【デイリー・コリア・フォーカス】26年1月9日号
皆さまアンニョンハセヨ。韓国から徐台教(ソテギョ)がお送りする「デイリー・コリア・フォーカス」です。
長い!このままでは積読となる読者が増えるぞ!というアドバイスを、幾人もの方からいただきました。確かに昨日は5000字くらいあり、長いなという印象でした。
このため3000字に文字数を減らしました。読みやすさを比べてみてください。
今日の内容は以下の通りです。
1. 韓国市民の81%「政治の分裂が深刻」
2. 駐韓米国大使、続く空席
3. サムスン電子、過去最高益
4. チェジュ航空大惨事「全員生存あり得た」
5. 今日の時事韓国語「갈등」
1.韓国市民の81%「政治の分裂が深刻」
韓国で重要な世論調査の結果が発表されました。
リベラル系日刊紙『京郷新聞』と保守系日刊紙『中央日報』、そしてソウル大の国家未来戦略院が共同で、昨年末に3000人を対象に調べたものです。これは両紙の共同企画報道「これからは統合を論じよう」の一貫として行われました。
結果によると、81%が「韓国社会が政治的に深刻に分裂している」と回答したそうです。
その原因の1位は「政党の対立」(36%)、2位は「理念の差」(18%)、3位は「言論・メディア環境」(14%)でした。
一方で、進歩・保守・中道(議題により支持政党を変える人たち)のいずれも、自身が支持しない政党を「協力対象」とみる人が最も多い結果となりました。
また同じように、政治的に反対する勢力と妥協する政治家に対し「裏切り者と見ない」という見解が51%に達しました。
「現在の韓国社会は政治的に深刻に分裂しているか」。とても同意・だいたい同意を選んだ人の割合です。上から進歩層84%、中道層74%、保守層87%となっています。京郷新聞より引用。
さらに、「政治的な葛藤(衝突)事案に対し、与野党が対話と妥協を通じ合意しなければならない」も51%と、市民の民主主義に対する受け止め方の現在地が浮かび上がりました。
言い方は偉そうですが、「民主主義の原則をきちんと理解している人が、有権者の半分くらいはいるのだな」とホッとする内容でした。
こうした調査結果を受け、ソウル大国家未来戦略院の院長であり、韓国を代表する政治学者の康元澤(カン・ウォンテク)ソウル大教授は「政治がむしろ分裂を煽っている」と診断しました。同教授はさらに「立場の違いを超えて、膝を付き合わせ解決策を探すべき」と指摘しています。
京郷新聞もまた、韓国社会が分裂する状況の原因が政治にあるとしながら、政治的な分裂は「強性(熱狂的)支持者にある」という調査結果を重要なものと見なしています。
さらに「多数の民心とかけ離れた強性支持者たちが、極端な世論を形成し、政治がこれを仲裁・調整せず逆に刺激している」という認識が土台にあるとし、これを葛藤の「主犯」と位置付けました。
非常に面白く重要な調査です。詳細な内容を記事化したいところです。余力が...。
2.駐韓米国大使、続く空席
韓国に赴任していたケビン・キム駐韓米国大使代理が離任し、ワシントンに復帰したと7日、韓国外交部が明かしました。
韓国系の同氏は今後、米国務省で朝鮮半島問題や米韓の合意を履行する業務に就くとみられており、すでに関連する仕事を進めていると『聯合ニュース』などは報じています。
東アジアに明るい同氏のワシントン復帰は、米朝会談の準備に向けた人事との見方を報じるメディアもあります。
一方、正式に大使に任命されると見られていた同氏の離任により、駐韓米国大使の空席は昨年1月から1年間、空席となっています。
バイデン政権、第一期トランプ政権の際にも1年6か月ずつ大使空席となる出来事がありましたが、現トランプ政権でも大使を指名しようとする動きが見られないと『ハンギョレ』は報じています。
ドイツ、豪州など80か国以上の大使が今なお任命されていないそうです。
3. サムスン電子、過去最高益
サムスン電子が8日、25年第四四半期の営業利益が暫定的に20兆ウォン(約2兆1600億円)を超えたと発表し、大きな話題となっています。
