、保守派はヒット映画をめぐり「歴史歪曲」と猛批判
(2)金メダルは何のため?「兵役特例」の見直し議論が広がる
(3)創刊80周年の京郷新聞、ふたたび若者の「今」を特集…キーワードは‘不安’
(4)今日の時事韓国語「에너지」
1. 李大統領の支持率は30%台、保守派はヒット映画をめぐり「歴史歪曲」と猛批判
李在明大統領の支持率低迷が続いています。支持率回復を念頭に置いたのでしょうか。先月18日、李大統領は記者会見を開き、自ら国民に説明しましたが、その効果は限定的なようです。
世論調査機関、リアルメーターが5日に発表した調査では、支持率は37.4%で前週から0.5ポイント下がりました。支持しないは59.8%でした。日々の変化を見ると、会見後には支持率が上向いたものの、まだ低迷から抜け出せない状況が続いています。
保守野党がこのチャンスを逃すはずがありません。保守系の最大野党・国民の力は、李政権への攻勢を強めています。
ウクライナが朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)の捕虜2人を韓国に送ったと公表したことに対し、韓国政府は非公開とする合意に反したとして謝罪を要求しまた。
これに国民の力の張東赫(チャン・ドンヒョク)代表は「韓国の大統領なのか、金正恩の秘書室長なのか」と批判しました。
また、先月21日に南北軍事境界線の南側で起きた地雷事故で韓国軍3人が負傷した事故では、現場調査が遅れたと批判し、隠蔽の疑いがあると主張しました。
歴史問題も攻勢の材料となって、進歩と保守がお互いを批判しています。それが、先月公開された映画『暗殺者(たち)』(「암살자(들)」)です。
1974年に朴正熙(パク・チョンヒ)大統領の妻・陸英修(ユク・ヨンス)氏が銃撃されて亡くなった事件を題材にし、事件の背後を追う内容の作品です。
複数の韓国メディアによりますと当時の捜査当局は、朴大統領を狙った在日コリアン・文世光(ムン・セグァン)氏の銃撃で大統領婦人が死亡したと結論づけました。
しかし、映画は事件に朴大統領側が関与した可能性を描いています。ただ、誰が背後にいたかを断定する内容ではありません。保守野党は批判を強めているのは、この「朴大統領側が関与」という仮説です。
先月27日に批判を打ち出したのは、元検事で尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の側近の一人、国民の力の朱晋佑(チュ・ジヌ)議員です。
朱議員は自身のSNSで「映画的想像力ではなく、遺族の胸を引き裂く非道な犯罪だ」と主張。張代表も29日、SNSに「左派の拠点を一掃し、自由民主主義を守る」と発言しました。
国民の力の幹部は上映中止を求め、4日からは保守系団体などが出演俳優ユ・ヘジン氏の自宅前で連日抗議活動を行なっています。
政府も黙ってはいません。崔輝永(チェ・フィヨン)文化体育観光相は5日、「創作者の身を脅かすことは民主主義の破壊だ」として、警察に安全確保などを求めました。
また、与党・共に民主党のある議員は「映画が歴史をゆがめたのではなく、政治が映画をゆがめた」と批判し、映画をもう一度見ようと呼びかけていると、韓国メディアが報じています。

映画『暗殺者(たち)』主演のユ・ヘジンさんと、同氏への悪意ある行為に対し厳正に対応すると明かした所属会社VASTエンターテイメントの声明文。いずれも同社のInstagramより引用。
2. 金メダルは何のため?「兵役特例」の見直し議論が広がる
愛知・名古屋アジア大会は閉幕しましたが、韓国では騒ぎが続いています。特に、日本に勝利し4連覇を果たした男子サッカー代表の言動が物議を醸しています。
主将のイ・ギヒョク選手は競技後のインタビューで「僕は軍隊に行きません」と喜び、パク・スンス選手は試合後、除隊時にかぶる帽子を着けた自身の写真をSNSに投稿しました。さらに、ヤン・ミンヒョク選手は「兵役免除のために試合に臨んだ」と競技後のインタビューで述べました。
韓国では五輪のメダリストとアジア大会の金メダリストは、現役兵として服務する義務が免除されます。1973年に導入されたいわゆる「兵役特例制度」です。今回は兵役を終えた3人を除く20人が恩恵を受けます。
他方、K-POPなどの音楽は対象外で、世界に名を馳せるBTSも兵役に就きました。なおBTSのメンバーは兵役に就く意思を示していた一方、政治側では特例を認める法改正について長く議論が続いていました。

アジア大会男子サッカー優勝を伝える、大韓サッカー協会のWebバナー。同協会より引用。
今回の一件について、韓国のネット空間では「兵役免除のためだったなら、応援する理由がない」との批判が広がっています。一方、国民の力の羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)議員はBTSを挙げ、「問題は選手ではなく古い制度だ」と指摘しています。選手たちは謝罪しましたが、議論は制度の見直しへと進んでいます。
国防省も6日、芸術・体育分野に「兵役免除」の縮小・廃止を国防改革計画に盛り込む方針を示しました。
一部の選手の言動からは、「国家代表」としてよりも「自分のため」に戦ったという印象が残ります。しかも、税金を使って。こんな不平等があってもいいのでしょうか。これでは、兵役の義務はますます正当性を失います。
3. 創刊80周年の京郷新聞、ふたたび若者の「今」を特集…キーワードは‘不安’
私(朴眞煥)がコラムを連載している韓国のリベラル紙・京郷新聞が6日、創刊80周年を迎えました。
記念企画として、1面から4面に若者をテーマにした特集を掲載しました。なんと、1面は全面が「若者生存マニュアル」という漫画でした。斬新な試みです。
特集のキーワードは「不安」です。同紙の10年前の企画では、就職難などに対する若者の怒りを伝えていました。
当時の流行語は「ヘル朝鮮」でした。韓国を地獄に例えた言葉です。不平等な社会構造が、若者を厳しい現実に追い込んでいるという認識が背景にありました。
10年が過ぎた今、その怒りが「不安」に変わったと記事は語っています。
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