[56号] 8月15日の『光復節』に尹大統領は何を語るか、朝鮮半島‘全面戦’の被害、南北の経済格差は60倍など
サポートメンバーの皆さん、アンニョンハセヨ。徐台教です。いよいよ8月がスタートしましたね。
覚えている方がいらっしゃるかもしれませんが、本ニュースレター『新・アリランの歌』は昨年9月18日に第一号を発行しました。もうすぐ一周年となります。しかし今、当初えがいていたように運営できていないという忸怩たる思いがあります。残りひと月半の間にネジを巻き直していきます。いくつかのリニューアルも考えています。
実はここ数か月、「仕事が深まるのではなく、どんどん散逸しているのではないか」と感じることが増えています。このままでは何ら世の中に変化を起こせないという危機感が高まっています。
こんな危機感の背景はひとえに本をまだ出せていないという部分が大きいのですが、それ以外にも「韓国でやるべき仕事」の形を作れていないという発展の遅さも関係しています。これらの点からまさに今、壁を乗り越えられるかといった状況です。なんとかカタを付けたいものです。
と、愚痴はこれくらいにして本題に入ります。南北関係上の動きを整理しました。
◎金正恩氏の娘「ジュエ」は跡継ぎなのか?
韓国では国会開院(今年4月の総選挙で当選した300人による国会が5月30日にスタートしました)から2か月を迎え、初めての情報委員会が開催されました。
これは情報機関の国家情報院をはじめ、韓国のインテリジェンスに関する部署が国会議員に対し様々な懸案を説明するものです。メディアには非公開で行われ、終わった後(途中にも)に与野党の幹事がメディアに説明する慣例となっています。
韓国メディアには残念なことに朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)に対する独自の取材網がほぼ存在しないので、こんないわゆる「政府発表」を元に記事が量産されることになります。
今回の重要トピックは3つありました。
まずは「金ジュエ」と呼ばれる金正恩氏の娘についてです。2013年生まれとされる彼女が、北朝鮮の4代目候補なのかが焦眉の関心ですが、これに対し国家情報院は「北韓はキムジュエを現時点の有力な後継者と暗示し、後継者教育を進めている」との見解を明かしました。
その根拠の一つが、以前ニュースレターでも言及したように北朝鮮の国営メディアが「嚮導ヒャンド」という表現をジュエ氏に使った点です。同院によると「嚮導とは『革命の闘争において、進むべき道を示す』という意味で、首領・後継者に使う単語である」というものです。
一方で同院は「まだ別の兄弟が出てくる可能性と、最終的な後継者として確定していない点で、後継者が変わる可能性も排除していない」と明かしています。
これについて、過去に金大中大統領の最側近の一人で、文在寅政権下で国家情報院長を務めた共に民主党の大ベテラン、朴智元(パク・チウォン、82)議員は韓国メディアに対し異なる見方を示し注目されています。
朴議員の主張は、ジュエ氏の上に兄がいるというものです。
同氏は「韓米の情報当局では息子、次にジュエ、そして3番目の子が生まれたと把握している」と述べ、「息子は外国で留学しているため隠しているのではないか」と、過去に金正恩氏がスイスに留学した例を挙げつつ説明しました。
また「社会主義国家で娘を、女性を指導者として打ち立てたことがあるか」とも主張しています。
他でもない韓国情報機関のトップを務めた朴議員の発言ともあり無視できませんが、証明のしようがありません。結局は「いつか分かる時が来る」という水準の話のようです。
しかし金正恩氏は82年生まれの42歳です。まだ現役バリバリの年齢ですが、なぜこうもやたらと後継者の話が出るのでしょうか。
その背景には金正恩氏の健康問題があります。これについても国家情報院が言及しています。
◎金正恩氏は「超高度肥満」
同院によると、金正恩氏の体重は140キロ。BMI指数は40中盤に達し「超高度肥満」であるそうです。
さらに30代前半から高血圧、糖尿の症状が見られたとしながら「現在の健康状態を改善しない限り、家族歴のある心血管系統の疾患が表れる可能性があるため、綿密に追跡している」と発表しました。ちなみに父・金正日と祖父・金日成ともに心臓麻痺で亡くなったとされています。
また、金正恩氏の病気の原因については「ストレスやタバコと酒ではないか」とのことです。
見りゃ分かるよ、という感じではありますが、金正恩氏の体調については昨年11月にキューバから韓国に亡命した駐キューバ北朝鮮大使館のリ・イルギュ元参事官が「金正恩氏の顔は驚くほど赤い。見るからに血圧が高そうだった」と証言しています。