韓国企業の中で、四半期の営業利益が20兆ウォンを超えたのは同社が初めてということです。同じ時期の売上げは93兆ウォン(約10兆円)でした。
同社の最大の強みである半導体がこの空前の利益を牽引しています。韓国メディアでは、全体の8割にあたる約16兆~17兆ウォンが半導体によるものとされています。
背景にはAI普及による世界的な需要があるとのことです。一方、テレビや家電事業部では1000億ウォン(約108億円)の営業赤字が出ているそうです。
韓国の地上波テレビ『SBS』では、サムスン電子の25年全体の営業利益を43兆5300ウォン(約4兆7000億円)とし、今年は100兆ウォン(約10兆8000億円)の突破も可能かもしれないと報じています。
また『ヘラルド経済』では、サムスン電子と並ぶ半導体分野での世界的な韓国企業、SKハイニックスも26年には好業績が期待されると、証券会社のレポートを元に伝えています。
さらに、この2社の営業利益が合計で300兆ウォン(約32兆円)を超える可能性があり、これは韓国の国内総生産(名目GDP、2024年基準)の12%に当たる数値としています。
とんでもない規模ですね。
4.チェジュ航空大惨事「全員生存あり得た」
非常戒厳の衝撃冷めやらぬ2024年12月29日に、全羅南道務安(ムアン)郡にある務安国際空港で起きた飛行機事故。
着陸する予定のチェジュ航空所属の航空機の車輪が出ず胴体着陸を行った際、滑走路をオーバーランし、その先にある防護壁に衝突し機体が爆発、乗客175人全員と乗務員4人が亡くなった痛ましい事故でした。生存者は2人の乗務員だけでした。
事故の理由として、エンジン停止の原因となったバードストライクと共に挙げられるのが、コンクリート製の防護壁です。これはローカライザー(空港の方位角を表す施設)の土台となる高さ2メートルの施設です。
当時の映像を見ると、機体がこの防護壁に接触した瞬間に爆発していることもあり、事故当初から「なぜ規定通りに壊れやすい素材にしなかったのか」という指摘が相次いでいました。
朝鮮日報のイメージを引用しました。上部の赤いものがローカライザーで、下にコンクリート製の板、さらに土手式の土台がありました。
そして8日、韓国『KBS』(日本のNHKに相当)をはじめ、『MBC』、『SBS』といった地上波テレビが一斉に、関連する新たなレポートの存在と、その内容を報じました。
レポートは昨年3月に国土交通部が韓国電算構造工学会に依頼し、8月に完成したものです。
この防護壁がもし、規定通りの壊れやすい素材で作られていたと仮定すると、航空機はこれを突き破り770メートルほど(別の局では630メートルとも)進んだ後に停止していただろうというものです。
さらにこの場合、死者はおろか、重傷者も発生しなかったと結論付けています。
これは大惨事の原因がどこにあるのかを示す、非常に衝撃的なレポートといえます。この報告書などを元に国会で今月15日から国政調査が始まるそうです。
ですが政界やネット世論を見るに、さっそく「誰のせい」、つまり「進歩・保守陣営のどちらの方により責任があるのか」という方向に話が進んでいるように見受けられます。残念なことです。
5.今日の時事韓国語「갈등」
カルトゥンと読みます。漢字では「葛藤」となります。
日本では「心理的な葛藤」という風な使われ方をする事が多いですが、韓国では「社会的な葛藤」という風によく使われます。
二つのものが衝突しているというニュアンスで、一つ目に取り上げた世論調査でも頻発するキーワードとなっています。
以上です。
昨日お伝えしたように、今日(9日)は尹錫悦氏の「内乱の首魁」裁判の結審があります。
特別検察側は「権力欲を実現するために起こし」、「反省もなく嫌疑を否定し続ける」と同氏について判断しています。
どんな求刑となるでしょうか。
それではまた月曜日に。良い週末をお過ごしください。アンニョンヒケセヨ。(徐台教)
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